電子回路のプロトタイプをプリンタでつくる「Voltera V-One」がKickstarterに登場

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Voltera V-One

3Dプリンタの登場は製品のプロトタイピングに大きなインパクトを与えたといわれる。現在、電子工学の世界で、同じようなインパクトをもたらしうる製品が開発され注目を集めている。

それがカナダのVOLTERA社が開発する「V-One」というプリンタだ。現在、Kickstarterでキャンペーンを行っており、すでに目標の7万ドルの5倍以上、39万ドルあまりの資金調達に成功している。

「V-One」は、プラスチックのボードに電子回路をプリントできるプリンタだ。わずか1~2時間という短時間で電子回路のプロトタイピングが可能になる。しかも、二層のプリント基板を作成することができる。

専用のソフトウェアで作成した回路図を「V-One」に読み込ませてボタンを押すと、セットしたボード(FR4)の上に導電性のインクで回路を印刷する。

Voltera V-One

電子部品の接合については、ペースト状の「はんだ」と電子部品を手動で配置した後、「V-One」に搭載されているリフロー機能で「はんだ」を溶かして電子部品と基盤を接合するというしくみだ。

プリンタヘッドはマグネット式でかんたんにとりかえることができる。

Voltera V-One

一層目の電子回路を印刷した後に、絶縁体のインクにとりかえ、一層と二層の回路が交差する点に絶縁体をプリントし、また誘電制インクでプリントすることで二層の複雑な配線をつくることができるという。

本体サイズは390mm × 257mm ×207mm、重量は約7kgで、プリントできるサイズは最大138mm × 102mm。対応するOSはWindows、Mac、Linuxで、EAGLE、Altium、Upverter、KiCadといったCADソフトに対応し、接続はUSBで行う。

Voltera V-One

実際の市販価格は未定のようだが、現在IndieGoGoでは、1499ドルで「V-One」を手に入れることができる(インクやボード等を含むスタートキット)。

早期に注文された第一弾の分については2015年9月、現在の第二弾の注文については2016年1月の発送予定だという。全世界への発送に対応し、別途送料が20〜80ドルかかる。なんと、南極への発送にも対応しているようだが、送料としてペンギン10羽が必要となるとか(?)。

通常は、回路基板の制作を外注した場合、手元に届くまで5日から3週間程度かかるそうだが、V-Oneだとこれを数時間で行うことができるという。プロダクトの大量生産には向かないが、プロトタイピングの時間・コストの大幅な圧縮を期待される製品となるだろう。

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