フィンテック・スタートアップ・ハブとしての魅力を売り込みに、ロンドンの名物市長が来日しイベントを開催

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ロンドン市長 Boris Johnson 氏

フィンテック(金融技術)のスタートアップ・ハブと言えば、その数や評価額の規模から言ってロンドンだろう。イギリスのスタートアップ関係者らは口々に「テクノロジーならシリコンバレー、ファイナンスならニューヨーク、でも、フィンテックならロンドン」と言ってはばからない。

伝統的に新しい金融サービスはイギリスから生まれてきたし、意図的に金融サービスに対する規制が厳しくない行政が、そのような環境を生み出してきた。最近では、世界で初めてフィンテック専門のアクセラレーション・プログラムを立ち上げた Barclays Accelerator が、先進的なスタートアップを輩出している。

そんなロンドンの名物市長 Boris Johnson 氏を招いて、フィンテック・スタートアップ・ハブとしてのロンドンの可能性を語るイベントが15日、東京の駐日イギリス大使館内の大使公邸で開催された。

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イベントの冒頭、Barklays の Chief Design & Digital Office の Derek White 氏によるプレゼンテーションに引き続き、サンブリッジ グローバルベンチャーズの共同設立者である平石郁生氏、近日、日本に進出予定のロンドン拠点の送金サービス会社 World Remit の日本GM である Tsuyoshi Ijichi 氏、楽天の FinTech Fund マネージング・パートナー Oskar Miel 氏、ロンドンをフィンテック・ハブとしてプロモートする NPO である Innovate Finance の CEO Lawrence Wintermeyer 氏がパネル・ディスカッションを行った。

Wintermeyer 氏は、もともと50人のメンバーと2つの組織から始まった Innovate Finance の生い立ちについて触れ、East Coast(アメリカ東海岸のエスタブリッシュなビジネス)をロンドンのスタートアップ・コミュニティへと引き合わせてきたコラボレーションの可能性を、東京にも見出したいと期待を述べた。

平石氏は1990年代のドットコム・バブルの頃から現在に至る日本のスタートアップ・シーンを見て、大企業とスタートアップの協業が増えたことを強調。文化と言葉の壁が日本のスタートアップのグローバリゼーションを妨げているものの、SLUSH Asia や Tech in Asia Tokyo のような国際イベントの開催が、そのような問題を解決する一助になるだろうと指摘した。

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駐日イギリス大使の Tim Hitchens 氏にモデレートされる形で Q&A セッションに登場した Johnson 氏は、ロンドン市がスタートアップのビジネス支援に積極的であることを説明した。例えば、ロンドン市内では Uber が利用でき、市政府がロンドン名物のタクシー(通称:Black Cab)とのバランスが取れるように規制を緩和している。また、非接触型決済カードの「barclaycard」の普及が世界ではロンドンで最も進んでいると主張するも、こちらは suica などのモバイル非接触決済が普及している点では、日本の方が進んでいると聴衆から指摘される一幕もあった。

イギリス政府やロンドン市の周辺には、TechCityLondon & Partners という、ロンドンのスタートアップ・ハブとしてのプロモーションを行う組織が存在する。政府や市行政からは独立しているため、役所仕事の影響を受けにくく、自由で迅速な動きができるのが特徴だ。

今後は、世界の主要都市の政府や行政間でもスタートアップ・ハブとしての競争がヒートアップしていくことになるだろう。

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