#RISEconf: 「スタートアップ・ビジネスと規制」——ソフトバンク副社長Nikesh Arora氏が考える、ディスラプティブなビジネスの攻め方

by Masaru IKEDA Masaru IKEDA on 2015.7.31

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本稿は、スタートアップ・カンファレンス「RISE 2015」の取材の一部である。

インターネット・ビジネスにおいて、スタートアップや起業家は比較的自由な存在だ。市場ニーズがあるところに飛行機で飛んでいき、あるいは、現地へ赴くことさえなく遠隔でビジネスを立ち上げることもできる。その市場で遠方からの新たな挑戦者を迎え撃つのは、多くの場合、地元の産業に従事してきた人々ということになるが、ここで軋轢が生まれることは少なくない。バケーションレンタル vs. ホテル・旅館業界、タクシー配車アプリ vs. 地元のタクシー組合という対立は世界の随所で起きている。

しかし、神出鬼没のシェアリング・エコノミーであっても、地元に税金を落としてくれる事業者なら招かれるべき存在という解釈もできる。果たして市場(あるいは既存ビジネス)を守るためのルールや規制は、古くから地元に住んでいる人によって定められるべきなのだろうか、それとも、外から来た移民(あるいは、新参のスタートアップ)によって修正されることもあってよいのだろうか。

このセッションには今年5月、Google の最高幹部からソフトバンクの副社長へと、異例の転身で業界の注目をさらった Nikesh Arora 氏が登壇、インタビュアーは Financial Times のアジア担当エディター David Pilling 氏が務めた。

自らも移民のバックグランドを持つ Arora 氏は、次のように話を切り出した。

私はインドで育った。その後、渡米し25年間をアメリカで過ごしたが、未だにアメリカのスポーツにわくわくしたことがない。バスケットボールや野球など、すべてだ。このことを通じて、25年間もアメリカにいるのに、自分はまだ移民なんだ、完全にはアメリカには適応していないのだ、と思う。

例えば、国外からの移民が多く活躍するシリコンバレーでは、典型的なアメリカ人の姿や振る舞いというのもそもそも定義が曖昧であるし、地元民 vs. 移民という対立軸は成立しにくいのかもしれない。守るべきルールが何で、変えるべきルールが何かということは、比較的スピーディーに判断ができる土壌に恵まれているのだろう。

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ソフトバンクの副社長に就任した立場で、現在直面している規制があるかと聞かれると、

私の人生は、常に規制と対峙してきた。なぜなら、規制とは常に古いシステムにあわせてデザインされたものだからだ。

と Arora 氏は答えた。

ソフトバンクはこのところ、インドネシアの Tokopedia、インドの Snapdeal、東南アジアの GrabTaxi などに大型出資をするなど、アジアのスタートアップ・シーンへの関わりを強めている。今後のアジアにおける戦略について、Arora 氏は次のように語り、このセッションを締めくくった。

アメリカではレガシーなビジネスで成功を収める一方で、アジアは欧米からそれらを取り込み、それを新たな自分のビジネスモデルへと変化させている。例えば、ウォルマートのような大きな小売業はインドには参入していないので、Eコマースには大きな可能性がある。

我々は今後、アジアで有望な起業家を見つけ、支援し、問題を解決する最良の方法に関わっていく。すべての規制は常に再定義されるものだ。

ソフトバンクはディスラプトしていくか側の会社かって? ディスラプトされる側よりは、ディスラプトする側でいたいと思っている。

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