日本フランス・イノベーション年で考える、2つのスタートアップ・コミュニティの相互関係【ゲスト寄稿】

本稿は、フランス・パリを拠点に世界各地のスタートアップへの投資を行っているベンチャー・キャピタリスト Mark Bivens によるものだ。フランスのスタートアップ・ブログ Rude Baguette への寄稿を、同ブログおよび著者 Mark Bivens からの許諾を得て、翻訳転載した。(過去の寄稿

The Bridge has reproduced this from its original post on Rude Baguette under the approval from the blog and the story’s author Mark Bivens.


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5日、日本フランスイノベーション年のローンチにあわせ、来日したフランスの Manuel Valls 首相。Pepper の開発元は、フランスの Aldebaran Robotics 社であり、現在はソフトバンクグループの傘下にある。(写真出典:在日フランス大使館ホームページから)

日本とフランス間のイノベーション年のローンチにあたり、フランス政府代表の日本訪問団に参加できたのは、非常に光栄なことだ。まじめな話、私は皮肉屋だ。イノベーションにおける政府のイニシアティブはバカにしているし、La French Tech Tokyo の正式キックオフへの招待を受け取ったときに覚えたのは懐疑心だった。世界で最も重要2つのエコシステム——フランスと日本間の文化の違いを越えた協力関係について、フランスの Manuel Valls 首相は真摯に向き合い、ビジョンを唱えてきた。Emmanuel Macron デジタル担当相は、両国の将来のことを考えれば、起業家の活動の重要性が軽視されていると付け加えた。

フランスのスタートアップは、自らの成長戦略の中で日本市場の優先度を上げることを考えるべきで、それは私が以前にも説明した通りだ。それは逆も真なりで、私はヨーロッパの美徳、中でもフランスのそれをを讃え、アジアのスタートアップにヨーロッパを見るべきだ、と言ってきた。

日本のスタートアップ・エコシステムは、そう遠くない昔のフランスを彷彿させる。日本とフランスの共通点は多い。両国には、力のある研究組織に広範な技術基盤が備わり、デザインに長けていて、優秀なエンジニアがいて、教育を尊ぶ文化があり、さまざまな点において、そこそこ大きいながらも必ずしも大きくはない国内市場が存在する。

我々が数年前にフランスで目撃してきた良い兆候は、日本にも当てはまる。

  • 大学新卒生らのパイオニアスピリッツが高まり、起業のため大企業への就職を断るようになった。
  • 会社を設立する人たちの新世代が、国際的に物事を考えるようになった。
  • シリアルアントレプレナーが増加した。
  • 失敗を恥ずかしいとする考え方に寛容になった。
  • イノベーションは大企業の外で起きるという認識が高まった。

冒頭で話した私の懐疑心は、その内容意図はともかくとして、政府のイニシアティブはトップダウンで決められるため、往々にして、その動きが弱々しいという、これまでの体験に基づくものだ。現在の状況において最も重要なのは、よりボトムアップなアプローチで、スタートアップ(そして、いくばくかの VC)自身による草の根的な活動だ。これに着手して状況が安定することは、いずれ時がそれを教えてくれるだろう。しかし、最初に出てくる兆候は将来有望なもののはずだ。

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5日にデジタルガレージで開催された、La French Tech Tokyo。(撮影:”Tex” Pomeroy)

追記:いくつかの組織や個人には謝意を表したい。BusinessFrance にはそのコネクションに、オレンジ・ジャパンにはロジスティクスの支援に、DMM.Make Akiba にはその個性的な素晴らしいもてなしに、Rude Baguette の Trista Bridges には、2日目のモデレータとして素晴らしく振舞ってくれたことに。

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