海外では10億円規模の賞金レースもーーモバイルeスポーツ「ワンダーリーグ」が開幕

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皆さんは「eスポーツ」をご存知だろうか?耳慣れない、という方はまずはこのムービーを見て欲しい。

エナジー飲料でおなじみのRedBullがスポンサードして数々のエクストリームスポーツを映像化、YouTubeで配信しているのだが、その内のひとつとしてeスポーツもしっかりエントリしている。彼らにとってこれはスノーボードやバイク、サーフ、ダンスと並んでeスポーツが立派なマーケティング対象になっているという証拠でもある。

それもそのはずでこのeスポーツ、有望な次の成長株なのだ。詳しくはこのVentureBeatの記事をご一読頂きたいのだが、2013年時点でこういう調査結果が残っている。

SuperData Researchによると、2013年には世界で7100万人の人が、2500万米ドルの賞金をめぐってゲーマーたちが競い合うのを観戦した。アメリカだけで3140万人がeスポーツを観戦し、その中の70%が男性、55%が21歳から35歳までの年齢層である。
参考記事:アジアで次にくるらしい巨額のビッグトレンド「eスポーツ」とは?

優勝者に与えられる賞金額も大きく、例えばValveというゲームパブリッシャーが運営するトーナメントはクラウドファンディング形式で1000万ドル(100円換算で10億円)の賞金を用意しているというから、「THE アメリカンドリーム」的な要素もこのブームを牽引する一因になっているのだろう。

eスポーツのビジネス的な興味は、単なるゲーム会社のマーケティング・キャンペーンとしての側面だけでなく、冒頭の事例のような第三者によるスポンサード興行が成立している点にある。ここ最近でAmazonが買収したゲーム実況のTwitchもその熱狂を知る上で重要な動きと言える。同記事ではこのように言及している。

アメリカのeスポーツ業界には有力なプレイヤーがいる。それはTwitchだ。TwitchはAmazonが2014年8月に9億7000万米ドルで買収したライブストリーミングのビデオプラットフォームで、現在1億以上の月間ユーザがおり、そこにはミレニアル世代(1970年代後半から1990年代に生まれた世代)の全アメリカ人男性の約半分が含まれている。

Twitchユーザのうち半分近くの人は、週に20時間以上をこのプラットフォームに費やす。これはアメリカのインターネットトラフィックにおいて、Netflix、Google、Appleに次ぐ第4位にランクされる。(VentureBeat同記事)

このようにeスポーツやゲーム実況の市場が徐々に顕在化しつつあることがわかるだろう。そして今日、この市場に日本から少し変わった角度でチャレンジしようというプレーヤーが現れた。

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モバイルeスポーツを手がける「ワンダーリーグ」は6月22日、そのサービス開始を発表すると同時に、アライアンスの第一弾として糸通しのチャンピオンイベントを開催、賞金として10万円を提供すると発表した。

ワンダーリーグはスマートフォンアプリのカジュアルゲームによるイベントプラットフォームで、タイムスコアリングで毎日1位と100位を獲得したユーザーに対して賞金5000円を提供するもの。1日5回まで無料でチャレンジでき、賞金イベントは24時間開催される。24時間が経過するとイベントやゲームも日替わりになる仕組みだ。

17歳以上が参加可能で、賞金は週明けの月曜日に銀行振込により入金される。Android4.0以上、iOS7以上が必要で、所定の利用回数までは無料となっている。

今回スパイシーソフトと共同で開催するチャンピオンシップイベントは毎日開催されるイベントとは違い、タイトル配信会社がスポンサーとして賞金を用意し、3カ月の同タイトル配信中(毎週火曜日と土曜日に配信)にトップスコアを獲得したユーザーに対して賞金が提供されることになる。

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ワンダーリーグ代表取締役の北村勝利氏

ワンダーリーグ代表取締役の北村勝利氏は、アイフリークでの経営陣経験やDeNAのモバゲーで配信されている「モバ7」の開発元バタフライで代表を務めるなどした人物で、今回の「モバイルによるeスポーツ」というアイデアも過去のゲーム開発などから着眼点を得たという。

「元々Appleの規約でGREEやモバゲーのような「アプリinアプリ」のようなプラットフォームはできませんでした。そこでワンダーリーグでは比較的開発の容易なカジュアルゲームをこのプラットフォーム内に自社で作り直して入れることで成立させています。これはモバ7を運営していた頃からのアイデアでした」(北村氏)。

国内外eスポーツのコアユーザーがPCメインのヘビー層であるのに対し、ワンダーリーグはモバイルのカジュアルなボリュームゾーンを狙う。今後は早期の海外展開も視野に、興行としてのイベントも計画していくという。

また、気になる賞金ゲームに関する国内法の準拠についても、関連してくるのは賭博罪か景品表示法違反のいずれかになるとして、このように説明をしてくれた。

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いわゆる賭博罪についてはユーザー同士の拠出金を賭けるものではないので該当せず、懸賞に関する景品表示法については、上記のように一人当たりの想定利用単価を500円と設定し、その20倍までを上限とする制約に該当すれば問題ないとの回答を消費者庁から得ているということだった。

また、チャンピオンシップイベントについては賞金ではなく、プロモーション契約という業務委託になるそうで、これも問題とはならないらしい。

現時点で賞金自体はそこまで大きくなく射幸性もあまり感じられないので当面は問題なさそうだが、もしこの賞金額が海外同様大きくなってきた場合には運営側に別の対応が必要になるかもしれない。

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