ここ最近、メディアやPRに関するビジネスに携わっていたプレイヤーがサービスを提供することが増えてきた。CINRAによるシティガイドサービス「HereNow」やPRパーソンのコミュニティサービス「PR Table」などがそうだ。
またひとつ、編プロと呼ばれていた会社が動きを見せた。ウェブメディアの運営やコンテンツの制作を手がける東京通信社がスローガンから資金調達を実施した。東京通信社はインフォバーン出身の編集者とウェブディレクターの2人が、2013年に共同で立ち上げた会社だ。
同社はキャンペーンやコンテンツの制作、ウェブメディアの運営といった仕事を手がけ、2014年3月に「The World Elements」というライフスタイルをテーマにしたメディアを立ち上げた。今回の資金調達はこのメディアに注力するリソースを確保するために実施された。
写真内に”リンク”を付与できるメディア
東京通信社は「The World Elements」のことをライフスタイルキュレーションメディア、と呼んでいる。キュレーションメディアと呼んでいるが、近年急速に数を増やしたキュレーションメディアとは異なる点がある。
ひとつはコンテンツの編集力だ。様々なウェブメディアの立ち上げと運営に携わってきた東京通信社が蓄積してきたノウハウをつぎ込んでコンテンツを作成している。特に写真に力を入れており、雑誌の写真のように媒体の世界観を伝えるものになっている。
この写真に「The World Elements」のもうひとつの特徴がある。写真にリンクを貼り付けることが可能になっており、リンクを貼り付けられた写真はマウスオーバーするとリンクが貼り付けられた箇所が浮かび上がる。
リンクを付与した写真はコードが発行され、以下の写真のように外部サイトに貼り付けることも可能だ。
分散型コンテンツとコマース
クオリティの高い写真と、写真のリンク・貼り付け機能。こうした機能を伴った「The World Elements」は単なるメディアではない。「The World Elements」の今後の可能性について、東京通信社CO-CEOの野垣映二氏はこのように語る。
野垣氏「3月にリリースした「The World Elements」はβ版という位置付けでした。3ヶ月ほど運用してきて、コンテンツの質の高さなどを国内の大手企業にも評価してもらえており、広告の話などもいただいています。「The World Elements」は将来的に、コマースにつなげていきたい。分散型コンテンツのコマース版、分散型コマースのような領域にトライしていきたいと考えています」
メディアコマースのほうに注力するため、エンジニアとまとまった資金を求めていた東京通信社の2人が知人の紹介で出会ったのがスローガンの伊藤豊氏だ。
伊藤氏「東京通信社のお二人はインフォバーン出身で、独立してこれまでもオウンドメディアの受託仕事を経験してきています。満を持して自社サービスに注力していこうという段階で、ぜひ応援していきたいと思いました」
野垣氏「期待していると言ってもらえたのが嬉しかったですね。チーム自体を信頼するとういう話と、「これがダメでも別のプロダクトでうまくいきますよ」という声をかけてもらえたこともよかったです」
技術力と資金を手にした東京通信社が「The World Elements」で実現したいのは、デジタルポップアップショップのような存在。
星野氏「Facebook、Pinterest、Twtiterなどに写真を流していき、それが最小単位のウェブショップになるような状態を作りだしたいと考えています。各プラットフォームが独自で購入ボタンを開発し始めていますが、プラットフォームと提携しながら入り込んでいきたいと思います」
コマースサイトの外で購入できるようになる流れはますます加速していくだろう。その流れを見ても、「The World Elements」の挑戦は興味深い。だが、これまでサービスの開発をしてきたわけではなかった東京通信社が「The World Elements」の開発に取り組み始めたのには、どのような背景があったのだろうか。
野垣氏「サービスは最初から開発したいと考えていました。編集者とウェブディレクターというバックボーンをもつ私たちが、その経験を活かすことができるメディアサービスの領域で勝負していくのは必然だと思います。
これから先は、ウェブサイトもなんでも全部メディア化していく流れ。すべてがメディア化していき、様々な職種の人々がメディアに携わるようになっていく中で、最初のDNAがどこにあるのかが鍵になると私たちは考えています。」
編集とテクノロジーの融合に挑戦する彼らが、「The World Elements」を通じてどのような世界を見せてくれるのか、楽しみだ。
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