ディープリンクを実現する「AppIndexing」とは?

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hiro飯塚勇太。株式会社シロク代表取締役社長。2012年入社。学生時代に写真共有アプリ「My365」を開発、サイバーエージェント内定者の時に子会社として株式会社シロク設立、代表取締役社長就任。2015年7月より、サイバーエージェント内新規事業研究会責任者。


AppIndexing

Webサービスとスマートフォンアプリを繋ぐ「ディープリンク」が注目されている。頻繁に名前を耳にするようになった。しかし、「ディープリンク」の有用性や効果的な事例は、非常に少ない。

「ディープリンク」という言葉が頻出するようになった背景は何か?一つの答えは、プラットフォームにおいて「ディープリンク」に関するサポートが増加している事が影響している。

3大プラットフォームのディープリンクサポート

現在、Facebook、Twitter、Googleの3つのプラットフォームが、ディープリンク対応のための機能を提供している。各特徴を示す。

Facebook:App Links

AppLinksは、2014年から公開されているFacebook上で機能するディープリンク機能である。導入自体は、Webサイトのタグに数行追加するだけで可能であり、容易に実装が出来る事が特長である。

iOSアプリ、Androidアプリが存在し、アプリでURLスキームを利用している。アプリのコンテンツがWebサイトに公開されているという条件を満たしていれば、AppLinksを簡単に利用可能で、導入のハードルも低い。

Twitter:Twitter Cards

Twitter Cards という機能の中で、2013年からにディープリンク機能が追加された。Twitter Cardsの特徴としては、Summaryカードや、Appカード、Playerカードなどフォーマットが多い。Twitter Cardsは、Facebookと異なり、タイムライン上では表示されない。Tweetの詳細画面で、Twitter Cardsが機能する。

Google:AppIndexing

AppIndexingは、2013年10月に初めて発表されたGoogleの検索結果で機能するディープリンク機能である。日本では2014年6月からAndroidで提供開始し、2015年5月からiOSもサポートしている。Googleの特性を活かして、Web検索結果上で、アプリ起動やインストール導線が表示されるのが特徴である。

最もインパクトが大きいのはAppIndexing

上記のディープリンクにおいて最も大きなインパクトを与えるのは、どれだろうか。私は、AppIndexingと考える。

理由は、App LinksとTwitter Cardsは、SNSという特性もあり、ユーザーのタイムライン上のみで機能するからである。そのため、ユーザーの興味関心ではなく、フォローしている、ないしは友人のユーザーが投稿したコンテンツで結果的にディープリンクが機能するという偶発性が高いからである。

AppIndexingは、ユーザーが検索をした際に表示されるため、ユーザーのコンテンツへの興味関心が、TwitterやFacebookより高い事が多い。加えて、Web検索結果で、AppIndexingが機能するため、上手く対応する事で、アプリ面の露出を大幅に増加させる事も出来る。

従来からWebサービスは、検索エンジン上でSEO対策を施し、ユーザー数を伸ばす戦略を取る事が多いが、スマートフォンの検索結果から直接アプリのユーザー数増加をする事は難しい課題であった。今後、AppIndexingに対応する事で、WebサービスのSEO対策のように、アプリのSEO対策も出来るようになる可能性が高い。

AppIndexingの詳細

AppIndexingは、何が出来るか?AppIndexingでは、大きく2つの機能がある。

検索結果からのアプリ起動

(引用: https://developers.google.com/app-indexing/webmasters/?hl=ja )
(引用: Google Developers

AppIndexingに対応したアプリが検索結果に表示された際に、既にユーザーがアプリをインストールしている場合は、小さなアイコンが表示される。検索結果をタップすると、Webページと紐付いたアプリの当該ページが表示される。

効果としては、既存ユーザーのアプリのアクティブ率が向上する。従来、アプリをインストールしている場合に、同サービスの検索結果をそのままWebページで閲覧する事が多かったが、AppIndexingにより今まで分断されていたWebページとアプリの連携が可能になり、アプリを起動するきっかけが向上する。

検索結果からのアプリインストール

(引用: http://googledevjp.blogspot.jp/2015/04/app-indexing.html )
(引用: Google Japan Developer Relations Blog)

検索結果からアプリをインストールさせるには、GooglePlayやAppStoreのアプリページからダウンロードをさせる方法のみが存在した。AppIndexingに対応したサービスがあると、検索結果の中に「アプリのその他のコンテンツ」という枠が表示される。

枠では、一つのサービスだけが表示されるのではなく、複数アプリが表示されるような仕様である。表示される順番は検索結果と同様の形である。従って、Webサービス上で、SEO対策を施し、検索順位が高いキーワードを沢山保有しているAppIndexingの枠上でも順位が上に表示されて、アプリのインストール数を増加させる効果が期待できる。

AppIndexingのインパクト

AppIndexingの効果は、一体どの程度なのか?実際に弊社がサポートを行ったAmebaを元に、実際の効果を検証する。

既存ユーザーのアプリにおけるアクティブ率向上

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Amebaでは、AppIndexingに対応する前は、検索結果は全てブラウザ上で表示し、特にWebからアプリへの導線を設けていない。AppIndexingに対応をする事で、アプリ既存ユーザーのDAUが、対応前と比較すると24%増加した。

アプリを持っているにも拘らず、ブログをGoogleで検索し、そのままWebページで閲覧をするユーザーが多い。AppIndexingに対応する事で、アプリを保有しているユーザーはアプリ内で、ページを開く事で、既存ユーザーの数が大きく増加した。また、Webからアプリへ誘導することで、アプリ内での回遊も大きく増加している。

新規ユーザーのインストール数

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既述のように、AppIndexingは既存ユーザーのアクティブ率向上のみでなく、新規ユーザーのインストール数の増加にも大きな影響を与える。インストールの導線としては既述のような形で表示されるが、実際のインストール数の変化はどの程度変化するか?

グラフでも現れているように、インストール数はAppIndexing対応後、37%増加している。注目すべきは、AppIndexingの効果継続性である。通常の広告は、出稿している期間のみ効果があるが、AppIndexingは対応後、基本的には永遠に導線が合わられますため、効果の継続性が高く、サービス成長へ与える影響力が大きいのが特徴である。

新規ユーザーの定着率

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新規ユーザーの定着率に注目する。AppStoreやGooglePlayから直接インストールをするユーザーと、AppIndexing経由でインストールするユーザーを比較した場合、7日後の定着率は4%向上であった。

「4%」という数字は小さいかもしれないが、7日後定着率はわずかな変化が大きなインパクトを与える指標である。よって、サービス成長においては大きな価値を生んでいる。

新規ユーザーの定着率が表すように、Webで関連コンテンツを検索した後にアプリをインストールするユーザーは、サービスとの相性も良く、中長期でアプリを使ってくれる可能性が高い。Webからアプリのインストール数を増加させる事が出来ると、サービスの成長にも大きな影響を与える。

今後のアプリマーケティングへの影響

AppIndexingで最も効果を発揮するのは、既にWeb上で多くの検索サイトから流入のあるメディアである。今までWebサービス内で閉じていたユーザーの動きが、アプリへの移動がシームレスになることで、アプリのインストール数と、既存ユーザーのアクティブ率を大きく向上させる可能性ある。

アプリでもWeb検索でのSEO対策が重要に?

GoogleではAppIndexingに対応などモバイルフレンドリーである事を検索アルゴリズムに盛り込む事を公式に発表している。

アプリのマーケティング手法は、限定されていたが、AppIndexing対応により、Webの検索結果から新規ユーザー、既存ユーザー双方の流入口を確保できる、サービスの成長が期待できる。

また、AppStore、GooglePlayへの影響も大きいと考える。以前からWebで多くのユーザーを集めていて、アプリでそこまで注力していなかったサービスなどがAppIndexingに対応する事で、アプリマーケットのランキングにも大きな変化を起こす可能性も考えられる。

アプリのみで提供しているサービスも、Webを上手く活用してコンテンツを作成し運営する事で、サービスを成長させる事も出来るようになるため、Webとアプリの相関性を高め、AppIndexingをどのように味方に付けていくかがサービスの戦略においても重要になっていくと筆者は考える。

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