トヨタが人工知能、ロボティクス、燃料電池技術を開発するスタートアップ向けに135億円のファンドを発表

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トヨタの水素燃料電池自動車「MIRAI(ミライ)」

世界最大の自動車企業トヨタ自動車は昨夜(原文掲載日:11月5日)、自動車向けの高度技術を開発するスタートアップ向けに、135億円のファンドを発表した。このファンドは、トヨタと三井住友銀行、資産運用会社のスパークス・グループとの協業によるものだ。新ファンドは、10月21日に発売されたトヨタの水素燃料電池自動車「MIRAI(ミライ)」にちなんで「未来創生ファンド」と名付けられた。

共同通信の報道によれば、トヨタは100億円、三井住友銀行は33億円、スパークス・グループは2億円を出資し、スパークス・グループがファンドのジェネラル・パートナーを務める。

トヨタのプレスリリースによれば、ターゲットとする投資領域は、人工知能、ロボティクス、および、生産・供給・水素利用に関わる技術となっている。同社は自走式自動車については言及していないが、人工知能やロボティクスは自走式自動車に関連が深いコア技術だ。

トヨタはプリウスでハイブリッド自動車の分野を開拓したが、完全電気自動車の分野においては、日本内外の競合に遅れをとっている。自走式運転技術の分野でも、遅れをとることになるかもしれない。

今年のモーターショーでは、トヨタは最新式のミライと、未来を予見させる水素燃料電池自動車 FCV Plus を展示した。同社が環境に優しい自動車を作る上でのネクスト・ビッグシングに燃料電池を考えているのは明らかであり、これまでに公言もしている。同社によれば、現在の電池技術では一回の充電で十分な距離は走れず、自社の素材で作った電池ではエネルギー密度に制約があることを明らかにしている。つまり、スタートアップは電池により多くのエネルギーを詰め込むか、車により多くのバッテリーを積めるようにすればいいわけだ。

トヨタは先月、半自動運転の Lexus をテストしたが、完全に運転者を置き換える技術にする計画はないと述べている(「ハイウェイチームメイト」と呼んでいる)。トヨタは今年のモーターショーで、自走運転技術については多くを展示しなかった。

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日産は今週、2016年末までに半自動運転車を市場に出すと発表した。現在、首都圏の行動やハイウェイで、完全電動自走式リーフを試験しているところだ。アメリカの Tesla は最近、従来からある半自動運転可能な電気式自動車のいくつかを更新した。

トヨタは、さらに投資パートナーを求めて今回のファンドを来年の3月までに500億円までに成長させたいとしている。このファンドには、自走運転技術に関して、トヨタが社内の動きの遅さを解決したい意図があるようだ。同社にとってさらに重要なのは、水素エネルギーにおける世界的な市場リーダーとしての立場を、より確固たるものにすることだろう。

【via Tech in Asia】 @TechinAsia

【原文】

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