KDDI ∞ Labo第8期DemoDay、最優秀賞は女性靴職人が作る「シンデレラシューズ」が獲得、ものづくり支援も開始へ

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KDDIは7月14日、ヒカリエにて第8期となるKDDI ∞ LaboのDemoDayを開催した。今回も引き続き同プログラムのパートナー企業が各社のメンタリングを担当し、3カ月の支援期間をスタートアップと共に駆け抜けた。

参加者投票によって選出されるオーディエンス賞および最優秀賞は「シンデレラシューズ」運営のシンデレラが獲得。以下に各社のプレゼンテーションをまとめる。(見出しはサービス名(社名が違う場合はカッコ内)と代表者名)

シンデレラシューズ(シンデレラ):松本久美さん

シンデレラの名の通り、女性が自分の足の情報をオンライン登録することで、最適な靴を提案してくれるECサービス。プログラムに採択された代表取締役の松本氏はこれまで13年間、靴のデザインに携わっていた人物。

靴はサイズだけでなく、足の様々な情報必要だが測ったことがある人は少ない。一方でお店の店員はシューフィッターなどのフィッティング技術を持っている人も少なく、またセミオーダーの靴屋は高く、あまり可愛いくない。

松本さんはそこでシューフィッターに対して靴のセレクトを依頼すればこの課題が解決できると考えた。スマートフォンカメラで足の写真を送ることで診断書を作成、ぴったりの靴を提案してくれるようになる。KDDIと三井不動産が彼らのメンターを担当し、画像認識の技術や女性へのヒアリングなどで協力した。

Oshareca:佐竹夏美さん

ヘアスタイルの情報は溢れているけど、自分の髪質や好みにあったパーソナルな情報がほしい。いつもの美容師はいるけど、頻繁にはあえない。予算も限られている。そこでもう少し美容師とコミュニケーションができるサービスがほしい。ということでできたのがOshareca。これは美容院ではなく、美容師を個人で指名して予約するアプリ。

代表取締役の佐竹夏美さんは女性学生起業家で、これまでの非効率な電話予約をオンライン化することで業界の効率化を狙った。メンターにはクレディセゾンが参加し、同社のビジネス・ネットワーク内にある理美容業界のマーケット情報などで同サービスのフォローアップを実施した。

Bee Sensing:松原秀樹氏

人工知能を備えた「蜂の巣箱」で生産管理を実現するのがBenSensing。はちみつを生産する養蜂産業は人口の少ない場所が適しているため、自動化や効率化へのニーズは大きいと語る。代表の松原秀樹氏は養蜂家としてはちみつを生産いている人物で、安価な外国産に押されている現状を解決したいと今年独立した。

はちみつは場所や花の種類によって味わいが違う。遠隔地から巣箱の状態がわかるのでわざわざ出向かなくても管理ができるため、一家で平均22箱しか管理できなかった状況が改善されると語る。同サービスではちみつの販売も支援する。

松原氏は国産のはちみつを全体の半数まで引き上げたいとビジネスチャンスを語る。メンターには社内事業でも農業への進出が検討されている凸版印刷が務めた。

ものづくりプラットフォームPU(SuperStudio):真野勉氏

SUPERSTUDIOが提案するのが、ものづくりプラットフォームのPU。インテリアや雑貨、アクセサリなどを対象にしたDIY関連のハウツーをまとめて動画コンテンツ化、作り方レシピなどを投稿して共有することで、手軽にDIYができるようにする。

ウェブメディア、イベント、ECを連携させており、例えば素材はこのサイトから直接購入ができるなど立体的なプラットフォームを目指している。真野勉氏らは足立区の倉庫を拠点に美大生などとの制作協力体制なども構築するという。朝日テレビがメンタリングを担当し、安い値段で大量の動画を制作するなどのノウハウをを伝えた。

LYNCUE:塩塚 丁二郎氏

遠隔地での照明器具をネットでつなぐデバイスがLYNCUE(リンキュー)だ。片方が明かりをつけると、同じデバイスを使っているもの同士、離れた場所でもその存在を感じられる。同社はこの「明かりを使ったコミュニケーション」というコンセプトを提案している。

LYNCUEにはカメラとプロジェクターが備わっており、遠隔地にある2つのデバイスの明かりが付くと、お互いに映像を送ることができる。例えば、遠くに住んでる祖父母にLYNCUEを送り、なかなか会えない子供や孫と一緒に自然なテレビ電話でのコミュニケーションを実現する、なんていうことが可能だ。

メンターにはKDDIのほか日立製作所が参加し、彼らの持つアイデアと日立のハードウェア製造ノウハウ(回路設計まで手伝ったそう)、さらにKDDIの通信環境を組み合わせ、具体的な製品化を支援した。

連携企業、連携地域が拡大する第9期、ものづくりの新プログラムも

なお、DemoDayの最後に次期プログラムの方針についてKDDI代表取締役執行役員専務の高橋誠氏から説明があった。

第8期では15社のスタートアップ支援企業と一緒にプログラムを運営し、初めてのハードウェア設計までをこなした。これまでに卒業した企業は39社、出資先は29社に積みあがった。

またプログラムと並行して実施されるビジネスマッチングについては、パートナー企業との間に前期の倍となる70社のコラボレーションを生んだそうだ。

「毎回新しいことやらないといけないというプレッシャーある」と話し始めた高橋氏は次なる支援策について「ものづくり機運の高まりに注目している」と続ける。9期ではパートナー連合をさらに拡大し、Google,住友不動産、三菱UFJニコスが新たに加わり18社となった。地方連携については石巻市、広島県、福岡市が追加となってこちらも拡大している。

更に次回からものづくり関連の新ビジネス支援に向けたプログラムの発表もあった。こちらは通常の3カ月とは異なり、6カ月の支援期間となる。DemoDayをクリアしたスタートアップにはその後のビジネスマッチングなどの支援も実施するということだった。

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