フランス発、小売業向けポップアップ・ストア賃貸プラットフォーム「PopUp Immo」が語る日本市場進出への期待

本稿は、フランスのスタートアップ・ブログ Rude Baguette に掲載された記事を、同ブログからの許諾を得て翻訳転載した。本稿でインタビューを受けた PopUp Immo は、4月10日に福岡で開催された B Dash Camp 2015 Spring in Fukuoka のピッチセッション「ピッチアリーナ」に登壇し、日本市場への進出の意向を明らかにしている。

The Bridge has reproduced this from its original post on Rude Baguette under the approval from the blog.

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最も優雅で成功裏なビジネスのアイデアは、往々にして非常に単純明快なものだ。PopUp Immo は非常に重要な二つの基本的なニーズを示そうとしている。最小の投資額で顧客認知を確保したいブランドのニーズ。そして、テナントを埋めたい事業用不動産物件のオーナーのニーズ。

昨年のローンチ以降、PopUp Immo はブランド及び広告主と事業用不動産セクターを結びつけるマーケットプレースとして、直ぐに空き物件を次々と埋める例のない効果を発揮し、瞬く間にフランスでこの分野でトップのマーケットプレースへと成長を遂げた。

フランスのアクセラレーションプログラム「NUMA」への選出と決勝進出の直後、日本で開催されたテックイベント B DASH Camp において、PopUp Immo の創業者 Mohamed Houashe 氏は同社のビジョン、ブランドと小売店へ提供する独自価値、そして特にアジアを中心とする迅速な海外展開計画について述べている。

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PopUp Immo のチーム。右から2人目が創業者で CEO の Mohamed Houache。

PopUp Immo とは何者で、その特徴とは?

Mohamed: PopUp Immo は、小売業の革命です。私達はブランド、アーティスト、デザイナーらが短期間使用できる販売スペースを見つける手助けをしています。技術というよりはサービスの革新ですが、私達がブランドの将来にインパクトを与えていることは確かです。

私たちのローンチに先立ち、このような市場、つまり、この種のサービスの周辺に透明性や効率性は基本的には無かったのです。フランスにおける小売業向け短期スペース賃貸を提供するマーケットプレイスとして、私たちは現実的かつ基本的な人々からの要望に対応しているのです。

Pop Upストアを開店できるということは、小売業が顧客とコミュニケーションをとり、ソーシャルネットワークを駆使してファンを店舗に呼び込み、その後も繋がりを持つ、という縁(優位性)が得られることを意味します。あらゆる意味で我々は、オンラインからオフライン、そしてオフラインからオンラインのソリューションサービスなのです。

PopUp Immoが特にどんな人から注目されていると思いますか?

Mohamed: パリでの市場試験を行うためにフランスに来たいと考えているアメリカのブランドのことを考えてみると、直接顧客と接することのできない全てのeコマースのプラットフォームや、あらゆる有名ブランドとの契約に苦労しているPR及び広告業者は、このどんなオンライン市場キャンペーンよりも高い収益をもたらすアプローチを提案できます。

もう一つの予期しなかった利点は、Pop Upストアがパリの特定の地域を活性化していることです。私たちがPop Upストアをローンチし、ブランドが良質なコミュニケーションと体験を提供して以降、人々がその地域に再訪するようになりました。

例えば、昨年12月にSentier(パリ市内のサンティエ地域)の小さなストリートにPop Upストアを予約するため、男性用の小さなアクセサリーを取り扱う10社でなる団体が来たのですが、彼らは非常に熱心にプロモーションを行い、その店舗はその月の売上トップのPop upストアとなりました。この成功の後、現在あらゆる業界のブランドがスペースの予約待ちをしています。

これらのスペースの所有者をどうやって見つけ出しているのですか?

Mohamed: 彼らのほうから連絡が来るのです。私達はマーケットプレースの両側の役に立っています。個人所有者も不動産業者も問題を抱えており、多くはスペースを新しく再活用したいと考えている一方、長期テナントが見つかるまで一時的に賃貸したい者もいます。ブランドに対してと同様、私達は所有者やエージェントにも柔軟に対応できるのです。

関連するサービス全般は?(デザインやプロモーション等の)Pop Upストアの特長的概念へのサポートは?

Mohamed: 我々はまだ非常に小さなチームのためまだないが、ブランドをデザイナーや広告代理店などと結びつける代理店業界に展開すれば、PopUp Immo を中心としたエコシステムを作ることができます。しかし、エージェント業の問題はスケールしないということであり、より多くの人手とリソースが必要となる点です。また、事業の性質も全く異なります。とはいえ、中期的にも事業拡張するつもりがないということではなく、いま現在はまずマーケットプレースに集中するということなのです。

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福岡で開催された BDash Camp でピッチする CEO の Mohamed Houache。

先月のB Dash Campで決勝に進出されたのを存じています。B Dash Campといえば、日本の福岡で開催される完全招待制の、テクノロジー企業向けの最高かつ輝かしいイベントですが、その時の話を少し聞かせてください。

Mohamed: 私は、コンテストに参加するチャンスをいただいただけでも嬉しかったのですが、ましてや最終段階まで残ることができて光栄に思っています。最初は、市場調査と小売スペース用に革新的ソリューションを提供するフランス企業の存在を世界に知らせるつもりで参加することにしました。

他にも非常に素晴らしいプロジェクトがあったので、決勝まで進んだのは本当に驚きでした。自分にとってB Dash Campに参加すること自体が決勝のようなものだったから。決勝に進出した唯一のヨーロッパ企業となり、決勝戦の後に素晴らしいフィードバックを貰えたことは大きな成功です。実感できたことは、マーケットプレイスを中心に説得力あるストーリーを創りあげることができた、しかもそれが特徴的な切り口なのだ、ということです。

先月アジアを訪れた際に香港へも旅行なさいましたね。日本や他のアジアの市場についてはどうお考えでしょうか?

Mohamed: まず日本から始めようと考えています。非常にユニークですし、PopUp Immo にとって魅力的な特徴をいくつも持っているのです。日本の消費者の購買力はとても高いですしね。日本の人達はブランドが大好きですし、楽しんでいます。そして東京は空き店舗率が非常に高い。これらの事実を総合すれば、とても面白いチャンスがあると考えています。一番の懸念は、日本での事業ノウハウを手に入れたり、PopUp Immo を日本の消費者に合うように完璧にカスタマイズしたりできるかということです。

VC の専門家や企業経営者やいろいろな人に会いましたが、強調していたのは、日本にはPopUp Immo にとって大きい市場があるということでした。例えば、小売のスペースを提供することで、日本とヨーロッパの間の架け橋になることが出来るしょう。

香港にも滞在しました。日本とは違うダイナミズムがあり、市場の成長率は高く、まったく規制がなく、ショッピングモールに特化した地域です。香港の空室率は日本より低いものの、中国進出を図る前に香港でテストしたいと考えるブランドは多いです。

PopUp Immo については、すばらしい現実的な選択肢が2つあるわけですが、これらの市場で成長するには、明らかに多くのリソース、特に現地の人材が必要になります。

この分野にはスタートアップが増えてきていると思われますが、競合についてはどうでしょうか?

Mohamed: 私達は、特に、最近多額の資金を集めたイギリスやアメリカの競合他社には、かなり注意を払っています。しかしながら、現時点で私たちは、より多くのリソースを用いる競合に対して数少ないリソースで対抗することができています。

市場初という優位性を武器に、ロンドンや東アジアのような新しい市場へ進出を図るべく、巨大ブランド各社から注がれている関心をもとにして、いち早く発展したいと思います。特に、外観が似通ったショッピングモールが多く存在するアジアにおいて、Pop upストアは小売業にとっての差別化要素になると感じています。

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