服薬・薬歴管理アプリ「お薬ノート」などを展開するプラスアール、オムロンヘルスケアと業務提携し、医療分野のサービスの強化を目指す

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医療分野において、スタートアップと大手企業との連携が少しづつ生まれている。服薬・薬歴管理アプリの「お薬ノート」や毎日の血圧を計測し、記録をつける「血圧ノート」などを展開するプラスアールは、オムロンヘルスケアと血圧領域における事業拡大を目的とした業務提携を行うを5月13日に発表した。

オムロンヘルスケアは、累計販売台数1億7千万台とグローバルで大きなシェアを誇る血圧メーカーで、体温計や体重体組成計、妊娠検査薬などの家庭用健康機器から、動脈硬化検査装置などの医療機器など、さまざまな医療商品・機器を展開している企業だ。

そんなオムロンヘルスケアが、パートナーとして選んだのは、プラスアールだ。プラスアールは、「カラダノート」ブランドと銘打ち、健康情報サイトやユーザ自身でお薬の服薬・薬管理を行う「お薬ノート」などを提供しており、現在すでに月間300万人を超えるユーザに利用されている。そのなかでも、血圧管理アプリの「血圧ノート」は、血圧管理アプリ分野において大きなシェアを誇っている。ビジネスモデルは、同アプリなどおける広告収益において、事業を成り立たせているという。

「今回の業務提携の件は、先方から打診をいただきました。グローバルの血圧機器を展開しているオムロンヘルスケアですが、大手としてなかなか迅速に動けないアプリやデジタル上におけるサービスの展開などで、ご一緒できるのでは、と話をさせていただきました。例えば、オムロンヘルスケアが展開する機器にアプリの誘導を図るなどしながら、血圧の実測だけでなくデジタル上での記録を誘導する、といたものです」(プラスアール代表取締役佐藤竜也氏)

大手として迅速に動けない部分を、スタートアップが補完しながらサービスを展開し、また相互の技術を活用したサービス開発などをもとに、モバイルヘルスケア領域においての新しい事業開発も視野にいれている。

「従来の家庭血圧の記録やグラフは、医師との共有は紙の上で行われていました。それでは手間も多く、十分な計測データが得られない状況でした。さらに、高血圧治療ガイドライン2014によると、診察室で行う血圧測定よりも、家庭内で測定する血圧測定のほうが、より患者の身体の状態を把握しやすいものだ、と記載されるなど、これまで以上に家庭血圧が重要視される流れにあるなかで、いかにして家庭血圧にサービスを浸透させていくか、というのはヘルスケア業界においても大きな課題でもあったのです」(佐藤氏)

また、今回の提携においてオムロンヘルスケア側から打診があったことについても、オムロンヘルスケアがもつベンチャーマインドの様子を伺わせる。

「オムロンヘルスケアも、かつてはベンチャーとして市場を切り開いてた存在でした。その第一人者として知られているのが、まさに家庭上血圧機を販売し、現在のように多くの家庭に機器を浸透させたことです。それまでは、医療現場にしか血圧測定ができませんでしたが、オムロンヘルスケアが家庭用を販売したことによって、高血圧治療ガイドライン2014にあるように家庭血圧が患者の健康を正確に測るもの、と業界全体のイノベーションを促した存在だということです。今回の提携も、血圧というオムロンヘルスケアとしてのコアの事業をこうしてスタートアップと組むという姿勢を示し、業界自体のイノベーションを起こそうとする考えがあるのではないでしょうか。まさに、プラスアールとオムロンヘルスケア側とのマインドが一致したから実現できたものだと考えています」(佐藤氏)

現在、まさに医療分野、さらにヘルスケア分野におけるイノベーションこそが期待されている分野。ヘルスケアこそ、私たち誰もが普段の生活においてちょっとした意識をするだけで、社会全体の健康状態の向上や病気を未然に防ぐ対策を行うことができる。

これまでアナログで展開されてきた取り組みが、デジタルに移行されることで、多くのデータが集まりさらなるサービスを提供したり、病気や身体のデータをもとに傾向を分析し、よりパーソナライズ化された医療サービスを提供することも可能だ。

「プラスアールとして、今後はお薬ノートや血圧ノート、妊婦向けの記録アプリなど、生活していくなかで必要なさまざまな身体データの履歴を蓄積してきたいと考えています。お薬ノート一つとっても、処方ではなく実際に服薬した、という行為のログのため、よりその人個人が薬によってどのような身体変化が起きたかをデータとして集めることができます。さまざまな情報をもとに、より精度の高いレコメンドの機能など、記録を通じた本質的な課題解決を目指して取り組んでいきたいです」(佐藤氏)

 

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