「女性」をひとくくりにしないーー月間PV数7,000万の4meee!が目指すアジア全域のECプラットフォーム

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4meee!と4yuuu!の伸びを表したチャート
4meee!と4yuuu!の伸びを表したチャート

ちょうど1年前に六本木のオフィスにお邪魔して取材した女子向けキュレーションメディアの「4meee!」。リリース後2ヶ月で100万だったページビューは、今では7,000万に。ユニークユーザー数も600万人にまで成長しています。また、今年2月に「BUYMA」で知られるエニグモに買収されたことで、勢いを増して成長しています。

10代から20代の女の子を対象とする4meee!とは別に、2015年頭にリリースしたのが主婦やママ向けメディアの「4yuuu!」です。こちらも開始から5ヶ月ほどで月間2,000万PVを突破、ユニークユーザー数は150万人に到達しています。2つのメディアの現状と今後の方向性について聞いてきました。

良質な記事が生むリピーター

ピンクを基調とした4meee!のトップページ
ピンクが差し色の「4meee!」のトップページ

対象こそ異なりますが、両メディアで徹底して続けているのが、質の高いオリジナル記事を配信し続けること。その甲斐があって、現在4meee!の訪問者の半数近くがリピーターで、1日40本ほど投稿される最新記事を求めて毎日訪問してくれています。

クラウドソーシングを使って安く本数を制作したり、コピペしたりするなんてもってのほか。それが誰向けであろうと、コンテンツの質にこだわるCGMは投稿者のモチベーションなしに成立しません。以前に行ったクックパッドのお出かけ情報サイト「Holiday」への取材を思い出します。

4meee!や4yuuu!では、カリスマブロガーや読者モデルなど感度の高いキュレーター陣がオリジナルの文章を制作することで、他にはない「ならでは」のコンテンツが生まれています。

「オフィスに来て書いてくれる女の子たちもいて、一種のコミュニティのようになっています。4meee!がイケているというブランディングをすることで、4meee!のキュレーターであることを友だちに自慢したくなり、書きたいと思ってもらえる。その結果、質の高いオリジナルコンテンツを集めることができています」(桑山友美さん)

2媒体の人気記事に見る、「モノ」と「方法」という切り口の違い

ベージュが差し色の「4yuuu!」のウェブサイト
ベージュが差し色の「4yuuu!」のウェブサイト

どちらも女性がターゲットですが、ヒヤリングを繰り返した結果、2つのサイトは異なるデザインに落とし込まれています。最近では4meee!のユーザー層にも広がりが見られるため、リリース当初の元気なピンクから、より好き嫌いが分かれない落ち着いた色味にリニューアル。これまでに3回ほど大幅なデザイン改修を行っています。

4meee!と4yuuu! に共通して読まれるのが、ファッションや美容に関する記事です。とはいえ、そのニュアンスや切り口は異なるのだとか。若い女の子向けの4meee!では、旬のアイテムや可愛いものなど「モノ」にフォーカスした切り口が多い一方で、4yuuu!では「ベーシックアイテムを自分らしく着こなす」といった「方法」に特化した内容が多いと言います。

「女性の場合、ちょっとした言い回しやニュアンスの違いでも、「これって私向けの記事じゃないな」と冷めてしまいます。ですから、それぞれの媒体でリアルな温度感はすごく大事なんです」(桑山好美さん)

参考までに、それぞれのサイトの人気記事はこんな感じ。一人の女性として成長するフェーズと、子供や家庭を持ってからのフェーズにいる女性とで関心ごとに違いがあることが見て取れます。

4meee!

4yuuu!

目指すはアジア全域のECプラットフォーム

4meee!と4yuuu!を手掛けるロケットベンチャーの皆さん
4meee!と4yuuu!を手掛けるロケットベンチャーの皆さん

BUYMAにセルアウトしてからは、実務面でもエニグモのサポートを受けることでグロースに専念できるようになったと話す桑山友美さん。キュレーターや新卒の採用を受けて倍増したチームでは、現在エンジニアを絶賛募集中とのこと。女性向けメディアとしてのポジションが確立できた今、次のステージとしてECプラットォーム化を目指していきます。

最近、特に4meee!では、記事を見た後の購買の増加が顕著に表れています。明確な商品を求めてサイトを訪れる訳ではないものの、トレンドのヒントを求めてやってきたら素敵な商品が見つかった。ウィンドウショッピングをしていて結果的に買い物する感覚に近いかもしれません。

「最近はプチプラで購入できるファッション通販が充実しているので、オンラインショッピングの初体験を迎える年齢がどんどん若くなってきていると思います。実際、4meee!でもプチプラの通販サイトは人気です」(桑山友美さん)

現在、この購買部分は外部サイトへの集客という形に留まりますが、今後はメディア内のEC要素をいっそう強化していくとのこと。親会社のBUYMAとの連携やノウハウを活かしながら、ネットで物を購入するという体験をより面白くするための機能や仕掛けを実装中です。目下のゴールは、日本国内だけでなく、昨年末に開始した台湾と香港の女の子に向けた中国語版の4meee!も対象としたアジア全域のECプラットフォームを構築すること。

ネット上に商品が溢れ、同じ商品を取り扱うショップが増えた今、価格での勝負には限界があります。どこで買うかの判断において、これからは商品力よりストーリーが勝る時代。ECより先にメディアであることが4meee!と4yuuu!の強みになることが期待されます。

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