累計20ヶ国5,000人を支援、治療を必要とする世界中の患者を5ドル〜支援できるクラウドファンディング「Watsi」

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Watsi-website

クラウドファンディングで資金を募るのは、何もスタートアップや最新のガジェットばかりではありません。KickstarterやIndiegogoなどのプラットフォームでも、ソーシャルグッドのカテゴリーに分類されるプロジェクトの数が増しています。

2012年8月からこの分野で展開するのが「Watsi」です。世界中の「人生を変える」ような医療を必要とする人を直接支援できるプラットフォーム。支援者は、5ドルから様々な理由で治療を必要とする人をサポートすることができます。Watsiでドナー・オペレーションを担当するGrace Gareyさんにお話を伺いました。以降はQ&A形式でお伝えします。

ーWatsiは2012年8月にサービスを開始しています。これまでに医療を必要とするどれだけの人たちを支援してきましたか?

これまでに、Watsiでは金額にして500万ドル(1ドル100円の単純換算で5億円)、人数にして20ヶ国にまたいで5,000人の患者さんにヘルスケア支援を届けています。100ヶ国から約14,000人の人たちが寄付をしてくれています。

ーWatsiで支援を受けている患者さんたちはどんな人たちですか?どんな病に苦しんでいるのでしょうか。

Watsiで支援を受ける人たちは、低価格で高インパクトのヘルスケアを必要とする開発途上国の人たちです。その医療を自らは得ることができない人たちです。Watsiでは、これまでに170種類の異なる症状への支援が行われてきました。心臓病、白内障、骨折、癌までさまざまな病や症状に対する治療を必要としています。

ーWatsiで支援を受ける人たちは低所得国の人たちです。彼ら・彼女らは、どのようにしてWatsiについて知るのですか?デバイスやインターネットを持っていませんよね?

現地で活動するWatsiの医療パートナーを通して、患者は私たちのことを知ります。医療パートナーは私たちが信頼する地元の医療機関のことで、患者を特定し、Watsiについて彼らに説明します。そして、Watsiで支援を得るために彼らのプロフィールを私たちに提供し、上質な医療を施し、その患者の支援者に対して治療後の患者の状況を教えてくれます。

ーWatsiを素晴らしいプラットフォームだと感じる一方で、支援を必要とする大勢の人を見ると、その中からどう支援する患者さんを選ぶべきなのか迷ってしまいます。この意思決定を支えるためにプラットフォームとしてやっていることはありますか。

Watsiにとってのゴールは、「人を繋げること」です。患者については、写真やパーソナルな情報などをサイトに掲載し、支援者がさまざまな形で患者との繋がりを感じられるようにしています。出身地、どんな治療を必要としているのか、趣味など。もっと人間らしい要素や形を通して人を繋がるという体験が、患者を選ぶという行為をよりパーソナルでポジティブなものにしてすると考えています。また、支援者は患者が受けた治療の経過などについてもアップデートを受け取ることができます。

ーWatsiは、ファウダーがバスに乗っていた時の体験がベースになっていると聞きました。もう少し具体的に聞かせてください。

2010年12月3日、Watsiの共同ファウンダーであるChase Adamは、平和部隊のボランティアとしてコスタリカで活動していました。とある時、バスに乗り合わせた女性が、乗車客に息子のための医療費を援助してくれないかと聞き回っている姿を目にしました。乗車客から乗車客へと歩き回りながら、息子の診察記録を見せて回る。ほぼ全員が彼女に寄付しました。この時にバスが走っていた地域が「Watsi」という場所だったため、サイト名はそこから来ています。

ー日本という国には寄付の文化があまり根付いていません。中流階級の層が厚く、他国に比べて裕福な人と貧乏な人の差が少ないなど色々と理由はありますが、海を隔てた遠いところにいる人に共感するハードルがとても高いと感じます。もっと多くの人にアクティブに参加してもらうためにどんなことができると考えていますか?

どうすれば全くの他人同士を動かし、地球の反対側からお互いをサポートするように人を動かせるかは常に考えています。私たちが考える最良の方法は、テクノロジーを活用することで世界を小さくすることです。そして、赤の他人を、自分の支援を必要とする友人のような存在にいかに近づけるか。支援者が、患者とよりパーソナルなレベルで繫がれるようにして、その治療の一部となり、彼らが元気になる姿を見届けることで、地理的な障壁を越えて人々がより近づけるのではないかと考えています。

ーWatsiの直近のプランについて教えてください。

来年は、今年の2倍の量のヘルスケア支援を実施したいです。The Bridgeの読者の皆さんにもぜひ参加していただきたいです。

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