韓国発、肌の状態を計測分析できるウエアラブルデバイス「WAY」がクラウドファンディングで目標額の倍額調達を達成

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個人的には以前にも見たことがあったのだが、WAY は上品かつコンパクトで、センサーから収集したデータをもとに、空気汚染、天気、肌の健康状態に関するレポートを提供する。

WAY は最近ローンチした個人向けのスキンケアデバイスで、iOS や Android スマートフォンと接続して使える。現在 Indiegogo 上では、予定小売価格の149ドルの4割引で予約注文のクラウドファンディングを受け付けている(編注:6月末日で終了)。

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この WAY を開発する韓国のスタートアップ、CEO Jason Moon 氏率いるWayWearable は最近、目標額の5万ドルを達成したが、現在は10万ドルに迫る勢いだ。本校執筆時点で、同社はその目標にあと30%のところまできている。あと8日間で達成となるだろうか(編注:既に10万ドルを達成済)。

WAY を手にしつつ、このデバイスを使うには、さまざまな方法があるのだと Moon 氏は教えてくれた。

例えば、湿度が低い時に加湿器の利用を促させたり、危険な環境状態のときに警報を出したり、使い方の説明付きでスキンケア商品を勧めたり、ユーザが行っているスキンケアが効果的かどうかを表示したりできる。さらに、このデバイスは非常に使いやすく、肌の上に置くだけで、肌の健康状態をチェックできる。

筆者は説明書に従って、この小さなドーナツ型のデバイスを頰の上に乗せたところ、プロトタイプ版のモバイルアプリには、すぐさま結果が表示された。筆者の肌の健康状態は、実際の年齢よりは少し老けた肌で、水分や皮脂成分が多かった。WayWearable のマーケティング・マネージャー Regina Yoo 氏によると、センサーは皮脂ではなく肌の奥深くの水分を分析できるため、公式アプリでは皮脂成分の数値は表示しないようにするという。しかし、アプリでは、累積された水分データからわかるような形で、皮脂成分や水分に関する情報も提供する予定だと、Yoo 氏は語る。

手首でこのデバイスを試したところ、筆者は肌の加齢を防ぐために、かなり大量の保湿剤を毎日身体につけた方がいいことがわかった。

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保湿剤をつけていたとしても、乾燥した環境で8時間以上仕事するのは、肌の健康によくないです。

Yoo 氏はによれば、こんなとき、アプリは保湿スプレーなどを使うようにユーザに教えてくれるのだそうだ。

プレスリリースによれば、同社のソフトウェアやハードウェア開発チームは、WayWearable の共同創業者で皮膚科専門医の Ga-na Oh 氏の指導を受け、ソウルの延世(ヨンセイ)大学の生体電流分析部(BIA)とも連携している。公式発表の中で、WayWearable は BIA とともに、電気信号を使って肌の水分を計測する現在の InBody 技術をさらに進化させたいとしている。

ソウル郊外のパンギョ・テクノバレーから、さほど遠くないビルにあるオフィスと研究開発センター近くの小さなミーティングルームで、Jason Moon 氏は座って MacBook を開き、我々のインタビューが始まるのを待っていた。

大変重圧を感じている。

彼がそう言うのも無理はない。Indiegogo のようなグローバルな舞台でクラウドファンディングするのは、公園を散歩するのとは話が違う。しかし、8日間の間に、追加で3万ドルのクラウドファンディング目標を立てたことに対し、筆者が彼のチームがどのような活動をしているかを聞こうとすると、その前に、彼は 1,400人の参加が予定される SparkLabs のデモデイでのピッチでの反響に期待したい、と話した。

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デモデイでは、Moon 氏は、SparkLabs のインキュベーション・プログラムに入ってからこれまでの、WayWarable の進捗をピッチすることになる。100カ国500人のバッカーから支援を得るという高い需要を誇っており、この事実はデモデイのようなイベントに頻出するベンチャーキャピタリストに、WayWarable が投資可能な会社だと見てもらうのに好都合だし、大企業との提携関係にも可能性を広げるだろう。

クラウドファンディングへのバッカーの出身国100カ国のうち、大半のバッカーは韓国の個人からによるものだ、と Yoo 氏は語った。同社が韓国拠点であることを考えれば、これは驚くことではなく、韓国は化粧品やスキンケア商品においては、ホットな市場である。筆者は韓国に来てみて3週間が経過したが、フェイスマスク、ローションなど、肌関連の商品を売る店を見ない日はない。

事実、韓国では、スキンケア産業は巨大かつ賑やかだ。ワシントンポストによれば、男性女性をターゲットにする美容産業は、毎年約100億ドルの売上がある

Yoo 氏は、韓国についで、極めて多くのユーザがアメリカにいると語った。シンガポールも、WayWearable がビジネス規模を拡大しようとしている市場だ。彼女は、アメリカから多くの人々がクラウドファンディング・プロジェクトを訪れているが、シンガポールや他の多くのアジア諸国のユーザからもよい反応が得られつつあると付け加えた。

K-beauty(韓国美容)は非常に有名で、多くのアジア諸国が K-beauty に関心を持っている。

彼の言う通り、The Face Shop、Skin Food、Innisfree など、韓国の多くのスキンケアや化粧品ブランドが、シンガポール、タイ、マレーシア、フィリピンなどのアジア諸国で人気を得ている。近年、世界で放映されるテレビ番組で韓国の女優が人気を得たり、K-POPアイドルが美容やスキンケア商品を勧めてたりしているのも、この流れに貢献している。

WayWearable は、Moon 氏にとって、初めての会社ではない。彼は、モバイル動画アプリや Facebook グループで健康関連コンテンツをプロデュースする会社 Design Your Body を3年間経営した。Startup Nomad のプログラムの一環で、Moon 氏の彼のチームはシリコンバレーを訪問し、ウエアラブル・デバイスや IoT にブームが来ていることを認識した。しかし、ユーザの70%を占める女性向けに、健康に利益をもたらすデバイスを見つけるのは困難だった。

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彼はシリコンバレーでの経験をもとに、女性の健康や美容をコネクティッド・デバイスの波につなぎ、WAY を開発するに至った。

e27 とのインタビューの中で、Moon 氏は WayWearable の開発する中で最大の難関は、チームを作ることだっとと語る。

小さな会社なので、商品はあまり重要ではない。むしろ、チームが重要だ。多くの投資家は、チームの構成メンバーや文化などを重視する。私はチームを集めるのに最大限の努力をした。今現在8名いるが、とれも難しいものだった。

多くの人は、よい給料を求めて大きな企業を目指す。我々の会社は小さく、始まってまもなく、アーリーステージにあり、ビジョンを共有しなければならない。しかし、ビジョンの共有は大変難しい。

インタビューの部屋に居た Yoo 氏は、彼女の WayWearable に対する考えと、入社した理由について語り始めた。

すべての理由は、Moon 氏だ。彼は最高のチームメンバーを集めようと全力を尽くしていた。私にも1ヶ月にわたって連絡を取り続けてくれた。1月には、1ヶ月間に渡って私を説得し、会社のビジョンやチームメンバーについて話し続けた。これは大変難しい決断だった。去年、私はアメリカの企業で働いていたが、12月、いや、11月くらいに戻ってきて、若い韓国人の一人として、大企業で働くかスタートアップで働くかの決断を迫られた。

大企業ではなく、WayWearable に参加することにした Yoo 氏や彼女の同僚の決断こそ、スタートアップで働こうとする姿勢の変化の現れだ。若い世代にとっては、Kakao、Coupang、Yello Mobile などの有名企業に入社する選択肢もあるわけだから。

WAY のようなスマートデバイスが人気を博する世の中を想像するのは難しくない。OL が化粧品の入った小物入れから、目立たないデバイスを取り出し、保湿した方がいいかどうかを確かめる、というシーンだ。WAY の最新版を使えば、皮膚科専門医は処方の結果、患者が快方に向かっているかどうかを確かめることができる。頻繁に世界を旅をする人なら、気候が変化しても肌を適切に水分を帯びた状態に保つことができる。可能性は無限大だ。

【via e27】 @E27co

【原文】

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