台湾のPOSサービスiChef(資厨)がスーパーマーケット大手から150万米ドルを資金調達

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iPad対応のPOSサービスをレストランに提供している台湾のスタートアップiChef(資厨)が、台湾最大手スーパーマーケットチェーンPxmart(全聯福利中心)のLin Ming-Hsiung(林敏雄)会長から150万米ドルの投資を受けたと発表した。(編集注:原文掲載5月4日)

資金調達ラウンド自体は昨年7月に済んでいたものの、同社はこれまで開示していなかった。Pxmartの現CEOであるHsu Chung-Jen(徐重仁)氏もiChefのシードラウンドに貢献しているが、iChefは食品業者と正式なつながりはないとしている。(Hsu Chung-Jen氏は大手食品小売のコングロマリットであるPresident Chain Store Corporation(統一超商)のジェネラルマネージャーを勤めた経歴を持つ。)

共同設立者のKen Chen(程開佑)氏は、iChefの投資家の小売バックグラウンドは他のインターネット投資家よりもiChefに合っているとTech in Asiaに語る。

「よくO2Oという言葉を耳にしますが、POSはオンラインよりもオフラインなのです。事実、POSとはオフラインのビジネスをオンラインにするということなのです」とChen氏は語る。「投資家を探していたときは辛抱強い人を希望していました。iChefは1年や2年でブームになるようなものではなく、成長を持続させていくからです」とChen氏は続けた。

iChefはChen氏と3人の共同設立者らが開発したPOSアプリで、台湾のビジネスに精通したレストラン経営者を狙っている。2012年のローンチ以来、Chen氏によればiChefは台湾内だけで500以上のクライアントを有し、そのほとんどが月間有料ユーザである。iChefは香港にも顧客ベースがあり、タイと東京のレストランにもトライアルサービスを提供中だ。

様々な業界のSaaS事業者の多くがソフトウェアを無償で提供し、採用される機会を増やすことや市場への浸透を狙っている。Slackもその好例であり、評価額が28億米ドルにまで上り詰めた一因は、充実したフリーミアムモデルだからだ。iChefはこの流行に少し反してレストランに最初から課金している。しかしChen氏曰く、このやり方は会社に合っていると述べる。なぜなら、初期投資することで顧客が製品を愛用しようとする可能性が高まるからだ。Chen氏は語る。

製品を無償で提供し、顧客ベースを大きくして評価額を高めるよう薦めるベンチャーキャピタルも何社かいました。しかし(私たちの見方では)、どれだけたくさんのレストランがリストに入っているかではなく、製品がどれだけ使い物になるかが重要なのです。

Chen氏と共同設立者らはiChefを使うレストランにSquareのような支払いサービスを追加した。台湾でショップ系クレジットカードの普及の妨げになっているのは、アメリカ拠点の小規模企業が直面している問題と類似している。Chen氏は新しい機能がレストランへの普及促進に役立つことを期待しているが、iChef自体は手数料を設けていないので、核となるアプリの会員料を通じてマネタイゼーションが持続可能だ。

【via Tech in Asia】 @TechinAsia

【原文】

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