脳卒中患者のリハビリをサポートするロボティックグローブを開発する韓国のNEOFECTにインタビュー

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NEOFECTのCEO、Hoyoung Ban氏
NEOFECTのCEO、Hoyoung Ban氏

脳卒中やその他の脳損傷の患者のリハビリ治療の改善を望んでいる韓国のテクノロジー企業NEOFECTを紹介しよう。

NEOFECT は、CEOでもあるHoyoung Ban氏によって設立された会社で、RAPAELを使いリハビリ方法を一変させようとしている。RAPAELとは、Bluetooth経由でユーザのスマートフォンやテレビ画面に接続することができるAndroid対応のロボティックグローブ(ロボットハンド)である。ユーザはグローブを装着して画面上の仮想オブジェクトをゲームや娯楽をしながら操作することができ、これにより、リハビリプログラム特有の退屈さを取り除くことが可能になっている。さらに、医者は患者を遠隔でモニターでき、プログラムのデータを基に追跡サポートできるので、患者はもはや通院する必要がなくなるのだ。

NEOFECTによると、RAPAELは既に韓国の病院のプログラムにも取り入れられているそうだ。同社は北米各地の患者のニーズに対応するためアメリカにもオフィスを開いている。

NEOFECTとRAPAELに関するさらなる情報を知るため、Ban氏に聞いた。

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こちらが、編集後の抜粋だ。

NEOFECTに関して、もう少し教えて下さい。

脳卒中は患者本人だけにではなく、大事なパートナーにも影響(仕事、移動、治療費)を与えてしまいます。私たちは手頃な費用でリハビリや看護を受け回復への希望を届けることで、社会を変えていくことを目指しています。

脳卒中の患者は、筋細胞ではなく神経細胞のダメージにより長期間障害を抱えることになります。死んだ細胞は回復しませんが、ダメージを受けていない細胞を鍛えることで、脳の可塑性を高めることができます。当社のスマートリハビリ製品RAPAELは、不自由な部分の動きを補助するハードウェアと、その効果を高めるために分析するソフトウェアの両面からサポートするので、リハビリ内容を大幅に改善することができます。

治療を必要としている患者は大勢いますが、保険の問題や費用などの理由でリハビリを受けられません。アメリカの脳卒中の患者は、退院してから一般的に数ヶ月間しかリハビリを受けません。しかし現実には、患者は一生涯リハビリを続ける必要があります。ですから私たちは、代替案としてもっと手頃で自発的に取り組める在宅支援製品を提供したいと思っています。

どのようにアイデアを思い付いたのですか?

アイデアは元々私の友人で南カリフォルニア大学のコンピューターサイエンスで博士号取得した同社のCTOであるYoung Choi氏が思い付いたものです。彼は最初にリハビリ用ロボットを作りましたが、製造コストや大きさなどの点で在宅の個人用には実用的ではないと気付きました。しかし自分が行った調査で、手頃な価格での治療やリハビリを必要とする脳卒中患者のマーケットが存在することを知り、彼はそのまま研究を続けました。私は、自分のテック系ビジネスを韓国とアメリカで立ち上げた経験があったので、彼からアイデアを持ちかけられました。

手頃な方法で脳卒中患者が自立できるよう支援するアイデアは、自分の個人的な経験とも重なり、とても心に訴えるものがありました。私は脳卒中で自分の父親を亡くしました。また、叔父二人もリハビリ費が出せなかったため家族の介護にかかりきりでした。ですので、リハビリ費を払えないという理由で、大事な人が日常生活を送れなくなることがどんなに苦しいか理解することができます。

現在会社の規模はどれ位ですか?

韓国のオフィスとアメリカのオフィスで45名になります。各専門家がエンジニアリング、ソフトウェア開発や研究開発チームの一部のリハビリ治療部門に在籍しており、またハードウェアも社内で製造することができます。

NEOFECTは外部からの資金援助を受けましたか?もしそうなら誰からいくら受けましたか?

今日まで、POSCO Venture Partners、DSC Investment、K Partners、SBI InvestmentおよびSejong Investmentをはじめとする様々なVCから投資総額580万米ドルを受け取りました。最も高い可能性として世界市場を目標に、来年も資金調達を行う計画でいます。

会社が直面している最大の課題は何ですか?

私たちは通常、お年寄り、病人、鬱また気力を失った患者の皆様のために解決策を開発しています。難しいのは回復できるんだと彼らを説得することです。ゲーミフィケーションの要素や易しいユーザインターフェイスを使ってやる気を持ち続けてもらうことが、開発に欠かせない重要な部分です。

また最新の規制を把握し続けるのも一苦労です。デジタルヘルスケアは新たな分野であり、医師や当局はいつでも新たな方法を試すことを警戒するので、物事を始めるには長い時間がかかります。臨床試験を行うには1年かかり、それら臨床試験に関する論文を執筆するにはもう1年かかります。幸運なことに結果は良好で、その論文は今年発表される予定です。

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最後ですが、おそらく最も重要な課題は、製作費用と時間です。試作品を作るには5000米ドルほどかかりますが、商品として販売する前に、20台以上の「改良された」試作品を製作しなければなりません。また、医師に各試作品をテストしてもらって評価を得るのに約1ヶ月かかるので、試作品をテストし、改良された試作品を再テストするだけで2年以上かかりました。

今後6ヶ月の計画はどのようなものですか?

私たちはすでにグローバルなB2Bに向けて流通を開始し、そして現在、アメリカ、ヨーロッパ、中近東と日本の販売業者と協議に入っています。しかし、当社の最終的なビジョンは、脳卒中の患者が家で手頃にできるリハビリテーションを提供することなので、最終的にはB2C市場へ移行していく予定です。私たちは今後18ヶ月の間にグローバルなB2C市場へと拡大していく予定です。

【via e27】 @E27sg

【原文】

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