Tech in Asia が去る3月19日に開催した「Bootstrap Alley Tour Seoul」では、ファイル転送アプリ「Sendanywhere」を提供する Estmob(이스트몹)が優勝した。
今回のショーケースは、ジャカルタ、ハノイ、香港、バンコク、東京、台北、ソウル、クアラルンプール、ヤンゴン、バンガロールなどの10都市を巡回して開催される。各国の首都(訳注:ヤンゴンは厳密には首都ではない)で選抜された優勝チームは、5月6〜7日の両日開催される Tech in Asia Singapore のメインイベントに登壇する機会を得る。
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優勝した Estmob には、2名分の無料航空券と宿泊券、カンファレンス参加チケット、ブース出展権が授与される。このほか、Tech in Asia を通じたメディア露出もサポートされる予定だ。
Tech in Asia は現在、韓国、日本、中国、ベトナム、シンガポールなどアジア各国のスタートアップ・ニュースを全世界の読者を対象に配信している。創業者の Willis Wee が大学生の時代に、スタートアップのニュースとアジアのトレンドを世界に伝えるために始めた個人のメディアが2011年3月に East Ventures の出資を受け、本格的なビジネスとして Tech in Asia に成長した。Tech in Asia は平均3,000人の聴衆が来場する国際的なスタートアップ・イベントとして位置づけられている。
昨日のイベントに参加した8つのスタートアップは、次の通りである。
Tosslab(토스랩)
アジアのマイクロソフトになることを目指す Tosslab は、同社が提供する「JANDI」を通じてオフィスワーカーの業務利便性の向上を目指している。主な機能は、グループメッセンジャー(PC、Android、iOS)とファイル共有である。これらにより、チームや会社のグループコミュニケーションとファイル共有が簡単に行われ、デスクトップとモバイルに最適化された統合プラットフォームを構築してユーザビリティを高めた。 現在 JANDI は、韓国、日本、台湾などでオープンベータサービス中で、ウェブサイトのほか、GooglePlay や iTunes Store からダウンロードして利用できる。
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Estmob(이스트몹)
Estmob の「Send Anywhere」は、一般的なクラウド・ストレージ・サービスとは異なり、2台のPC間で最も高速で効率的なネットワーク転送パスを見つけ、安全に直接転送をすることができる新しい概念のサービスである。
Send Anywhere を使用すると、まるでテニスボールがラケットの間を行ったり来たりするように、異なる機器間で直接ファイル転送が可能である。 USBケーブルも、クラウドサーバも必要ない。スマートフォン、デスクトップ、タブレットなどウェブ閲覧が可能なすべてのデバイスで使用することができる。
Estmob は昨年5月に楽天から10億ウォン(約1.1億円)を資金調達した後、9月には、シリコンバレーで開催された beGLOBAL 2014 でファイナリスト10チームに選ばれた。
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Bridge Mobile(브릿지모바일)
Bridge Mobile(旧称:PlayMobs=플레이몹스)提供する Bridge Call(브릿지콜) は、既存の Skype や Viber のような無料通話サービスと異なり、特別なアプリを起動しなくてもスマートフォンの電話ボタンだけで無料通話ができるサービスだ。
Bridge Mobile は昨年、韓国中小企業庁の「韓国グローバル市場型創業R&D事業(TIPS)」に参加しており、昨年9月にはシリコンバレーで開催された beGLOBAL 2014 でサービスを紹介した。また、9月末には「Startup Battle Korea 2014(나는 글로벌 벤처다 2014)」で優勝した。
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Frasen(프라센)
Frasen は、睡眠時に測定可能な身体情報を収集し、パーソナライズされた睡眠管理サービスを提供する。全世界の市場を舞台に一人一人に合った睡眠管理システムを提供することを目的としている。
チームの90%がグローバル人材で構成されている Frasen は、beGLOBAL 2014 で、海外進出への最初の火ぶたを切った後、シンガポールで戦略的なビジネス結び、500 Startups や Techstars への扉を叩くなど海外市場への進出にも積極的である。
Frasen の生体信号を測定する検出技術と、このデータを処理するビッグデータ分析、それをまとめた資料に基づき、深い眠りを誘導するバイオフィードバック機能をコア技術にしている。
Ediket(에디켓)
Ediket は、合理的な価格でオンライン英文校正・添削を提供するサービスで、ユーザが英語で文を書いてアップロードすれば、アメリカに居住するネイティブのエディタが直接添削をしてくれる。 Google Docs や Microsoft Word では、作成された文書の上に直接添削をすることができないのに対し、Edicat では、文書の任意の場所にすぐに添削できるのが特長である。
平均年齢が23歳と若い従業員で構成される Edicat は、今後、アメリカ市場を攻略して、他の欧米諸国に事業拡大する計画だ。B2C については、プロダクトが十分に浸透されるまでは無料で提供し(フリーミアム)、Evernote のように、部分有料化(プレミアム)してサービスを提供する。B2B については、大学のライティングセンターやキャリアセンターなどに、ウェブベースの添削指導ソフトウェアを直販する計画だ。
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K-pop United(케이팝유나이티드)
クラウドコンサートプラットフォーム「Krowdpop」を提供する K-pop United は、昨年8月、国際ピッチイベントの Seedstars World に韓国代表として出場し、36チーム中4位に上り詰めたチームである。
Krowdpop は、韓流コンサートを開催するためのクラウドファンディング・プラットフォームで、ユーザがキャンペーンを作成し、これに同調するファンがチケットの購入をし、目標額を達成すれば、実際の韓流スターがその国に訪れコンサートが開催される。去る3月には、歌手 Ailee(에일리와)、パク・ジェボム(박재범)、ラッパーの San E(산이)が共に参加する「UNITE THE MIC 2015」コンサートが Krowdpop でクラウドファンディングされ、開催された。
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Revival Labs(리바이벌랩스)
Revival Labs が提供する CongKong(콩콩)は、オフラインイベントの統合ソリューションで、イベントの登録・決済・入場・運営・統計分析に至るまで、すべてのプロセスを効率的に運営管理することを支援するモバイルアプリだ。
これまでに、「世界を変える時間15分」「第13回ソウルカフェショー」「KBS 2014 ITコンサート」「スマートクラウドショー2014」などが CongKong と提携してイベントを開催した。
Ybrain(와이브레인)
2013年2月、KAIST(韓国科学技術院)の修士・博士の出身者が集まって設立された Ybrain は、頭の外側から安全な方法で電流を流し、脳内部の神経ネットワークに沿って奥まで電流を供給して、脳の機能を調節する新しい技術を保有している。この技術をもとに、Ybrainは、アルツハイマー痴呆症の症状緩和のための世界初のウエアラブルデバイスを開発し、大規模な臨床試験を進行中である。
Ybrain は、すでに認知症の症状を経験しているか、通常の老化と認知症の中間とされる軽度認知障害を患っている患者を対象としており、機器は、一日に30分、1週間に5回程度使用することで効果が得られる。
Ybrain は設立直後に7億ウォン(約7,800万円)を資金調達し、その後、昨年8月に35億ウォン(約3.9億円)を調達、さらに、創業から1年半ぶりに韓国のスタートアップとしては最大規模となる42億ウォン(約4.7億円)を資金調達した。
最近では、フランスの脳波分析会社 Mensia Technologies とアルツハイマー性認知症と軽度認知障害の診断と管理のためのビッグデータプラットフォームの共同開発に着手した。 9月、両社は、国際共同R&Dプロジェクトを実施するためのパートナーシップを結んだ。
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【via BeSuccess】 @beSUCCESSdotcom
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