もうすぐ東京へやってくる、世界を旅しながら仕事をするプログラム「Hacker Paradise」とは?

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先日ベルリンで開催されたHacker Paradise
先日ベルリンのコワーキングスペースBetahausで開催されたHacker Paradise

さまざまな場所へ移動しながら仕事をする、いわゆるノマドな働き方をする人は増えているが、世界中の都市を旅しながら、さらに他のノマードワーカーとともに仕事をするというライフスタイルはどうだろう? 「Hacker Paradise」は、まさにそのような働き方ができるプログラムを提供する団体だ。

Hacker Paradiseは場所を選ばずに仕事をしている人を対象に、世界各地で1ヶ月ほどのプログラムを運営している。先日、ちょうど筆者が滞在しているベルリンのコワーキングスペースBetahausを拠点にプログラムを開催していたので、コーファウンダーのAlexey Komissarouk氏にプログラムについて話を伺うことができた。

Hacker Paradiseが誕生するまで

Hacker Paradiseが誕生したのは約1年前のこと。アメリカの大学時代から友人であるコーファウンダーのAlexey Komissarouk氏とCasey Rosengren氏は、もともと「旅をしながら働く」というライフスタイルに憧れを持っており、またエンジニアであるRosengren氏は実際にそうしたライフスタイルを実行していたそうだ。

約1年前、プログラミング言語「Go」のコミュニティ運営もやっていた Rosengren氏は、コスタリカで仲間のエンジニアやハッカー達を集めて、12週間ともに仕事をするという試みをする。なぜコスタリカと聞けば Komissarouk氏いわく「美しい場所だし、たまたま12週間もホテルが空いていたからね」とのこと。

また、それまでは大学卒業後にベイエリアでテック企業を相手にソフトウェアコンサルタントとして仕事をしていたKomissarouk氏だが、ビザの都合でアメリカを離れなければならないという現実的な理由から、コスタリカでのハッカーの集まりに参加することを決める。こうして二人は、仲間のエンジニアやハッカー達を集めて12週間、ともに仕事をすることに。この経験がきっかけとなり、世界各地で「エンジニアやデザイナーなどが一緒に働く」というプログラムHacker Paradiseがスタートした。これまでに開催してきた場所には、バリやバルセロナ、ベルリンなどが含まれる。

今回話を伺ったコーファウンダーのAlexey Komissarouk氏
今回話を伺ったコーファウンダーのAlexey Komissarouk氏

仕事の進捗や目標をシェアすることで、モチベーションを高める

プログラムについて簡単に説明しておこう。毎回のプログラムの参加者は30人ほどに限定されており、Hacker Paradiseの運営側がオンライン上から集まる応募者から参加者を選考する。プログラムは有料だ(各プログラムによって費用は異なる)。参加者はインターネットなどの基本的な仕事環境が整った場所と、場合によっては滞在中の部屋をアレンジしてもらえる。仕事場にはコワーキングスペースなどが使われれる。また、任意参加のプログラムも用意されており、そこで各参加者との交流を深めることができる。

基本的には各自が進めている仕事やプロジェクトをやり続けることになるのだが、Hacker Paradise側は参加者同士が自分の仕事の状況をシェアしたり、お互いにフィードバックする場をオーガナイズする。

ベルリンのプログラムでは、月曜日には全員でランチをして自分の仕事の状況、またその週の目標を仲間にシェアすることになっているとのこと。そして、木曜日にはその結果を再度仲間うちで報告するという形になっている。ともに一緒になって何かをやるわけではないが、お互いがお互いの状況を知り、関心をもつことで、互いのモチベーションを維持し、仕事のリズムをつくれる形になっているのだそうだ。そのほか、瞑想や運動、ブログ発信などという「課外活動」のプログラムもあり、専門の仕事以外でも交流が深められるようにしているとのこと。お互いを知っていくうちに参加者同士がチームをつくってプロジェクトがスタートしたことも過去にはあったそうで、そうした偶発的なプロジェクトやアイデアの誕生もプログラムの魅力だろう。

ちなみに、今回のベルリンのプログラムには日本人では唯一iOS開発者の堤修一氏が参加しており、自身のブログでもその経験を一部公開されているので、雰囲気を知るのには参考になると思う。

Hacker Paradise in Berlin
Hacker Paradise in Berlin

次回は東京へーー参加者のバックグラウンドは様々

参加するには「選考」があるとのことだったので、どのような人が参加者として適しているのかと質問したところ、Komissarouk氏は次のように答えてくれた。

「コミュニティにコミットできるものを持っているという点は重視しているかな。周囲の人の成長や、目標に到達するまでの過程をサポートしたいと思う精神をもっている人はぜひ参加してほしいですね」

同時に、ローカルな参加者と外国からの参加者、また様々な職業をできるだけミックスして多様なコミュニティになるように努めているという。これまでの参加者は主にフリーランサー(開発者、デザイナー、ライター、オンラインマーケター)、遠隔地勤務が可能な開発者、起業家といった人で構成されているそうだ。

特に米国ではエンジニアが働きやすい職場環境にして離職率を下げるためにも、遠隔地勤務を取り入れている企業は多い。これまで、Hacker ParadiseにはBufferやGithub、Sqwiggleといった遠隔地勤務を採用している企業のエンジニアも参加してきたそう。いつもの仕事場を離れて、社外の人と交流する機会をもつことでより生産性やクリエイティビティが高まることもきっとあるのだろう。「企業の福利厚生プログラムの一環として提供するのもいいかもしれませんね」とコメントすると、「そうだね、そういう方法も考えてみたい」とのことだった。

さて、次回のHacker Paradiseのプログラムは9月27日から11月8日まで東京で開催される。詳細については、日本語が堪能なファウンダーのRosengren氏が作成したこちらのページをご覧いただきたい。

日本にいながらもインターナショナルな環境で(基本は英語)、様々なバックグラウンドをもった参加者と交流できる機会を求めている方はぜひ参加を検討してみてはいかがだろうか。新しい刺激とネットワークを得られることは間違いないはずだ。

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