ホワイトハウスやWSJなども活用ーー“シェアできる”ネット投票を簡単に作成・集計してくれる「Wedgies」

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「Embedly」と連携することで、Medium,やRedditなどにも投票の埋め込みが可能に
「Embedly」と連携することで、Medium,やRedditなどにも投票の埋め込みが可能に

ITスタートアップ=サンフランシスコだった一昔前に比べて、最近ではオースチンやロサンゼルスなど、北米の様々な地でスタートアップコミュニティが育まれています。

Zapposなどもオフィスを構え、スタートアップを呼び込む「Downtown Project」で知られるラスベガスもその一つ。そんなラスベガスを拠点にするのが、「Wedgies」(ウェジーズ)です。共同ファウンダーでCEOのPorter Haneyさんに取材しました。

国際連合やホワイトハウス、USA Todayなども活用

2年前にリリースされたWedgiesは、ウェブ投票を簡単にしてくれるサービスです。Wedgiesで生成されたコードを、ウェブサイト、各種SNS、アプリなどに埋め込むだけで、リアルタイムに投票結果を集計してくれます。今現在、Wedgiesでは毎月400万人のアクティブなユーザーが投票しています。

ここ最近のWedgies使用例には、今年6月末にWSJ Asiaが行った「2020年の東京オリンピックの競技種目」に関する投票が。FacebookやTwitterなどで4万人を超える読者が投票し、「ボーリング」が「空手」を上回る投票を集めるなどの発見がありました。

他にもEngadgetや、国際連合やホワイトハウスなどの政府機関などがWedgiesを活用。サービスを立ち上げて間もなく、アメリカの新聞「USA TODAY」が使ったことで、メディアや政府機関などの利用が相次ぐように。現在、投票の半数以上は米国からですが、韓国や中東などでも使われています。韓国では、特にK-POPシーンで多用されているそう。

Wedgiesが幅広く使われる最大の理由は、そのクロスプラットフォーム対応です。様々なプラットフォームにプレゼンスを持つ企業にとって、人々の投票を横断的に取得できる利点が買われています。また投票はリアルタイムに集計され、投票が集まる様子を投票者に公開することも可能。シンプルでスピーディなWedgiesの登場で、オンライン投票の使われ方に広がりが見られます。

「例えば、スポーツ記者もWedgiesを使っています。野球やバスケの試合中、プレイが審議されている間に、どう審判を下すべきかを観客に質問するんです。TwitterやFacebookに投げて15秒もすれば、何千という投票が集まる。公式な審判が下されるより早く観客の声が集まるので、試合の成り行きを予測するような感覚で楽しまれています」

Twitterで感じた不便がヒントに

Wedgies共同ファウンダーのPorter Haneyさん(左)とJimmy Jacobsonさん(右))
Wedgies共同ファウンダーのPorter Haneyさん(左)とJimmy Jacobsonさん(右))

Wedgiesを共同で立ち上げたのは、今回お話を伺ったPorterと、CTOのJimmy Jacobsonさんの二人です。彼らはこれまで、ZapposやOverstockなどのEコマース企業で、技術やプロダクト寄りの仕事をしてきました。過去には同じ会社に在籍していたこともある二人ですが、徐々に自分たちでインパクトのあるサービスを作りたいと思うように。

この二人は、初期からのアクティブなTwitterユーザーでした。当時から頻繁に行っていたのが、Twitterのフォロワーに広く意見を求めること。質問に対して@リプライで大量に返事が来るものの、バラバラ来るそれを集計するのは大変でした。オンラインで簡単に人々の意見を集め、集計できるソリューションを作ろうとWedgiesの開発に至りました。

「今、僕たちは、インターネットで車を買うこともできるし、保険に加入することもできます。オンラインで何でも完結する時代です。でも、投票という行為に関しては、まだ上手くオンラインを活かせていない。どうせなら、Twitterだけでなくクロスプラットフォームに対応したものを作ろうと考えました」

「死ぬほど真面目」なのにフレンドリー?

Wedgies-WendellWedgiesで、どれ一つ投票を作ってみようとサイトをいじってみると、そのフローはすごく簡単。無駄な要素がなく、UIも洗練されていて迷いません。サイトに埋め込んだりFacebookに共有したりするのもあっという間です。

Wedgiesの企業モットーは、“Deadly serious”(死ぬほど真面目)。投票では、人々の意見を正確に収集することが求められます。それが、政治選挙などなら尚更。そんな「死ぬ程真面目」な姿勢でサービス開発に取り組むチームですが、サービスを使っているとどこかフレンドリーさを覚えます。

その理由は、「Wendell」という恐竜のマスコット。公式サイトはもちろんのこと、メルマガなどにもこの茶目っ気のあるマスコットが度々登場します。マスコットを上手く用いることで、真面目ながら親しみやすいブランドを実現しています。

「WedgiesというブランドとマスコットのWendellの2つのペルソナを使い分けています。Wendellが存在することで、超真面目なサービスを堅苦しくなることなく、適度にフレンドリーな形でユーザーに伝えることができていると思います」

クイズ機能や画像投票も

現在、約10名から成るWedgiesのチーム。遠隔で働くメンバーも多いそうですが、オフィスを構えるのはラスベガス。サンフランシスコやロサンゼルスに負けないくらいの大きなコミュニティになりつつあるものの、SFのように人材競争が激化されることもなく開発者の採用などもできる。また、メッカから離れていることで市場に影響されることがなく、独自の強い企業カルチャーを作ることができるのだと言います。

「もともと、共同ファウンダーのJimmyはZapposで働いていたため、ラスベガスにいました。それもあって、自然とラスベガスを拠点にすることになりました。ここには素晴らしいコミュニティがあるし、ワークライフバランスもとりやすい環境だと感じます」

Wedgiesでは、クイズ機能や、テキストだけでなく複数の画像を順に表示して、お気に入りに投票できるような機能も開発中。既に、ニューヨーク公共図書館(NYPL)とDigital Public Library of Americaの共同プロジェクト“Recovering the Classics”などで使われています。NYPLがリリースする電子書籍アプリで、「Moby Dick」(白鯨)や「高慢と偏見」などの名著にふさわしい新たな表紙を投票してもらうもの。

クロスプラットフォームでオンライン投票をどこまでも簡単にするWedgiesが、今後、どんなシーンで活用されていくのか。オフライン投票の普及に大きく貢献していくことが期待されます。また、UIやブランド形成などの側面でも色々参考になるサービスなので、ぜひ一度チェックしてみてください。

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