シリーズ・ビットコイン:マウントゴックス事件から見えてくるビットコインの課題、を解説します。

by Takeshi Hirano Takeshi Hirano on 2015.9.29

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Bitcoin Wallpaper (2560×1600) / jason_benjamin

THE BRIDGEウェビナーはニュースや新しいトレンドを詳しく解説するウェブセミナーです。

ビットコインについては金融系テクノロジーの中でも最も可能性のあるプロダクトでありながら、日本で幅広く語られるシーンはまだそれほど多くはありません。そこで本ウェビナーでは数回に分けてビットコインの可能性、特にビジネスチャンスについて業界の動向や最新トレンドについて解説したいと思います。

初回は、不幸にも日本でビットコインの名前を幅広く知らしめることになったマウントゴックスの事件ですが、先日また新たな報道で不正の実態が明らかになってきました。この話題から見えてくるビットコインの正しい課題と仕組みを、ビットコイン取引所「coincheck」のレジュプレス取締役、大塚雄介氏に解説して頂きます。

聞き手の平野
みなさんこんにちは。まずは大塚さんのご紹介から。
レジュプレスの大塚さん
こんにちは。レジュプレスの大塚です。現在、ビットコインの取引所「coincheck」を運営しております。
聞き手の平野
そもそもビットコインの取引所サービス分からない、というビギナーの方向けのウェビナーですので、簡単に取引所サービスの説明とcoincheckの最近のビジネス状況について教えていただけますか?
レジュプレスの大塚さん
はい、coincheckはビットコインを日本円に交換できるサービスで、ビットコインを買ったり、送金したり、支払いに使ったりすることができる取引所サービスとなります。
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資料提供:レジュプレス
レジュプレスの大塚さん
現在、取扱い高はこのような感じで伸びておりまして、月間の取引高は3億5000万円ほどになりました。
聞き手の平野
国内でもビットコインの関心度の高まりは感じられましたが、やはり利用される方も増えているんですね。
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資料提供:レジュプレス
聞き手の平野
ところでこのビットコイン、SUICAなどの電子マネーとの違いがイマイチ分からない方もいらっしゃるかもしれません。
レジュプレスの大塚さん
仮想通貨という点では同じですが、SUICAのような電子マネーと決定的に違うのは、発行元が存在しない、というところになるでしょうね。
聞き手の平野
例えば日本円だったら政府が発行してますが、それがない、ということですね。
レジュプレスの大塚さん
そうですね。例えば、海外転勤した時に、国を超えてお給料を支払う際、為替の影響でもらう金額が減ったりすることがありますが、究極的にはそういうことがなくなるテクノロジーでもあります。
聞き手の平野
ビジネスチャンスが多そうです。
レジュプレスの大塚さん
ただ今はまだ、ローカルで使う場合はその国の通貨を使った方が使いやすかったりするので、私たちのような実際の国で発行している通貨と交換する交換所が必要になるのです。
聞き手の平野
ありがとうございます。では、今回の本題ですが、日本でビットコインと言えば、このマウントゴックスの話題が取り上げられることが多いです。先日も日経新聞にこのような記事が出ておりました
レジュプレスの大塚さん
ビットコインの有用性ではなく、不正の方で知られることになったのは本当に残念なことですね。
聞き手の平野
ただこの件、実はイマイチ掴み切れてません。マウントゴックス社が不正をした、ということが問題なのか、ビットコインの仕組みに問題があったのか、どちらなのか。
レジュプレスの大塚さん
まず最初に実際に発生している事象と、報道されている情報を整理する必要がありますね。まず、この件が話題になった昨年2月の時の状況と比較するとこんな感じです。

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レジュプレスの大塚さん
日経の報道にもある通り、ポイントは外部からの攻撃だったと当初説明していたものが、実はその大半を社長が横領していたのではないか、という部分です。
聞き手の平野
非常にグレーですね。いっそのことなら全部横領してくれてたら分かりやすかったのですが。
レジュプレスの大塚さん
そうですね、この一部は本当に外部から攻撃を受けて流出した、ということでビットコインの安全性について議論が巻き起こったわけです。しかし、課題を整理してみると気がつくポイントが見えてくると思います。

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レジュプレスの大塚さん
そもそもビットコインというか、データの安全性について語る場合、不正コピーと不正アクセスの二つに分けて考えると分かりやすいかもしれません。
聞き手の平野
なるほど。
レジュプレスの大塚さん
前者は紙幣のコピーに似てる行為です。後者は銀行強盗ですね。インターネットというのはある意味誰でも自由にアクセスができる広場みたいなところです。そんなところに金の延べ棒をずらりと並べておいたら、どうなりますか?
聞き手の平野
あー、それは持っていっちゃいますね。
レジュプレスの大塚さん
今回発生したのはまさにそういうことなんです。銀行強盗されたからと言って金の延べ棒自体の価値は変わりませんよね。ただ、これまでの既存通貨というものは、銀行など、預ける場所や発行、管理する行政機関など仕組みが非常に整備されているわけです。
聞き手の平野
そこがまだゆるい、という。
レジュプレスの大塚さん
ゆるいというか、これまでは事業者が独自に試行錯誤していました。そこで今後、ビットコインの管理についていろいろな方法で安全性を高める方法が議論し、現在は行政と協議を重ねビットコイン業界で共通のルールを整備しています。何よりも大切なのはユーザーに安心してご利用いただけるルール整備ですね。

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レジュプレスの大塚さん
まず、物理的に強盗に合わないよう、インターネット上には多額のビットコインを置かない方法があります。コールドウォレットといわれるもので、いわゆる「ネットに接続されていない」オフラインでデータを管理する方法です。
聞き手の平野
数パーセントオンラインに残っているのは、オンラインでの取引に使う分ということですか?
レジュプレスの大塚さん
そうです。0%だとユーザーはリアルタイムにビットコインの送金・購入ができないため、ユーザーの利便性を考慮して最小限のリスクの範囲内で少額のビットコインをオンラインにおいています。
聞き手の平野
なるほど。
レジュプレスの大塚さん
それともう一つ取引所を運営する上で大切なことが、資金の管理を明確にする、ということです。
聞き手の平野
こんなの当たり前のようにやってると思ってたんですが、実際はなんのルールもなかったんですね。

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レジュプレスの大塚さん
法人として取締役会などの会議体でチェックすることももちろんですが、やはり取引事業者以外の第三者機関のチェックは必要になるでしょうね。
聞き手の平野
確か政府も金融庁などを監督省庁として指定するよう案を取りまとめているという報道もありました。
レジュプレスの大塚さん
事業者の登録や監督省庁への報告義務などの法整備が整えば、ユーザーはより安心して利用ができるようになると思います。
聞き手の平野
なるほど。よくわかりました。大塚さん、解説どうもありがとうございました。では、また次回。

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