オンライン水産流通プラットフォーマーのフーディソンが、グローバル・ブレインらから5億円を資金調達

by Masaru IKEDA Masaru IKEDA on 2015.8.5

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IT を使った水産流通のプラットフォームを構築・提供するフーディソンは5日、グローバル・ブレインから5億円を調達したと発表した。最終的な調達規模は10億円を予定しており、事業に必要となる物流や冷蔵庫などを取り扱う企業からさらなる出資を募っている。また、このラウンドには、エス・エム・エス(東証:2175)創業者である諸藤周平氏が運営するシンガポール拠点のファンド Reapra のほか、フーディソンの創業者である山本徹氏が参加する予定だ(8月5日11:30一部追記)。フーディソンは調達した資金を使って、鮮魚専門小売店舗の展開強化、水産流通バリューチェーンの垂直統合とIT化を推進していく。

フーディソンは、以前エス・エム・エスの取締役を務めた山本徹氏が、2013年4月に設立。東京・築地に本拠を置き、オンライン水産流通プラットフォーム、鮮魚小売専門店「sakana bacca(サカナバッカ)」、飲食店卸売サービス「魚ポチ」の運営を行っている。さまざまな理由により日本の水産市場は縮小傾向にあるが、数ある流通業界の中でも水産業界はIT化が遅れており、ここに革新を起こすことで市場に大きな伸びしろが見出せるのだという。

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フーディソン 創業者兼代表取締役 山本徹氏

日本の水産流通は、築地をはじめとする市場で取引が行われていますが、競り人と仲買人がやりとりをする競りが減り、ほとんどが一対一の相対取引になってきました。スーパーをはじめとする大手量販店が水揚げしたところから直接購入するからです。

量販店は、基本的に説明の必要が無い、陳列するだけでお客に購入してもらえる魚を売るようになるので、市場で流通する魚のバリエーションが減っていく。これに漁師などの生産者の高齢化や疲弊も重なって、水産業界の勢いが鈍ってきています。(山本氏)

水産流通のプロセスにおいては、仲卸業者など約3,500社の中小企業が存在するが、彼らの業務は労働集約型で、水産物に関わる情報がプレーヤー間でスムーズに共有できない、ひいては、市場の競争原理が適切に働かない、という問題が生じている。フーディソンは標榜するのはこの部分のオンライン化だ。

需要量と供給量に応じた価格変動をデジタルに取得できるようになれば、市場システムがオンライン化され、穀物の世界などでは実現できている先物取引やデリバティブ商品を、水産物の世界にも持ち込めるかもしれない。消費者にとっても、漁獲高に左右されにくい価格形成という観点で、一役買うことができるだろう。

sakana bacca 中目黒店外観。
sakana bacca 中目黒店外観

買付から小売までを垂直統合するビジョンに基づいて、フーディソンでは鮮魚専門店の「sakana bacca」を展開しており、消費者に多種多様な魚を説明付きで店頭販売。現在の中目黒・武蔵小山に加えて、東京の城南エリアを中心に店舗を増やしていきたいと、山本氏は語る。

sakana bacca の中目黒と武蔵小山のお店だけ比べてみても、売れる魚が違います。武蔵小山は比較的高齢の方も多く住まれているので、そういう方々に好まれる魚が売れる。量販店のしくみでは、なかなかそういう店舗毎のニーズにあった対応というのは難しいと思います。

飲食店向けの発注システム「魚ポチ」
飲食店向けの水産物発注システム「魚ポチ」

8月4日からは、水産市場の中で市場価格の決定に強い力を持つ競り人にフーディソンのシステムを使ってもらい、水産物がどのような価格帯で量販店に流通しているかなどの情報もリアルタイムで把握できるようになる。ここで得られた情報は、「魚ポチ」や「sakana bacca」などへの水産物の安定供給に生かされることになる。将来的にはこのプラットフォームを、他事業者に参加してもらえるようオープン化する構想もあるそうだ。

そう言えば、数十年前の朝の情報テレビ番組を振り返ると、天気予報士が街角から天気を伝え、道路交通情報センターから渋滞情報が伝えられた後、よく、競り人が魚市場から「今日はサンマが安いです」みたいな水産市況を伝えていたように思う。競り人がテレビに毎朝顔を出さなくなったのは、おそらく、従来ほどは市場が強い力を持たなくなったことの象徴だろう。兜町の東証では、証券マンの立会いが無くなった分、株式取引の大多数はデジタル化されたわけだが、築地で競りが減ったからと言っても、水産物の取引はさほどデジタル化されていない。フーディソンの目論見は、このあたりにあるのかもしれない。

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