食料生産者と需要者を「泥臭く」つなぐSEND、フードロス(食料廃棄)の解決策となるか

Takeshi Hirano by Takeshi Hirano on 2015.8.25

SEND

食関連の流通プラットフォーム事業を展開するプラネット・テーブルは8月25日、食材と需要者を直接つなぐオンライン受発注サービス「SEND」を公開した。

農作物や酪農、畜産といった食材を生産する側がデータを登録すると、レストランなどの需要者が直接そこから購入することができ、更にSEND運営がそれらを一括して配送してくれる仕組み。双方の支払いについても個別に発生させるのではなく、SEND側で集金、一括支払いなどの管理を提供する。東京都心エリア((渋谷区、港区、新宿区、中央区、千代田区、世田谷区・品 川区の一部など)を中心に承認登録制で開始される。

業務フロー_o

利用料金について、同社代表取締役の菊池紳氏に話を聞いたところ、配送や荷捌きなどのプラットフォーム利用手数料として食材費の20%から30%を徴収するそうで、これは将来的に食材に応じてわかりやすい固定の価格帯にするということだった。

意欲的、ということで以前ご紹介したプラネット・テーブルの3事業の内、2つ目がこのSENDだ。狭小エリアでの産直流通サービスとしてβ版を走らせていたものが、正式に開始したことになる。

「多様な生産と多様な需要を細かくつなぐのが目的です。日本には出荷してもらえない生産物が30%とか40%もある一方で、これを有効活用できる人もいるんです。形の悪いトマトであっても、例えばパスタのソースにするのであれば問題ない。彼らは形ではなく完熟のものを届けてくれればいいんです」(菊池氏)。

こういった細かいリクエストを受け付け、無駄に廃棄されていた食材に新しい使い道を提供するのがこのシステムと彼らの役目だ。

「生産者にとって私たちは配送センター。他方、シェフにとっては自前の産直食材庫に見えるようになります。これまでシェフやパティシエはトマト何個という注文をファックスにて送信していました。この作業を効率化し、オーダーシートをあらかじめ作ることができるようにしたので、あとは数量を入れるだけで頼みたい食材をオーダーできます。

レストランでは通常の買い物と違って、買いたい時にショッピングカートに入れるようなことはしません。メニューを決めた状態だと反復して使いますので一度オーダーシートを作ればそれを再利用できるようになるんです」(菊池氏)。

こういう注文様式は、8件ほどのシェフたちと検討して作った仕様なのだそうだ。ただ、SENDで受けた注文をひとつひとつの生産者に出荷依頼したのでは、大変効率が悪い。そこで、SENDで一旦これらの注文を束ねて、一定数を生産者に注文することになる。生産者は一箱まとめて食材をSENDに送ればいい。後はSEND側で荷捌きして各レストランにトラックで配送する。

食材一覧

注文から出荷のタイムラグについてはSEND側でもある程度在庫を持って対応し、当日から翌日の対応を可能にしているという。菊池氏の話では各レストランのオーダー情報を分析することで、ここでのロスを3%以内に抑えており、更に極小化できるとしていた。

つまり菊池氏の言葉を借りれば「都内1万店舗(客単価5000円以上対象)の飲食店のためのPOSシステム」がこのプラットフォームの理想像になる。通常、コンビニなどで活躍しているアレだ。送料についても、産直の場合、10箇所に送付すると10回の送料がかかることになるが、SENDを介せば1度の送付で済む。決済についても同様でシェフは月に一回まとめて支払えばいい。

以前にも書いたが、プラネット・テーブルのやり方は非常にアナログだ。自社で配送を持っていることも、冷蔵庫や在庫を一定数持つことも、デジタル/オンライン・ビジネスの定石「持たざる経営」視点からはリスクに映る。

しかし「食べる」とか「生きる」といった事象はそもそも手のかかることなのだ。私自身、食べ物を粗末にすることがとても嫌いで、前回取材時に菊池氏が話していた年間11兆円ものフードロス(食料廃棄)は大変大きな解決すべき課題だと強く思う。

このシステムが本当にワークするところまで彼らには走りきってほしい。

Takeshi Hirano

Takeshi Hirano

ブロガー。TechCrunch Japan、CNET JAPANなどでテクノロジー系スタートアップの取材を続け、2010年にスタートアップ・デイティング(現THE BRIDGE)を共同創業。1977年生。(株)THE BRIDGE代表取締役

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