小さな店舗の決済負担を「ゼロ」にしたいーーBASEが月額無料の決済事業「PAY.JP」を提供開始

Takeshi Hirano by Takeshi Hirano on 2015.9.7

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今年の2月に発表されたBASEの新事業がようやくオープンする。

インスタントにコマースを開始できるBASEは9月7日、クレジットカード決済を無料で導入できるオンライン決済サービス「PAY.JP」の提供を開始すると発表した。2016年5月末までに導入した店舗は通常、売上等に対してかかる決済手数料を無料(※)で利用することができる。

PAY.JPは既存のウェブサービスやコマースなどにクレジットカード決済の機能を導入できる開発者向けのサービスで、PHPやRuby等の開発言語毎に用意されているライブラリを利用することでサービスに一体化した組み込みのオンライン決済サービスを提供可能にするもの。安全面に関して同サービスはクレジットカード業界のセキュリティ基準となるPCI DSSに準拠している。

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PAY.JPを組み込むとクレジットカード決済が利用できるようになる

使えるクレジットカードについては、VISA , MasterCard, AMEX , JCB、Diners Club、Discover Cardのブランドが対応しており、導入店舗はこれらのカードの決済手数料(VISA/Masterが3%、その他が3.6%)のみ負担することで初期費用や月額費用を支払うことなく利用することができる。なお、個人や法人は問わないが、利用にあたって各ブランドの加盟店審査があり、これを通過するこが条件となる。

ということで、ついにこのサービスが開始となった。私はBASEの取材を開始してもう2年以上になるが、代表取締役の鶴岡裕太氏は大分早い段階からこの決済事業のことを話していた。その辺りの話題については前回のインタビューが参考になるだろう。

<参考記事>

BASEとの違いがイマイチわからないという方のために説明しておくと、PAY.JPはいわゆるStripeタイプの開発者向け決済組み込みサービスで、例えば私たちのようなメディアが会員課金を始めたいとした場合、自前のサービス内にクレジットカード決済の機能を開発して組み込むことができるようになる。

最近ではこの手の開発も随分楽になったが、月額の負担が大きかったり、決済手数料が重くのしかかるなど、サービスとか開発よりもビジネス部分のハードルが高い印象がある。PAY.JPは主にその負担の部分を無料という戦略で取り除こう、というチャレンジだ。

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PAY.JPが提供するコンパネ

では、実際に無料でどうやって運営していくのだろうか。その秘密が現在、BASEが獲得している17万にも及ぶコマース店舗の存在にあった。

鶴岡氏によると、年間にBASEで発生している流通額は限りなく100億円台に近い数字になっているというとで、また現在、決済手数料として一部課金も始まっており、平均して5%ほどが売上になるのだという。

例えば単純計算で100億円の5%だったとして5億円、彼らの人数が現在30名から40名ほどの体制ということなので、事業運営は十分な計画が立てられることが予想できる。その他、テンプレートの販売やモールタイプの導線なども機能してきており、流通額は現在も一定数の割合で伸びているというから、今後の計画も立てやすい。

つまり、彼らはチャレンジができる、ということなのだ。

「例えば道端でお金を渡すとして、そこに手数料なんてかからないじゃないですか。本質的には決済というものを無料にしたいんです。100年経った時、このプラスチックのカードがまだあるっていうことがどうしても想像できないんですよね。この手数料の構造を変える、数年のスパンで見た時にあるべき姿を作る。これが目指すところです」(鶴岡氏)。

小さな小売店がコマースを運営する時、薄利から5%以上の決済手数料を抜かれるのは苦しい場合もある。この障壁をなくすことがもし可能だったとして、それがよりコマースの市場を拡大させることになる、というのが彼の考え方なのだ。無料というのは単なる競合優位を作るための戦略だけではない。

「当初はStripeタイプの開発環境を提供して、クレジットカード決済ができるだけです。決済のゲートウェイを配るという戦略は、VISAやMasterといったクレジットカードブランドが物理的な端末を店舗に導入して決済の伝送経路を作ったのと同じです。ただ、こちらはコストが圧倒的に安い。将来的には彼らのブランドに依存しない決済をどこまで作り込むことができるか、そこが挑戦になると思っています」(鶴岡氏)。

既存の仕組みに囚われない方法で新しい決済のプラットフォームを構築できるか。彼らのチャレンジはインスタントコマースから決済へと大きく動いた。

※補足:期間中の契約であっても上限は1000万円で、それ以上については通常の手数料がかかるそうです。追記して補足させていただきます。

Takeshi Hirano

Takeshi Hirano

ブロガー。TechCrunch Japan、CNET JAPANなどでテクノロジー系スタートアップの取材を続け、2010年にスタートアップ・デイティング(現THE BRIDGE)を共同創業。1977年生。(株)THE BRIDGE代表取締役

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