Open Network Labが第10期プログラムのデモデイを開催、労務手続をクラウド化する「SmartHR」が優勝

by Masaru IKEDA Masaru IKEDA on 2015.4.3

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東京のスタートアップ・インキュベータ Open Network Lab は2日、インキュベーション・プログラム第10期のスタートアップを披露するデモデイを開催した。このバッチには、日本の内外から合計80チームのエントリ(うち、海外から20チーム)があったが、中から7チームが選抜され3ヶ月間にわたってメンタリングや支援を受けることとなった。

なお、7チームのうち1チームについてはステルスモードであるため公開されず、6チームがデモデイでピッチした。デモデイの最後には、主要メンターらが審査投票によりチームを表彰した。

Best Team Award 獲得: SmartHR

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労務手続は面倒な作業だ。本来は企業側が必要書類を作成しなければならないが、その作業がアナログで、難解かつ面倒であるため、小規模な組織では、当事者である従業員が自分で手続させられることもしばしばだ。SmartHR は労務手続に必要な一連の作業を SaaS 化しており、社会保険労務士に頼むと平均して3週間2万円かかる業務を、SmartHR では1週間フリーミアムで完了させることができる。

サービスはまだローンチしていないが、ランディングページ公開から2週間で、合計従業員数1,449人を擁する125社の企業からサインアップがあった。そのうちの10社にデモを行ったところ、お金を払っても使いたいという回答が得られている。

SmartHR がターゲットとするのは日本全国419万社の中小企業で、その合計従業員数は2,700万人。近日、日本政府が公開する電子政府APIとも連携する。従業員データベースが形成されるので、ユーザである企業には、従業員数の増加に合わせて、就業規則の作成や産業医の採用などを促す告知する機能も提供する。

SmartHR の提供元である KUFU は、これまでに BtoB・BtoEサービスのクチコミサイト「Yknot(ワイノット)」や、ウェブクリエイターのスキルを数値化するプロフィールサービス「SKILLSAND(スキルサンド)」などを公開している。

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特別賞 獲得: LifeCLIPS

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LifeCLIPS を開発する iDEAKITT CEO の藤田遼平氏は以前、イベント・チケッティング・スタートアップの Peatix でビジネス開発をしていた。当時の彼の上司である Peatix CEO の原田卓氏(関連記事)とは今でも親交があり、原田氏の「Facebook は人が繋がりすぎているし本音が書けないし、ブログは面倒」という言葉にヒントを得て、LifeCLIPS の開発に着手した。

LifeCLIPS はテキストだけのソーシャル・ネットワークであり、誰もが気軽に文章を書き留めることができるウェブサービス。手軽に書きたいものが書ける場所を目指している。ブログを書き始めるまでの必要入力項目(ユーザIDやパスワード)が圧倒的に少なく、ユーザは投稿文章ごとに全体公開、限定公開、非公開を選ぶことができる。

11月のリリース以来、2万件以上の投稿がなされ、サインアップから1ヶ月後のアクティブユーザ率は50%以上。平均滞在時間は10分以上で、7割はモバイルからのユーザだが、投稿される記事の平均文字数は406.49文字と長いものになっている。写真は Instagram、動画は Vine、テキスト投稿は LifeCLIPS という位置付けを目指す。今週火曜日に iOS アプリを公開し、Apple iTunesStore 上でおすすめアプリとして紹介された。

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特別賞 獲得:tsunagu Japan

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tsunagu Japan は、英語と中国語で、海外に日本のライフスタイルを紹介するサイト。既存のウェブサイトでは実現できていない、まとめ記事形式の観光案内を発信する。これまでに、東京のハラール対応のしゃぶしゃぶレストランを紹介する記事を公開したところ、海外から非常に反響がよかった。

現在の月間ユニークユーザ訪問数は43万人で、月単位成長率は245%。Facebook ページファン数100万人、海外で tsunagu Japan を紹介してくれるアンバサダー320人、DiggTripZilla.sg と提携しコンテンツ・シンディケーションしており、2015年7月までに月間ユニークユーザ訪問数100万人の達成を目指している。

今後は、ホテル、レストラン、ショッピングなど、日本の観光にまつわるバーティカルなメディア・プラットフォームの構築に加え、中国語対応の強化と記事の量産体制の確立を目指す。

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以下は入賞はしなかったが、興味深いピッチを見せてくれたスタートアップの各チームだ。

Makey

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Makey は、女性が自分に合ったメイク方法を知るため、ユーザ同士がメイクのノウハウを共有するためのサービス。これまでにユーザを集め、花王やコーセーなど化粧品メーカーとコラボしたメイク講習会を開催している。4月中旬以降にアプリをリリースさせる計画。

広告の掲載と、化粧品販売サイトへの顧客誘導によるアフィエイト収入でマネタイズ。今年夏以降にはメディアを作り、1.5兆円規模といわれるアジアや中国市場への訴求を図る。

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FLAP

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FLAP は、美容師と消費者とのマッチング・プラットフォーム。これまでにも美容院を紹介するサーチ・ポータルはあったが、美容師を紹介する情報源は無かった。美容師が美容院から得られる収入は基本給と指名料で構成されており、指名料は収入に大きく影響するので、美容師は自身を指名予約してくれるお客を増やしたいと願っている。

客は FLAP を利用することで、さまざまな美容師のポートフォリオを閲覧することができるので、初めての美容師を指名予約する上での精神的なハードルを下げることができる。12月1日からブラウザ版限定でリリース。利用を始めた美容師のうち、42% が自身の情報を投稿し、35% が1ヶ月以上利用、7.5% が新規顧客の取得に成功している。

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HouseCare

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HouseCare は家の掃除サービス提供するスタートアップ。もともとは、ベビーシッター・サービスの提供を試みていたが、日本では展開が難しいとの判断からピボットした。どの部屋をいつ掃除したいかを選ぶだけで、1日前までに予約すれば、1時間あたり2,500円で利用できる。

同業大手のダスキンの場合、トイレを掃除するだけで10,800円程度かかるが、HouseCare なら同じ金額で家全体を掃除できる(部屋数、家の大きさなどによる)。サインアップした人のうち、37% が2日以内の予約をした。現在のサービスエリアは東京23区のみ。今後、AirBnB などのバケーション・レンタル業とも連携していく。

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Open Network Lab 代表取締役社長の佐々木智也氏によれば、今回の第10期の修了を受け、Open Network Lab は通算で58組のスタートアップを輩出したことになり、第8期までの輩出スタートアップの合計時価総額は325億円と、投資時点から22.71倍のパフォーマンスを稼ぎ出している。

第10期デモデイの開催とともに、4月2日から第11期のバッチへの申込が開始された。Open Network Lab からスタートアップへの提供資金はこれまで200万円を上限としてきたが、最近のスタートアップ・シーンの情勢を考慮して、第11期からはスタートアップのフェーズに応じて、提供資金の上限額が1,000万円まで引き上げられることが発表された。第11期バッチへの申込締切は、5月18日の正午となっている。

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