現地を知り尽くした女性が綴る旅のウェブマガジン「旅MUSE」が経沢香保子さんなどから資金調達

by Yukari Mitsuhashi Yukari Mitsuhashi on 2015.5.28

旅MUSEを運営する野々村菜美さん(左)と出資者でカラーズの経沢香保子さん
旅MUSEを運営する野々村菜美さん(左)と出資者でカラーズの経沢香保子さん

女性向けの旅のウェブマガジン「旅MUSE(たびミューズ)」を運営するバリーズが、金額非公開で資金調達したことを発表しました。引受先は、VOYAGE VENTURES、スローガン、またエンジェル投資家の経沢香保子さんなど。今回調達した資金は、サービスの運用またスマホアプリの開発などに使われるとのこと。

トレンダーズ創業者で現カラーズ代表の経沢さんと言えば、4月末には「Bloomee」に出資していましたが、女性起業家へのエンジェル投資は今回の旅MUSEが初だと言います。バリーズのCEOである野々村 菜美さんにお話を伺いました。

「目的地で探す旅」から「人から探す旅」へ

仕事を頑張った自分へのご褒美に旅行を企画する女性は少なくありません。以前は書籍や雑誌などで情報収集していたものが、今では個人ブログや旅関連のCGMサイトなど豊富な選択肢から、手元のスマートフォンで情報収集できるようになりました。利便性が増す一方で、信頼できる情報源の判別が難しいという新しい課題があります。

そんな課題に対して、旅MUSEは「MUSE」と呼ばれる様々な分野・業種で活躍するインフルエンサーを活用。滞在したホテルや美味しかったレストラン、スパやパワースポットなどが、「Collection」と呼ばれる旅行記が独自目線で発信され、女性が旅行を企画する際に役立つ情報が蓄積されています。サービスのリリースから半年ほどで、120本を超えるコレクションが掲載されています。

旅MUSEの主なターゲット層は、20代後半から30代前半の時間と金銭的余裕を持った可処分所得の高い女性たち。これらのアクティブな女性たちに響くメディアになるためには、もはやただコンテンツを発信するだけでは不十分だと話す野々村さん。

「旅関連を含めてキュレーション系メディアはたくさんありますが、旅MUSEが最優先しているのは情報量ではなく「誰が発信しているか」と「コンテンツの質」です。トップページを見ていただいてもわかるように、「人」を全面に押し出し、「目的地から探す旅」に変わる「人から探す旅」を提案しています」

旅を知り尽くす、選び抜かれたMUSEたち

ドバイに招待されたMUSEたち
ドバイをプロモーションするために招待されたMUSEたち

旅MUSEに集まるトップブロガーや有名モデルなど40名のMUSEは、全員運営側から声をかけて参加してもらった人ばかり。MUSEになりたいと希望する女性からの問い合わせも多いと言いますが、野々村さんを含む運営チームがF1女性を代表し、自分たちがその人のおすすめスポットを聞いてみたいと思える女性に厳選して選んでいます。

「数々の女性の中から、MUSEとして選び抜かれて参加している」というモチベーションを大切にしているため、MUSEへの金銭的なインセンティブは一切ありません。このモチベーションをくすぐるために、旅MUSEのブランディングを徹底して高めると同時にMUSEにとってのその他のメリットを追求しています」

例えば、MUSEとして参加することで、価値観が近い意気投合できる女性と出会い、一種のコミュニティが形成されつつあります。また、これはプラットォームのマネタイズにも繋がりますが、既に企業や政府観光局などからプロモーションの依頼が集まっているとのこと。先月4月にはF1層向けの大手ファッションEC「ファッションウォーカー」と業務提携し、「旅×ファッション」を促進するための特設ページを開設。

また、今月はドバイ政府観光・商務局から、若い女性を誘致するプロモーションしたいという依頼を受けて、野々村さんを含むMUSE5名が現地に招待されました。今も、フィリピン政府観光省と同様の企画が進行中。さまざまな旅行先の魅力を再発掘するお手伝いができることも、参加するMUSEにとって魅力の一つだと言えそうです。

「旅行関連の情報が多過ぎる」という困りごと

CEOの野々村さんは、ご自身が休みを見つけては年に4〜5回は海外旅行に行くほどの旅行好き。その都度、面倒に感じていたのが旅行の企画そのものでした。口コミサイトは沢山あるけれど情報量が多過ぎて、自分に関連したものが見つけられない。初めて行く旅行先ならまだしも、回を重ねると一般的なCGMサイトでは物足りなくなることも。

そんな悩みについて周囲に意見を聞いたところ、旅先の情報は現地のブロガーさんを頼りにしているという友人が多いことが判明しました。

「現地を良く知っている人の情報を見つけるために、例えばハワイなら「ハワイ在住 ブロガー」といった具合に検索していました。ブロガーさんって実際に体験したことが元になっているので情報の厚みが違うんです。様々な場所の情報を発信するブロガーさんたちが、旅というカテゴリーで一ヶ所に集結していたら便利じゃないかと考えたのが旅MUSEの発端です」

また、CGMのサイトなどでは男女も年齢も関係なく全てが一緒くたになって掲載されていますが、ブロガーなら女性を選ぶことでより「行ってみたい」「楽しそう」と共感できるコンテンツが見つかります。男性と女性では、旅の目的もスタイルも違います。女性は、バックパックなどだけで身軽に旅行することより、おしゃれな洋服も荷造りして現地の美味しいレストランに出かけたり、スパでリラックスもしたい。旅先の治安や安全性についても、女性旅行者のほうがより敏感。女性が信頼して旅の情報収集ができる場所が旅MUSEなのです。

PEACH JOHNでコスメ企画を手掛けた後に起業

前職でPEACH JOHNに勤めていた時に野々村さんが担当していたのはコスメ企画。この頃から、ファッションも仕事も楽しみながら輝く女性が求めていることを考え抜いてきました。PEACH JOHNで学んだことは、今、旅MUSEを作る上でもすごく役立っていると言います。

「前職ではONとOFFをしっかり分けて働くスタイルが定着していて、普段はバリバリ働いて、有給休暇はしっかり取って海外へ行く女性がものすごく多かったんです。まさに旅MUSEのターゲットとなる女性たちが私の周りにたくさんいたことは、サービスを作っていく上でとても大きかったと思います」

10年間企業に勤めてからの起業でしたが、起業はやりたいことを実現するためのあくまで手段。迷いや抵抗は特にありませんでした。新サービスの構想をまとめながら協力者を募っているうちにサポーターが次々に集まり、自然と起業という形に行き着くことができたと振り返る野々村さん。

「自分の得意分野と苦手分野は分かっているので、弱い部分をサポートしてくれるパートナーさんを探しました。サービス運営に関してはVOYAGE VENTURESさん、女性経営者やF1マーケットに関しては経沢さん、人事・採用に関してスローガンさんなど、ともて心強い味方に支えられています」

旅のワンストップ型メディアへ

旅MUSEの1日がわかる「タイムライン」
MUSEの1日がわかる「タイムライン」

旅MUSEのサイトでMUSEがつくったコレクションを見ていると、旅に出たい!という気持ちが高まってきます。MUSEの個別トップページから「タイムラインへ」というボタンを押すと、まるで雑誌のページをめくるような感じでMUSEの一日の足取りを見ることができる。ただ旅の内容を綴るブログではなく、フォーマットや見せ方などにこだわりが感じられます。

現在はウェブサイトとして展開する旅MUSEですが、今後まずスマホアプリを開発し、旅のワンストップ型メディアに進化させていくとのこと。旅ゴコロを喚起させた後の見積もりや相談、予約といった旅会社とのシームレスなマッチングプラットフォームを構想しています。また、企業や政府と連携した様々なプロモーション企画にも力を入れていく予定です。

「“最高の旅体験を通して、女性たちをパワフルに!”をコンセプトに、若い女性たちがどんどん海外へ行き、『明日からまた頑張ろう!』と新たな活力を生み出すきっかけとなる旅を提案していきたいと思います」

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