1on1は仕組み化して「やらない理由」を作らないことが大切ーー新進気鋭4社のCTOが語る社内コミュニケーションの方法 #IVS

Takeshi Hirano by Takeshi Hirano on 2015.6.15

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招待制カンファレンス「インフィニティ・ベンチャーズ・サミット宮崎」との共催の形で開催されたアマゾン データサービス ジャパン主催の「IVS CTO Night & Day」もまた興味深い話題が多かったようだ。

私は残念ながら全てのセッションには参加できなかったので、個人的にとりわけ興味深い「経営者としての技術者」の側面が話題になるセッションを訪ねることにした。CEOとCTOの会話、CTOとして社員とどう向き合うのか、重要視される役割は技術なのか経営なのか。

上場を果たして間もないクラウドワークス、動画クラウドソーシングでヤフーからの出資を決めたViibar、世界展開に向けて大型調達を決めたChatWork、そしてKDDI傘下入りして大きく陣容を変えつつあるnanapi。この4社の技術責任者たちが「成長する企業におけるCTOの役割」について意見を交わした。アマゾン データサービス ジャパンの松尾康博氏が進行を務める。

まず、やはり気になるのはエンジニアと非エンジニアのコミュニケーションだ。技術責任者トップはこの融合をどのように考えるのだろうか。

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イベント当日、サイバーエージェントへの第三者割当増資およびドイツ銀行ロンドン支店に対する新株予約権の発行によって最大30億円の資金調達を発表したクラウドワークス。

同社でCTOを務める大場光一郎氏は、自分たちのやっていることをそれ以外の人たちに説明することを大切にしているという。

「日報は他の部門の人が読んでも「わかる」ようにしています。例えば経理の忙しさを営業の人はなかなか理解できない。でもなぜ忙しいのかがわかると大変なんですね、となる。エンジニアや役職に関わらず、わかるようにすることが大切ですね」(大場氏)。

大場氏はクラウドワークス参加当初、顔と名前を一致させるために社員名簿のシステムを作ったという。経歴やプロフィールもわかるようになっており、人数が増えた時に発生するコミュニケーション不足を解決する一歩として参考になる。

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ChatWorkのCTO、山本正喜氏は兄弟で経営者という珍しいパターンだ。兄で代表取締役の山本敏行氏とは創業期にお互い社会人経験も乏しく、敢えて役職でお互いを呼ぶようにしたという。また、敏行氏が米国移住した際には時差の問題から日本のトップという役割を担うようになったそうだ。

ChatWorkでは最近、開発的に大きな方向転換を図っている。それがScalaへの切り替えだ。この切り替えに際し正喜氏は当初、説明に時間がかかったという。

「どうしてそこまで(切り替えに)時間がかかるのか、とか、じゃあどうして最初からそうしなかったのかって言われたり(笑。最終的には『これまで小さな店舗でやってきたけどどんどん増築していったら違法建築みたいになってしまった。建増しで崩れるよりも、基礎から作り直して高層ビルに立て替えなければいけない。けどしっかり基礎ができれば1億ユーザーまで綺麗に建増しができるんです』というロジックで納得してもらいました」(山本氏)。

非エンジニア、特に経営関係の人間にいくら技術用語を並べても、その部分で納得することは難しい。私たちもこういう伝える仕事をしているのでよく理解できるが、お互いに絶対的な定量情報を持ってコミュニケーションするのは必須のこととして、さらにその数字に納得感を出すためのストーリーづくりは大切だったりする。

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逆に非エンジニアに対してもっと技術よりのアプローチを求めているのがnanapiだ。

代表取締役の古川健介氏と中学校の頃からの親友で、現在同社の取締役CTOを務める和田修一氏は創業期の「とにかく目の前の問題を解決しなくちゃいけない。ただ頑張ればよかった」という時期から、大型の資金調達をした後で関係者が増えた時のコミュニケーションの変化をこう語る。

「関わる人が増えて計画が明確になると、コミュニケーションの質が変わりましたね。全く関係ないことをやることには意味がなくなり、どのようなバリューを発揮できるのか、意識して仕事をするようになりました」(和田氏)。

nanapiでは現在、非エンジニアに対して技術研修を実施しており、和田氏が自ら先生として全員にプログラミングの指導を実施しているのだそうだ。

この研修を終えると簡単な掲示板ぐらいは作れるようになるということで、結果的にマーケティングチームが解析などの結果を出す際に効率が上がるなど、コミュニケーション以外の効果もあるらしい。マーケティングが強い印象のnanapiならではのアプローチではないだろうか。

1 on 1の重要性

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ミクシイから動画クラウドソーシングのViibarに移籍したCTOの松岡剛志氏の話で気を引いたのが1on1の方法だ。ミクシイは朝倉祐介氏が代表だった頃、幹部での密なコミュニケーションを取っていたという話がある。松岡氏もまた、Viibar入社時にまずやったのは全員との1on1だったという。

「入ってすぐにやったのは全員との1on1です。みなさんのことを教えてください、どういうモチベーションなのか、達成したいことは何なのか、僕の何に期待していますか、みなさんの期待通りに働けてますか、というのをお聞きしました」(松岡氏)。

松岡氏はまた、1on1で大切なのはリーダーの人にやろうよと言うだけではやらないことが多いので、仕組み化することが大切だとも語っていた。

私も1on1はその重要性を感じながらもなかなか忙しいとかそういうことを理由に避けてきた経緯があるので、非常に耳が痛い話だった。

Takeshi Hirano

Takeshi Hirano

ブロガー。TechCrunch Japan、CNET JAPANなどでテクノロジー系スタートアップの取材を続け、2010年にスタートアップ・デイティング(現THE BRIDGE)を共同創業。1977年生。(株)THE BRIDGE代表取締役

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