PayPalがハッカソン世界ツアー「BattleHack」の東京編を開催、シリコンバレー本戦を目指して41チームがピッチ

by Masaru IKEDA Masaru IKEDA on 2015.6.15

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13日〜14日、PayPal と その子会社 BrainTree が世界的に展開するハッカソンツアー「BattleHack」の東京チャプターが開催された。BattleHack は週末の24時間をかけ、グループでプロダクトやサービスを開発するハッカソン・イベントで、決済手段として PayPal を組み込むことが条件。Beacon デバイスの Estimote、WebSocket が容易に使えるリアルタイム API の Pusher、アプリ開発クラウドの Heroku、メール送信クラウド SendGrid などパートナーが提供するソリューションを利用することもできる。

東京では初の開催にもかかわらず41チーム約130名が参加し、イベント終盤の2分間ピッチでは激しい攻防を繰り広げた。BattleHack は東京をはじめ、世界14都市(アジア太平洋地域では、東京以外にシンガポールとオーストラリアのメルボルンで開催)で繰り広げられ、各都市の優勝者は11月に PayPal 本社のあるアメリカ・サンノゼで開催される BattleHack World Finals に招待される。

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2分間ピッチの審査員は、次の方々が務めた。

  • John Lunn氏、BrainTree の開発者・スタートアップ・リレーション・チーム BrainTree_Dev. のシニアディレクター
  • 松田明氏、Ruby コミュニティ Asakusa.rb
  • 西村賢氏、TechCrunch Japan 編集長
  • 前田ヒロ氏、エンジェル投資家

では、優秀な成績も残したチームのアイデアを見てみることにしよう。

1位:Talk’n’Pick

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スマートフォンでビデオを撮影、音声が入っている部分だけを切り出して編集してくれるサービス。無音状態のフレームは自動的にカットされる。編集はクラウドで処理されるため、動作が軽いのが特徴だ。

Talk’n’Pick を開発したチーム4名のうち、1名は「ニュースから動画を自動生成するプロジェクト」、2名は「意思決定に資する解析システム付きの共創プラットフォームの開発」で2014年の未踏IT人材発掘・育成事業に採択されたメンバーだ。

(訂正とお詫び:本稿初出時、3名を「ニュースから動画を自動生成するプロジェクトで2014年の未踏IT人材発掘・育成事業に採択されたチームのメンバー」としていましたが訂正しました。)

Talk’n’Pick のチームリーダーを務めた Daniel Perez 氏は、11月のシリコンバレー本戦に向けた抱負を聞かせてくれた。

エンジニアの仕事は、エンジニアの仕事を無くすことだと思っています。私はフランス人ですが、(シリコンバレー本戦は)日本以外でのハッカソンは初めての経験であり、BattleHack はフランスでは開催されてないので、フランスの分まで頑張りたいと思います。

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2位:DAWGS(サービス名:SnShot

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写真をアップロードし、イベント会場などに設置した写真プリントマシンで簡単に印刷することができるサービス。写真の購入にあたり、PayPal を使って決済。

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3位:Team Cheers

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オープンソースを作るコントリビューター達に、お金を寄付できる Google Extension。OSS のサイトに埋め込むしくみではなく、Google Extension として提供することで、だれでも簡単にコントリビューターに寄付ができる。

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Pusher Award: Hira Hackers(サービス名: CubeFit)

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都市部などスポーツをするスペースがないところでも、簡単にスポーツを楽しめるガジェット。胸につけたガジェットで、ボールのバウンド数をカウント。トレーニング履歴を記録し、スマートウォッチで運動量を計測することができる。

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Heroku Award: Team Batoran(サービス名:Bynjo)

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レストランなどで店内にいるお客のオーダーしたメニューに基づき、同じメニューをオーダーしたお客の価格が割り引かれるサービス。レストランは同じメニューを一度に調理することで手間を省け、売上を増やすことができる。Estimote が店内に設置されており、ユーザは Bynjo に参加しているレストランに入店すると、割引に関する情報をプッシュ通知される。

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Estimote Integration Prize:noXcuse

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街には多くのレストランがあり、どの店に入ればよいかを決めるのは難しい。事前に情報を獲得し、テーブルを予約、食べたいものをオーダーし事前決済。レストランに到着すると、各テーブルには Estimote が設置してあり、ユーザはどのテーブルに着席すればよいかがわかり、到着からまもなく料理が提供されるシステム。

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SendGrid Prize: Bario(サービス名:Chokin

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世界に日本の貯金の文化を発信すべく、貯金を奨励するプラットフォーム。PayPal の Payment Account、Savings Account の2つの口座を持つことで、定期的にメールでユーザに貯金を促す。予め設定された目標額に達すると(例えば、15万円貯まったら焼肉を食べに行く、など)、当該金額が払い出せるシステム。

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なお、入賞できなかったチームについても、BattleHack ウェブサイトのダッシュボード上で、彼らの挑んだプロジェクトの詳細を知ることができる。

ピッチ・セッションの終了後、今回の BattleHack 東京イベントを終えての感想を、Braintree_Dev シニアディレクターの John Lunn 氏を尋ねたところ、彼は、夜を徹して前代未聞のイベントに臨んだ参加者やスタッフの苦労をねぎらいながら、健闘ぶりを絶賛した。

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技術的にも簡単ではないにもかかわらず、ビデオを編集して見せるという一連のデモを制限時間の2分間でやってのけた点について、特に優勝チーム Talk’n’Pick の出来栄えは素晴らしかった。

日本のスタートアップ・イベントでは、ピッチ・コンペティションに参加した海外の審査員(ベンチャーキャピタリストであることが多いが)から、「サービスは面白いけど、どうやって儲けるのか」と、ビジネスモデルについて疑問を呈されるシーンをよく見かける。

筆者は、BattleHack では、サービス に PayPal を組み込むことが条件になっているので、マネタイズできるサービスを開発する良い手助けになるのではないか、と聞いてみた。

お金の儲け方が十分に考えられていないのは、何も日本のスタートアップに限った話ではない。重要なのはお金を儲けることよりも、ユーザからお金を集める方法だ。フリーミアム・アプリを作っても、結局、4% のプレミアム・ユーザ(有料ユーザ)が 96% のフリーミアム・ユーザ(無料ユーザ)のサービス提供分を支払っている、という構図では仕方がない。

スタートアップはもっと早い段階から、どのようにお金を集めるかということを考えるべきだ。ロンドンやインドにある BluePrintStartTank など、我々が提供するインキュベーション・プログラムも活用してもらい、さまざまなスタートアップが早い段階で、正しい決断をしてほしいと思う。

John はこのように語り、彼と BattleHack の運営チームは、このツアーの次なる開催地であるベルリンへと旅立って行った。

11月にサンノゼで開催される BattleHack World Finals での Talk’n’Pick チームの健闘を期待したい。

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