Alpacaが100万米ドルを資金調達、画像の深層学習を用いたトレーディング・プラットフォームを開発へ

by Masaru IKEDA Masaru IKEDA on 2015.10.19

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サンマテオ(シリコンバレー)と東京に拠点を置き、人工知能技術を使ったウェブサービスやアプリを開発するスタートアップ AlpacaDB(以下、Alpaca と略す)は19日、NECキャピタルソリューションSMBCベンチャーキャピタルによるファンド、アーキタイプベンチャーズ(アーキタイプの投資専門会社)、連続起業家でエンジェル投資家の木村新司氏、ビップシステムズから総額100万米ドルの資金を調達したと発表した。

Alpaca は今回調達した資金を使って、画像の深層学習(deep learning)を用いたトレーディング・プラットフォーム「Capitalico(キャピタリコ)」を開発に着手し10月初頭からβテストを開始しており、2016年1月のパブリック・リリースを目指す。Alpaca は今年6月、深層学習による画像のラベリング・プラットフォーム「Labellio」をリリースしており、この際には Labellio を MVP(Minimal Viable Product)と位置づけ、その技術をもとにしたマネタイズ可能なサービスを開発すると明らかにしていた。Capitalico がそのサービスとなる。

Alpaca は、2014年にMovida Japan の第5期バッチから輩出され、画像フィルタリング・マッチングサービス「Categorific」で注目を集めた Ikkyo Technology を前身とするスタートアップだ。その後、世界向けのサービスの開発と展開を念頭に、別法人として Alpaca を設立した。

Alpaca の共同創業者で CEO の横川毅氏は Ikkyo Technology を創業する前、ニューヨークを本社とする Lehman Brothers のキャピタル・マーケッツ(機関投資家や銀行などに対する投資商品のホールセール部門)でトレーダーストラクチャリングやマーケティングをしていた。Capitalico の開発には、このときの経験が多分に役立っているようだ。

ForEx(外国為替取引)のトレーダーは売買分析などをやる際にソフトウェアを使うのだが、例えば、業界でメジャーな Meta Trader というソフトウェアは Windows でしか使えないし、操作するには MQL(MetaQuotes Language)という言語でプログラミングしなければならない。

トレーダーの中で MQL が書ける人は 1% と言われているので、大半のトレーダーは、プログラムが書ける人にお願いしないと Meta Trader が使えないわけだ。Quantopian や QuantConnect といった SaaS のソフトウェアもあるが、こちらもユーザが自分の使いたいアルゴリズムのプログラミングが必要。この状況を変えたかった。(横川氏)

Capitalico では、2001年以降の為替チャート、現在の為替チャートの類似パターンを画像の深層学習でヒットすることが可能だ。画像の深層学習を応用したサービスは、フィンテックと医療画像の分野が最も親和性が高いと言われるが、Capitalico の開発の背景には、ForEx トレーディングを、インベストメント・バンカーなどのプロフェッショナルのみならず、誰もが使えるものにデモクラタイズする意図があるようだ。

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開発中の Capitalico の画面から(クリックして拡大)

画像の深層学習をベースにしたチャートのマッチングや分析が一般化すれば、投資で成功している〝スター・トレーダー〟のノウハウを、ユーザが自身の投資運用に取り入れることも夢ではなくなるとのこと。まるで、有名シェフの料理レシピを共有させてもらうような感覚だ。

これまでにも、スター・トレーダーがいる。ただ、彼らが表に出てくるには、いいトレーダーだというだけではダメで、それを支えるビジネス開発や資金調達をするしくみが必要だった。彼らの投資判断基準やアルゴリズムを一般ユーザが使えるようにできれば、まるでレシピを売るようなマーケットプレイスが作れる。

投資で利益が出たユーザが、自身の参考にしたアルゴリズムの著者であるスター・トレーダーに一定の手数料を還元できるしくみが形成できれれば、スター・トレーダーは喜んで秘策を公開するだろう。アマチュア投資家もその日からプロのようなトレーディングが可能になる。

世界にあるリテール・インベストメント(個人ユーザ向け投資サービス)の3億口座のうち、5,000万口座は ForEx 向けのものであることから、Capitalico は当面、ForEx を中心としたサービスに特化するとしている。将来的には、株式、先物、ETF(株価指数連動型上場投資信託)をはじめ、さまざまな投資商品の分野に応用が可能だろう。

Capitalico の円滑なサービス展開を念頭に、Alpaca には、アメリカのヘッジファンドの元ジェネラル・パートナーである Matt Luckett 氏がアドバイザーとして、また、フィンテック分野に精通していることで知られる増島雅和弁護士(森・濱田松本法律事務所)がリーガルアドバイザーとして名を連ねている。11月2〜3日には、ロンドンで開催されるフィンテック・カンファレンス「Finance Magnates London」に参加する予定だ。

筆者の知る範囲において、この分野には、イスラエルやヨーロッパなどに似たアイデアを持ったスタートアップがいくつか存在するが、それらの競合可能性については機会を改めて紹介分析したい。

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