【追記あり】LINE前代表の森川亮氏の新たな道は「動画」ーーC Channelが主要ネット企業より5億円を調達 #bdash

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13時追記:森川氏が登壇したのでその際のセッションを追記する。

C Channelの公開について、改めて森川氏がアソビシステムの中川悠介氏らと共に壇上に上がり、サービスの公開を発表した。

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動画を上げてくれる「クリッパー」という「モデル兼」投稿(契約)ユーザーは100人になっており、毎日10本程度のコンテンツを更新していくという。また、年齢や趣味嗜好などの情報からタイムラインを再構成するような仕組みも検討しているようだ。

森川氏はC Channelをケーブルテレビ時代のMTVと似ていると話していた。コンテンツを自社で全て制作するのではなく、ブランド構築を優先させ、自分たちのメッセージ性のあるコンテンツについては自分たちで作り込んでいく。それ以外は協力してくれる人たちのコンテンツをブランドによって集め、配信する。

そういう背景から、公開してからこの僅かな間で既に広告の依頼が入っているということだったが、しばらくは「やせ我慢」でブランド構築を優先させるということだった。

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アソビシステムはC Channelのコンテンツ制作において重要な位置を占めることになりそう

また、今回きゃりーぱみゅぱみゅさんなどを擁するプロダクション、アソビシステムが資本参加しているが、これも同社の所属タレントがクリッパーとして参加することを意味している。

「これからは個人がメディアになっていく時代。テレビや新聞も雑誌も重要だけど、インスタグラムやYouTubeを通じて世界に出て行きやすい時代になった。自分で動画アップする子は学んでいる。プロに撮ってもらうのも含めて自己表現のきっかけになってる」(中川氏)。

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アソビシステム所属タレント。彼女たちがクリッパーとして登場する。

話ではブログを書くように動画を編集し始めている女子高生も出てきているというから、課題となるコンテンツの制作コスト、スピードの問題もこういったところから解決できていくのかもしれない。

追記終わり


LINEを率いたベテランの新たな挑戦が明らかになった。

ーー動画メディアだ。

前LINE代表取締役の森川亮氏が代表を務めるC Channelは4月10日、女性向けの動画ファッション雑誌「C Channel」の公開を発表する。サービスはβ版としてウェブのみの公開だが、同社では夏頃を目処にスマートフォンアプリの提供および年内を目標に英語版の制作・配信を予定しているとしている。

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また同社の設立にあたり、アイスタイル、アソビシステムホールディングス、グリー、GMO VenturePartners、ネクシィーズ、B Dash Ventures、MAKコーポレーション、楽天を引受先とする第三者割当増資の予定も公開される。

調達した金額は総額約5億円で、実施は4月下旬を予定している。各社の株式比率などの詳細は非公開。

C Channelはファッションやヘアメイク、フード、トラベルなどのライフスタイル関連情報を扱った動画メディアで、ターゲットは主にF1層を中心に考えられているようだった。

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森川氏はご存じの通り2015年3月末までLINEの代表取締役を務めていた人物。日本テレビでそのキャリアをスタートさせ、ソニーを経て2003年ハンゲームジャパン(現LINE)に入社。オンラインゲーム事業を牽引する課程で2011年にメッセージング・サービス「LINE」を生みだし、登録者数5億人以上という巨大プラットフォームに成長させた。

2014年4月から現代表取締役の出澤剛氏と共同代表取締役体制を取り、同年12月に退任を発表してその動向が注目されていた。

ネット発「マスメディア」への挑戦

今回のプロジェクトは、彼の一番最初のキャリアである「テレビ」に改めて挑戦するものとなった。

「インターネット・サービスは個人をエンパワーしてきましたが、メディアに関してはまだまだマスメディアが強い状況で、日本からグローバルに展開できているものはありません。

オンライン動画が盛り上がってきているものの、まだまだマニアや特定個人向けのものです。ナショナルクライアントが広告出稿したくなるようなブランドはまだ見当たらないのが現状なのです」(森川氏)。

タイム・ワーナーやニューズ・コープのような世界的メディアコングロマリットを「ネット発」で創る、それが森川氏の狙いだ。確かに今、低価格で良質なモバイルネット回線、高性能のスマートフォン端末のおかげで「ガラケー」時代には難しかったリッチコンテンツを自由に扱えるインフラがほぼ整備された。

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しかもモバイルだ。手のひらの中の可処分時間はゲームやキュレーションが奪い合いを繰り広げているが、もしここに動画という切り口がやってきたらどうなるだろうか。

チャンスは十分にある。

「切り口は日本のカルチャーやフード、トラベルといったライフスタイルです。女性がターゲットで、動画のファッション雑誌的なアプローチを考えています」(森川氏)。

画面イメージを見ると分かるが、Pinterest風のインターフェースにタイル型のコンテンツが並ぶ。これらが全て動画として配信される。ソーシャルグラフもあるので、興味を持った情報が流れるのはお決まりのパターンだろう。

問題はコンテンツの制作だ。森川氏も過去の経験から、映像業界の課題としてスピードと高コスト体質を指摘していた。

良質な動画コンテンツを安価にかつ、大量に制作するにはどうしたらいいだろうか?

ここでもまたスマートフォンが重要な役割を果たす。カメラ付きスマホ端末はそれ自体が視聴端末であると同時に、制作ツールにもなり得る。つまり、自撮りだ。

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実際には映像を見て欲しいのだが、コンテンツの中にはモデルが自分で撮影したカットを編集して配信しているものがある。C Channelには社員として編集スタッフを配置しており、彼女たちが撮影した素材を編集部に送り、1分ほどのコンテンツに仕上げて配信する。

もちろん、しっかりとディレクターを入れて撮影するものもあるそうだが、アシスタントからヘアメイクまでフルセットで入れる商業映像制作とはまるで違うことはわかるはずだ。

「カメラマンがいると表情が硬くなるんです。テレビ的というか。でも自撮りだと表情がリラックスしてて豊かなんですよね。コミュニケーションがメインのメディアなのでその方法もいいなと」(森川氏)。

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この拠点としてC Channelは原宿にオフィス兼スタジオ(4月19日オープン予定)を構え、ここから世界に向けて挑戦を開始する。

オンライン動画広告市場を創造する

「ビジネスモデルは動画広告とコマースを考えています。映像を見てその場で買える。広告については、ナショナルクライアントが出稿したくなるメディア・ブランドをつくります。現在のメディアは(量を追い求めるあまり)安かろう悪かろうの方向に向かって、焼き畑農業的な印象がある」(森川氏)。

動画広告市場については、2013年に132億円だったものが、2017年には640億円と5倍増するという試算(※シードプランニング調査)もある成長市場だ。

一方で、ナショナルクライアントと呼ばれるビッグスポンサーは自分たちのCMが流れる「メディアの質」にも当然こだわりを持つ。自分たちのCMが広告ネットワークに流れて低俗なサイトに表示されては逆効果なのは当然のことと言える。

このタイミングで彼らの「受け皿」となり得る質のメディアを持つこと、これこそがC Channelの狙いだ。

ところでこのインタビューの終わり、ふと森川氏に「創業者」として、これまでの経営者としての経験との違いはあるのかと尋ねたところ、快活に笑いながらこう答えてくれた。

「みんなの分の給与も自分で振り込んでますよ。あと、ハンコの文化は無くさないといけないですね。あれは効率が悪い(笑」(森川氏)。

ベテランの挑戦は今始まったばかりだ。

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