ビジネスプランを考える人なら誰もが悩む、「市場規模」の試算は本当に必要か

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Image by Alan Cleaver
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<ピックアップ>Your Total Addressable Market Stat Is Probably a Lie

多くの起業家の方は、投資家へのプレゼンやピッチコンテストのためのビジネスプランを作るでしょう。そんなビジネスプランの大切な要素の1つが、市場規模です。

確かに、あらかじめ市場規模がわかっていれば、長期的にどの程度成長するかを知ることができるので、事業の糊代が伺い知れます。しかし、的確な数値を導き出すのは難しく、往々にして大きめの規模が弾き出されます。

今回ピックアップした記事の著者は、homebrewというVCのパートナーであるHunter Walk氏。彼は、シードステージのスタートアップが、市場規模を試算することに否定的です。

Hunter氏は、決して市場を見るなと言っているわけではなく、マクロな視点で見ることは肯定しています。例えば、市場がこれから成長するのか縮小するのか、そしてその市場に存在する問題や課題は何なのかを考えることです。

では、市場規模の試算の代わりに大切なのは何なのでしょうか。同氏曰く、市場へのアクセス性、そして市場規模はTAM (Total Available Market)と呼ばれていますが、その中でも”A” (Availability)が大切だと説明しています。つまり、該当する市場で、現実的に顧客にプロダクトを売り込めるのかどうか(Accessibility)、そしてどのくらい売上が出て、シェアをどのくらい取れるか(Availability)を真っ先に考えるべき。

このように、実際にプロダクト・サービスでいくら稼げるかを考えられる方が、市場規模の大きさだけで成長性を謳うより遥かにロジカルとのこと。ちなみに、homebrewは市場へのアクセスを重視したプレゼンをしたことで、Evenというスタートアップに投資したことがあるらしいです。

さて、私も起業を志す身としてビジネスモデルを考えたりしますが、Hunter氏の意見を聞くと、改めて市場規模の試算をする「目的」を明確化することが大切ではないかと感じました。

また、Hunter氏が記事を通して指摘しているのは、市場規模の試算が形ばかりであるということだとも思います。例えば、市場規模を試算して伝えたいことが、今後のビジネスの成長性であるとするならば、実際にどのくらい売り上げが出せるのかの方が説得力があるかもしれません。

このように、市場規模を示して何を伝えたいのかを明確にしなければ、中身のない数値になってしまう。投資家の人は、数多くのスタートアップのピッチを見てきて、おざなりな市場規模試算を見飽きているので、違った視点の見せ方が大切になってきそうです。

via Hunter Walk

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