8年間続けてきた心理療法「アートセラピー」の活動拠点を杉並区に設けたいーREADYFOR?で支援者募集

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乳幼児親子グループの様子(プロジェクトページより)
乳幼児親子グループの様子(プロジェクトページより)

8年前に倉石聡子さんとのその仲間によって立ち上げられた団体「 apconcept(アップコンセプト)」は、アートを心の支援に用いるセミナーやワークショップなどを開催してきました。その技術や作品の上手い下手ではなく、アートをあくまで自分を表現するためのツールとして捉える心理療法「アートセラピー」。東京杉並区の空き店舗を活用し、アートセラピー活動の拠点を開設するにあたって、READYFOR?で支援を募っています。

誰もが持つ創造性を活かす心理療法

apconcept-website

言語発達が未熟な子どもや、トラウマなどによって心に傷を受けた人たち、障害を抱えている人たちにとって、言葉を用いた働きかけだけでは十分に気持ちを表現したり、伝えたりできないことがあります。描画や造形、コラージュなどの創作活動を通して表現された作品を介して、自分の中の無意識の感情や欲求に気づいたり、留めていた感情を発散したり、または親子や仲間の心の交流を促進することができる。

アップコンセプトの活動のベースには、欧米では専門性が確率されるクリエイティブ・アーツ・セラピー(芸術療法)があります。芸術的なスキルや経験、また性別・年齢・障害を問うことなく、誰もが持つ創造性を活かす心理療法として、医療・福祉・教育・心理の分野などで幅広く適用されているもの。アメリカでは、9.11同時多発テロの後にもその効果が注目され、ニューヨーク州で精神保健州認定資格として、保険適用にもなっています。

レコード会社を辞めてアートセラピーを学ぶため渡米

アップコンセプトの発起人でもある倉石さんは、ご自身も陶芸や音楽に挑戦するなどアート好きが高じて大学卒業後は大手のレコード会社に就職し、宣伝の仕事をしていました。結果重視の世界で、いかに売れるかを競い合う、常に数字に終われ、その重圧に負けてしまうアーティストやスタッフも多かったといいます。

「アーティストは誰もが心を込めて作品を作ります。それは、自分の分身を生み出すような作業です。唯一無二の作品を自分のために生かす、数字で評価される世界とは対照的なアートセラピーやミュージックセラピーという世界があることを知り強く惹かれました」

その後、4年間勤めた会社を辞めて渡米し、心理学とアートを学び直してから、アートセラピーの大学院に入学。そこで精神医学や心理療法全般について広く学び、帰国後しばらく経験を積んだ後に臨床心理士の資格を取得しました。アートセラピーのみの資格は日本国内には存在しませんが、臨床心理士の資格があったことで、医療や教育の領域へと活動を幅を広げていくことができました。

分野を信じる気持ちと仲間が活動継続のモチベーション

倉石さんが米国から帰国して10年以上が経つ今も、残念ながら、日本のアートセラピー事情には当時と比べてあまり大きな変化がないのが現状です。そんな中でも、臨床心理士として小中学校の相談室でスクールカウンセラーとして働いたり、病院や施設などで困っている人たちの相談にのる仕事を続けながら、アートセラピーの活動を続けてきました。今回の杉並区での拠点開設は、そんな長年の活動における大きなマイルストーンです。

「ずっとアートセラピーの活動を続けられている理由は、この分野を信じる気持ちと仲間の存在です。国内にはメンバーは少ないですが、クリエイティブ・アーツ・セラピーの領域で海外でトレーニングを受けて帰国した専門家のネットワークグループがあり、仲間と助け合っています。将来的にはトレーニング機関や組織の整備など、この分野の進展のために尽力していきたいです」

今回募った資金で杉並区にオープンする拠点では、アートセラピーを幅広い対象者に対して提供していく予定。子どもや親子に向けたものはもちろんのこと、成人向けワークショップ、個人やカップル、家族でのカウンセリングなども実施していきます。

READYFOR?では、公開7日目に目標金額の30万円を達成。まだスポンサー募集終了まで日数があるため、次のゴールとして目標金額を50万円に増やしてプロジェクトを続行中です。支援は3,000円〜行うことができます。詳細は、プロジェクトページをご覧ください。

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