翻訳効率化ソリューションの八楽、「YarakuZen(ヤラクゼン)」を個人ユーザ向けにフリーミアム化

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東京を拠点とし、翻訳ソリューションを提供するスタートアップの八楽は2日、機械翻訳やクラウドソーシング翻訳に加え、過去の翻訳事例からの機械学習やテンプレートを駆使することで効率的な翻訳ができるサービス「YarakuZen(ヤラクゼン)」について、個人ユーザ向け完全フリーミアム化を発表した。

個人ユーザ向けフリーミアム版では、日本語をベースとしたときに 3,000文字までの翻訳であれば無料で利用できる。また、頻出する翻訳事例を保存しておき、次回以降の翻訳に反映させる保存可能ドキュメント数、保存可能フレーズ数はそれぞれ、100文書、1,000フレーズまでの制限があり、これまでのビジネスユーザ向け YarakuZen は17言語に対応しているのに対し、フリーミアム版の対応言語は8言語に制限される。

一般的に、インターネットを使ったサービスでは、フリーミアムからプレミアムに移行するケースが多いが、YarakuZen がこれとは逆の手法を採用している理由について、八楽の COO 湊幹(みなと・つよし)氏は、THE BRIDGE の取材に対し次のように語った。

これには2つ理由があります。1つは、営業・マーケティング戦略上の理由で、法人に導入していく中で、現場個人における強いニーズ、現場の人がものすごく良く使ってくれている状況を見て、「導入権限をもった人」に個別にアプローチしていくよりも、組織内個人に直接アプローチし、そこから企業導入に繋げていく方が、広がるスピードが圧倒的に早いだろう、と感じたからです。

2つめは、自社のミッションに立ち返り、一般の人にも利用して欲しいと考えたからです。「グローバルコミュニケーションを楽しむ」というのが弊社のビジョンで、中長期的な戦略として、世界のグローバルコミュニケーションのインフラを作り上げていくことが狙いです。

以前、今は亡き Dave Goldberg にインタビューしたとき、彼はシリコンバレーで B 向けソリューションが定着する流れの特徴として、「ビジネスツールのコンシューマライゼーション(消費者向けプロダクトが、ビジネスシーンで使われること)」があると言っていた。今回の展開は、八楽はがこの流れを日本のビジネスシーンにおいても期待する意思の表れだろう。

余談だが、時間の無いビジネスパーソンが読者の多くを占めることを念頭に、THE BRIDGE では一部の記事を除いて2,000文字以内で留めるように努力している。翻訳結果について品質評価はしていないが、YarakuZen の個人向けフリーミアム版が3,000文字まで無料で利用できるということだけ考えれば、THE BRIDGE 日本語版に掲載されている記事くらいのボリュームであれば、ほぼ無料で他の言語に翻訳できることになる。

前身となる WorldJumper をベースとして、2014年9月にサービスを開始した YarakuZen は、この1年間で400社以上に採用された。八楽の創業者でCEO を務める坂西優(さかにし・すぐる)氏は、次のようにコメントしている。

これをもってもっと多くの人に外国語によるコミュニケーションの機会を提供出来ることを目指しています。

八楽は2013年5月、ニッセイ・キャピタル、日本ベンチャーキャピタル、そのほかいくつかのエンジェル投資家から、約1億1,000万円を資金調達している。

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