原油ビジネスに進出する米国スタートアップ3選

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Eliot Peper氏は、カリフォルニア州オークランドを拠点に活動するライターでありコンサルタントだ。執筆活動をしていない際、彼は起業家や投資家と協働し、暫定的な事業担当およびアドバイザーとして新たなテクノロジー事業を立ち上げている。また、複数スタートアップの設立者かつ初期のメンバー、ベンチャーキャピタルに在籍する起業家としての経験ももつ。

via Flickr by “A Health Blog“. Licensed under CC BY-SA 2.0.
via Flickr by “Tim Evanson“. Licensed under CC BY-SA 2.0.

シリコンバレーはヒューストンからかなり離れた場所にある。ハッカソンでPCに四六時中向き合っている人たちは油まみれの原油ビジネスとは住む世界が異なるように思える。 しかし実際のところはテック系スタートアップは原油ビジネスに進出しているのだ。そればかりか、原油価格低迷にもかかわらず成功を収めている。

原油価格が2014年に下落したのは米国で、水圧破砕法が復活しOPECで輸出削減が決められなかったことで原油供給増がもたらされたためである。その結果、原油採掘、生産企業は予算を削減し、何千人もの従業員を解雇することでなんとかやりくりしており、大手油田施設企業も同様もしくはさらに厳しい状況にある。しかし、新世代のハイテク企業は新たに生じた機会獲得を目指してこの事業に参入しており、ここに資金を提供したい投資家は後を絶たない。

Tachyusは現在データアナリティクスプラットフォームを開発しており、すでに6000の国内油田で使用されている。同社は最近Founders Fundが主導する1300万米ドルのシリーズAラウンドを終了したところだ。Founders FundはFacebook、Palantir、Airbnbに投資したことでも有名で、別の原油ビジネススタートアップのRigUpにも投資した。

GroundMetrics(情報開示:私は投資家の1人だ)は同社専用のセンサーシステムを使って油田を調査しているが、これは地質学におけるMRIのような働きをする。これにより石油事業者は生産量を減らすことなく油田採掘を10%削減することができる。米エネルギー省、Encanaとの共同プロジェクトにより同社は最近、生産量最適化アプリケーションに加えてフラック流体の流れをダイレクトにマッピングできることを明らかにした。GroundMetricsは1年で企業規模が4倍になり、業界の専門家として知られる大物を数名採用したほか、今では超優良企業を顧客ベースに加えている。

Neosはリモートジオサイエンスモニタリングとデータインタプリテーションに特化しており、複数のデータソースから採取した信号からジオフィジカルノイズの除去を試みている。先月、イギリスのオンラインスーパーの第一人者であるJonathan Faiman氏が1億5000万米ドルを投資し、取締役会長に就任した。その他の投資家にはゴールドマン・サックスとビル・ゲイツ氏がいる。

この3社はみなテクノロジーを活用して意思決定に役立つデータを事業主に提供している。新しいセンサーは測定能力を改善し、新しい分析モデルは生データから利用可能な情報を抽出してくれる。Ayala、FracKowledge、Blade Energy Partnerも同じようなトレンドの実例を提供している。

だからこそ、こうしたスタートアップは熾烈なマクロの状況にもかかわらず上手くいっている。原油価格が安い場合、事業主はより効率的に生産する方法を考え出さなければならないわけで、こうした新たな技術によってまさにそれが可能となっている。シリコンバレーの頭脳とヒューストンの腕力が合わさり、強力な協力関係を生み出しているのだ。

【via VentureBeat】 @VentureBeat
【原文】

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