「将来的にはゲームオブシングスもありうる」ーーコロプラから資金調達を実施したゲームデザイナー集団オリフラム

Junya Mori by Junya Mori on 2015.3.10

左:オリフラム代表池田氏 右:オリフラム取締役岩尾氏

左:オリフラム代表池田隆児氏 右:オリフラム取締役岩尾賢一氏

昨年、本誌ではゲームデザイナーのベテランが集って始まったゲームのスタートアップ、オリフラムを紹介した。サイバーエージェント・ベンチャーズから資金調達を行い、その資金でゲームを開発していた彼らは、先日コロプラから増資を行ったことを発表した

オリフラムは現在、海外に向けて「Chaos Centurions (カオスセンチュリオン)」というゲームを開発している。フリーミアムのリアルタイムストラテジーゲームで、ベテランゲームデザイナーが集い、世界観からシステムまで作り込みを行っている。



今回、増資を行った彼らに話を伺いに、引越したばかりのオリフラムのオフィスを尋ねた。

彼らは今回の資金調達に至るまで、バックオフィスの整備、資金調達、ゲームの開発の3つを同時に進めてきた。この中でも、慣れているはずのゲームづくりに一番苦労したという。

慣れないスタートアップでのゲームづくり

池田氏:基本的には仕事を一緒にした経験のあるチームではあったんですが、スタートアップというこれまでとは異なった環境で仕事をすることに慣れるのには時間がかかりました。大企業ではないので、すべてが用意されているわけではありませんから。

岩尾氏:自分の職域以外のこともやらないと回らないのですが、そういった職場がはじめての人も多かったので。では自分でどこまでやればいいんだ?という線引も難しかったですね。

池田氏:自主性が問われるというか。正解がない中、みんなで模索する状態がしばらく続きました。しばらく模索して、気を使いすぎた時期もあったのですが、今ではメンバーを信頼して自主性に任せるようにしています。

岩尾氏:あとゲームの開発に関してだと、ソーシャルゲームの開発スタイルと、コンシューマーゲームの開発スタイルにおける違いに慣れるのに少し時間がかかりました。スピードと質のバランスをどのようにとっていくのかでメンバーが衝突したりもしたのですが、この衝突は良いモノづくりのためには必要なことなので、結果的にはよかったなと思っています。

Chaos_Centurions_04

スタートアップという環境の特殊さに戸惑いつつも、ゲームの開発を前のめりに進めてきたオリフラム。ゲームの開発で、かつスタートアップというと仕事の仕方もかなり自由になりそうだが、そこはどうしていったのだろうか。

池田氏:メンバーからスタートアップなんだから自由にさせてくれ、という反応もあったんですが、最低限スプレッドシートで出勤簿だけはつけてもらうようにしていました。メンバーからは文句を言われながらだったのですが、これがデューデリジェンスのタイミングで求められたので、ちゃんとしておいてよかったですね。

オリフラムの今後

オリフラムは、最初から1ラインは15人ほどで3ライン走っている状態、計45人が開発人員の人数で、それ以外はバックオフィスという状態をイメージしているという。池田氏によれば、北欧のSupercellがイメージに近いという。今回の調達額は非公開となっているが、イメージしている組織の状態を構築するには十分な金額を調達しているそうだ。

池田氏:将来的には長生きするゲームタイトルを3本提供している状態を作っていきたいと考えています。マシンガンのようにとにかくたくさんのゲームを送り出していくのではなく、スナイパーのように狙い撃っていきたいと考えています。

ゲームを育てるという意思

ゲーム開発者にとって、自分が作ったゲームがお蔵入りになってしまうことはかなりメンタルへのダメージが大きい、と池田氏は語る。

池田氏:ビジネス的には当たるものが出るまで、数多くのタイトルを出すという判断になることも理解できますが、開発者としては自分が関わったゲームが閉じてしまうのは堪えます。開発チームが解散してしまうと知見もたまらないですしね。そういうことが続くと、次のゲームへのモチベーションもわきづらくなってしまう。クリエイターのモチベーションが下がっていってしまうので、多産多死というやり方は、長期的には効率の悪いアプローチなのではないかと考えています。

岩尾氏:モンスターハンターも最初の作品はヒットしたわけではないんですよね。でも、上の人たちがこれに注力していけば伸びると判断したから2作目が出て、ヒットにつながった。完成度が高いけど売れていなかったゲームやチームに継続して注力するという胆力が上の人間には求められると思います。 

池田氏:日本のゲーム業界はまだ失敗に寛容ではないように感じますね。もっと失敗に寛容になったほうがいい。

岩尾氏:ソーシャルゲームはまだ失敗には寛容だと思いますが、失敗の原因が十分に分析されていないことも多いと思います。一度存分にやらせてみて、失敗した原因も十分に分析できたとしたら、次が成功する可能性は高まると思いますね。

池田氏と岩尾氏の会話には、カプコンの元専務取締役で、「モンスターストライク」の開発にも携わったという岡本吉起氏の話も登場した。岡本氏は「ファイナルファイト」シリーズや「ストリートファイター2」シリーズを手がけてき人物だ。同氏もゲームリパブリックという会社をたたむという経験をしているが、その後「モンスターストライク」を成功させた。「良いゲームは後から結果がついてくる」と語る池田氏の言葉が印象的だった。

今回コロプラから出資を受けたが、基本的には自由にやらせてもらうことになっているという。オリフラムという会社のアクの強さをなくしてしまわないように、という配慮をしてもらっているそうだ。筆者も、自分たちの信じるやり方を貫いてもらいたいと思う。

ゲーム開発の今後

Chaos_Centurions_02

今増加しているゲームアプリも、今後は減っていくと池田氏は考えていると語る。

池田氏:これだけレッドオーシャンになってくると、なかなかヒットさせることは難しい。ゲーム開発者は自分たちが作りたいものを作りたがるものですし、新しいものが好きな生き物です。少しずつ、Oculus RiftなどHMDや、IoTなどの分野に移っていくと思います。オリフラムは面白いことをとにかく色々やっていきたいと考えているので、ウェブサービスを作るなんてこともありえます。

岩尾氏:ウェブサービスってちょっとゲームの要素を入れるだけで面白くなるのにな、と感じるものがたくさんありますからね。 

池田氏:SONYが出した「torne(トルネ)」のUIって、ゲームのUIを作ってる人じゃないと作れないと思うんですよ。ゲームの体験ってUIに活かせる部分はかなりあると思っていて。ゲームデザイナーが冷蔵庫を作ったらどうなるか、なんてことを考えたりしますね。IoT的なものが話題になっていますが、将来オリフラムはGoT(Game of Things)的なこともやりたいな、と考えたりしてますね。

岩尾氏:業界が生き残っていくためには、顕在化しているニーズだけではなく、潜在的なニーズに対応していくべく、挑戦的なもの、ユニークなものが色々登場していく必要があると思います。新しいものが1つ生まれると、そこを中心に新しい生態系ができます。新しい生態系を開拓していくための指標になれたらいいなとは思います。

増減は繰り返しつつも、「ゲームはなくならない」と2人は語る。ゲームデザイナーの集団が、今後どのような新しいものを生み出していくのか期待したい。

Junya Mori

Junya Mori

モリジュンヤ。2012年に「Startup Dating」に参画し、『THE BRIDGE』では編集記者として日本のスタートアップシーンを中心に取材。スタートアップの変革を生み出す力、テクノロジーの可能性を伝えている。 BlogTwitterFacebookGoogle+

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