クラウドキャストがセゾン・ベンチャーズとIMJ-IPからシリーズB調達、スタートアップ向け無料プランを開始

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経費精算アプリ「bizNote for 弥生オンライン」や「Staple(ステイプル)」を提供するクラウドキャストは11日、クレディセゾンの CVC であるセゾン・ベンチャーズと IMJ Investment Partners(以下、IMJ-IP と略す)からシリーズBラウンドで資金調達したことを発表した。出資に関する詳細は明らかにされていないが、調達金額は数千万円程度に上ると推定される。シリーズBラウンドはクローズしておらず、今後、同社は事業シナジーの考えられる VC からの出資を募り、最終的には1億円程度の調達を行う模様だ。

同社は2014年にも、IMJ-IP から資金調達を実施している(調達額非開示、シリーズAラウンド)。事業会社からの資金調達としては、今ラウンドのセゾン・ベンチャーズからの調達は、2013年5月の国内会計大手の弥生からの2,500万円の調達(シードラウンド)に続くものとなる。

クラウドキャストでは昨年9月から、スタートアップや中小企業向けの経費精算アプリ Staple を提供しているが、セゾン・ベンチャーズとの資本提携を機に、クレディセゾンのクレジットカード会員3,500万人を擁する顧客基盤や永久不滅ポイントと連携し、Staple の機能拡張と顧客獲得に注力するとしている。具体的には、これまで Staple での経費入力は、レシートや領収書をもとに手動で入力するか、交通系ICカードから履歴読込による方法が提供されていたが、今後、クレディセゾンのカード会員向けのオンライン利用履歴とのデータ連携が期待される。

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今回の資金調達に際し、クラウドキャスト代表取締役の星川高志氏は THE BRIDGE に次のように語った。

クラウドキャスト代表取締役 星川高志氏
クラウドキャスト代表取締役 星川高志氏

今年は、NFCによる交通系ICカードからの履歴読込をやったので、次はレシートのOCR読取機能を実装したい。電子帳簿保存法にあわせ機能拡張する。また、クレジットカード連携やバックエンドのしくみの開発も強化したい。

法人向けの「Staple Team」では、特に必要とされる業種が見えてきた。広告会社や不動産会社など営業社員が多い業種だ。特に多店舗展開している会社では PC を与えていないスタッフも多く、(スマートフォンで経費精算ができる)Staple Team は重宝されている。

星川氏によれば、クラウドキャストは、Staple Team が現在ユーザニーズを探るための研究フェーズにあると位置付けており、今後、主にインバウンドで販売を本格化していく。また、今年から来年にかけて、会計系のサービスがこぞってマイナンバー対応を唱える中、クラウドキャストはマイナンバー対応をあまり意識していないとのこと。その背景には、クラウドキャストのソリューションが、会計全般ではなく、経費精算のみに的を絞っていることが理由にあるのだろう。給与計算(ペイロール)を提供するサードパーティーのプラットフォームとの連携についても、その可能性を前向きに検討しているとのことだった。

クラウドキャストが個人向けに提供する Staple は無料で利用できるが、グループで利用できる法人向けの Staple Team の利用料は月々600円から。ただし、創業5年未満5ユーザまでの企業、学生起業家、NPO 向けに無料で利用できる「スタートアッププログラム」を開始したということなので、専属の経理担当者がいないアーリーなスタートアップは、この機会に試してみるとよいだろう。

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