ある1年生起業家の経験ーー話を聞かない、ハードワーク、資金切れーーそして2回目の起業へ

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credit: Kamil Porembiński via FindCC
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<ピックアップ> My Startup Failed

素敵な体験談ポストが多いMediumによい記事が投稿されておりましたのでご紹介します。

なお、この起業体験あるあるでは、nanapiのけんすうこと、古川健介氏のMediumポストが日本の今の実情をよく伝えておりますので合わせて読まれることをお勧めします。日米では起業環境、初期市場、言語圏など制約条件が違うので微妙に変化があって興味深いところです。

さて、今回Mediumに投稿したのはCriticaの創業者兼CEOを務めたJason Huertas氏で、サービスは下記イメージの通り、いわゆるアノテーションサービス。Chromeエクステンションを使うと、すべてのウェブサービスに注釈をつけてコメントができる、というものでした。

最終的には失敗して彼らはこのサービス(critica.io)を閉じてしまいます。

Image Critica’s browser extension via Medium
Image Critica’s browser extension via Medium

彼は初めてのスタートアップで、マーケット調査の仕事を辞めて友人2人と創業し、2014年の夏にBoost VCの提供するアクセラレーションプログラムに採択されることになります。

Mediumのポストが3月末なので1年持たなかったということですが、実際、このぐらいのタイミングで判断すべきサービスというのは多いかもしれません。彼はサービスを閉じて次のスタートアップに取り組んでいるようです。

さて、彼の経験とはどういうものだったのでしょうか。

1年生起業家は話を聞かない

credit: Tambako the Jaguar via FindCC
credit: Tambako the Jaguar via FindCC

初めての起業の場合、私も少し覚えがあるのですが、極端になる方が多いような気がします。人の話や世の中の情報をまるっと鵜呑みにする人や、全く逆にアドバイスを受け入れず、我を通そうとするといった類です。彼は後者でメンター達の言葉にもっと耳を傾けておけばよかったと書いてます。

アドバイスというのは大変難しくて、やはり失敗を目の前にして自分の失敗談をアドバイスとして送ろうという気持ちはあるものの、当然ながら非常に属人的な場合が多いわけです。つまり似た状況ではあるものの、その人には合わないというか。

最近だと冒頭にあったけんすうの「ベンチャーのExit戦略については、起業家は最初から理解しておいたほうがいいかも」というMedium投稿は彼の体験談であり、私も取材者として話を聞いてるだけに、結構踏み込んで経験を共有しているなという印象がありました。

大切なのはこういうことが発生するんだと理解すると同時に、自分の状況だったらどういうことが考えられるかを「想像」できるかどうかなんですよね。こういうことが発生するとわかって敢えてその道を選ぶということもあるかもしれません。

この手の話は「結局やってみないとわからない」という身も蓋もない結論が待ってるのですが、それでも生の体験談にできるだけ多く触れて、自分の状況を想像しておくことは無駄にならないと思います。

あなたのアイデアは特別じゃない

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credit: Joe Shlabotnik via FindCC

インターネットが出現した頃の1990年代やモバイル(iモード)が出た2000年はアイデアひとつで勝負ができた時代だったかもしれません。野っ原にバラック小屋を建てても、雨風しのげるわけですからどれだけみすぼらしくても人は寄ってきます。しかしもう今は違います。高層ビル群が立ち並び、ユーザーはどこに入居するか選べる時代になってるわけです。

「そのサービスがない理由」を綺麗に語れる方はやはり強い印象があります。

Criticaの彼も、アノテーションが既に使い古されたサービスであるにも関わらず、なぜ多くの他のサービスが失敗したのか分析が足りてなかったと振り返ってます。

<参考記事> 今までにない理由を考え抜けば「自分のやるべきこと」が見つかる

自分たちの方がいいものを作れるから勝てるーー本当にこういうことを言うキュレーションメディアの方、たまにいらっしゃいます。(ちなみにちょっと前はクーポンでした)。

プロダクトのバージョンについて

credit: Takashi(aes256) via FindCC
credit: Takashi(aes256) via FindCC

また、プロダクトのバージョンについての言及も示唆に富んでます。初期プロダクトの仮説は「誰もあなたのプロダクトに期待してない」であるべきで、どうやったら使ってもらえるか、その価値を探すべきだといってるんですね。彼らは自分たちのプロダクトが既にグロースをかけるフェーズに入ってると勘違いし、ユーザーを伸ばすことを考えたそうです。しかし、実はその前段階だったと。

「本当に人々が欲しいと思ってるものが何かを理解する前にプロダクトを作ってしまった」ーーこの言葉は簡単なようで大変深いです。

その他にもCriticaの失敗談、体験談は続きます。毎日ハードワーク(16時間とか)するも、そもそものプロダクトがユーザーの方を向いてない訳ですから伸びず、キャッシュアウト(資金切れ)を経験し、サービスを閉鎖することになります。ちなみにハードワークについては彼も書いてますが、往々にして効率が悪かったりします。しっかりとした睡眠は結果を生むので不要な徹夜などは本当にお勧めしません。

なかなか実名出して自分の体験を共有してくれる人は多くない(そもそも投資などの部分はNDAあるので公開できない)ので、自分ごととしてこういうことからどういう情報を取得すべきか、どういう知識を勉強すべきか考えるといいのではないでしょうか。

via Medium@@jasonhuertas

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