Gulliver Acceleratorが初デモデイを開催、ファイナリスト3チームが協業するプロダクト/サービスを披露

by Masaru IKEDA Masaru IKEDA on 2015.12.17

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前列左から:ガリバーインターナショナル 代表取締役社長 羽鳥由宇介氏、同じく代表取締役社長 羽鳥貴夫氏 後列左から:トイロ 代表取締役社長 佐瀬和彦氏、ハタプロ 代表取締役CEO 伊澤諒太氏、同じく取締役COO 宮路優氏、gCストーリー 執行役員 高村健一氏、ガリバーインターナショナル 社長室 北島昇氏

中古車買取および販売事業を展開するガリバーインターナショナル(東証:7599、以下、ガリバーと略す)は17日、同社のアクセラレーション・プログラム「Gulliver Accelerator」の初回となるデモデイを行った。7月8日〜8月3日までのプラン募集期間には約150名(またはチーム)から応募があり、うちビジネスプランコンテストを開き参加対象となるスタートアップ3社を選出。選ばれた3社は3ヶ月間にわたり、社内外のメンターによるメンタリングやコラボレーションを行った。

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イベントの冒頭、ガリバーの代表取締役である羽鳥貴夫氏が登壇し、プログラムを通じてスタートアップに提供できるものとして、ガリバーが持つ資産、資金、メンタリングがあるが、特に、ドライバーID、カーID、プライスロジックといった、ガリバーが長年かけて築いてきた資産が利用できるのが、ユニークである点を強調した。また、クルマ市場においては、特に自動車メーカーや流通会社など提供者側の論理が通りがちだが、プログラムを通じてユーザに寄り添ったクルマ作りを促し、新しい次代を担うチームや事業を創出する意図もあるとした。

〈最優秀賞〉高齢者向けに運転習慣の注意喚起を促す IoT(by ハタプロ)

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右から:ハタプロ 代表取締役CEO 伊澤諒太氏、取締役COO 宮路優氏

ハタプロは IoT に特化したスタートアップだ。日本と台湾に拠点があり、朝日新聞との連携で電子ペーパーを使ったスマホ連動カバンや、大手飲料メーカー×センサーのプロジェクトなどを手がけているほか、大手自動車メーカーも参加する Motors Hack Weekend の事務局運営なども手がけている。

2025年にはドライバー人口の約半分が高齢者になると言われる中、近年、高齢者による交通事故が増加している。高齢者の運転スキルの衰えを見える化し、早期対策ができるようにする IoT がハタプロが開発する Flagle だ。Flagle には加速度、温度、二酸化炭素、花粉、騒音、位置情報を取得できるセンサーが内蔵されており、運転席のヘッドレストに装着することで、ドライバーの動きを定量的に捕捉できる。取得した情報は 3G でクラウドに転送し、適切なアルゴリズムでドライバーの挙動を分析、気づきや改善を促すしくみだ。

テレマティクス市場は、通信環境が不安定であったり、構成するパーツの価格が高かったりして、これまで実現することは難しかったが、SORACOMTAKT のような安価な MVNO や、センサーの技術革新によるハードウェアの低コスト化により、参入障壁は低くなった。現在プロトタイプを開発中で、来年春頃には商品版を出したいとのことだ。この IoT デバイスから得られるデータを活用することによって、例えば、自治体職員による現地訪問に依存しているヒヤリハットマップ(交通事故危険箇所地図)の作成などに貢献できる可能性がある。

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花粉センサーの容積が大きく、現段階ではプロトタイプのため大きいが、今後小型化を図るとのこと。
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ヘッドレストに装着して使用

〈優秀賞〉全国にいる看板職人を活用した、クラウドソーシング検査員事業(gCストーリー)

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gCストーリー 執行役員 高村健一氏

一般的に中古車業界は、中古車が調達されてから消費者に行き着くまでに複数の業者を通過するため、その都度、中間マージンが価格に上乗せされていく。一方、価格の安い事業者からや個人間で中古車を購入することもできるが、その場合、検査が十分でなく、消費者は意図せず事故車を買わされてしまうリスクが高くなる。

(C2C などを含む)中古車のオンライン取引で中古車を購入すると安くなるが、この場合、事故歴など中古車を検査してくれる人が必要不可欠。そこで、ユーザ視点の検査基準を確立し、検査情報をオープン化、クラウドソーシングで全国に検査員を派遣できるようにする。サービスの提供チャンネルは、ガリバーや、ガリバーの C2C 中古車流通プラットフォーム「クルマジロ」、将来的には、ヤフーや楽天などが展開するサービスもターゲットにしている。

gC ストーリーは全国の看板職人をネットワーク化し、看板の設置・取換などの仕事を全国で受注できる体制をとっているが、看板職人の仕事は減少傾向にあり、収入が必ずしも安定しない課題がある。看板の設置などで、部品の接着や溶接、ボルト締めが完全かどうかなど、普段からこの種類の仕事に慣れている多能工の看板職人が中古車の検査を実施することで、全国的な検査員の潜在ニーズに応える。

現在は仮説検証中で、実際に看板職人による中古車検査を行ったところ、ガリバーの本業の検査員からの評価も上々である。実証実験の終了後、ガリバー店舗、クルマジロへと導入し、関東から東名阪、全国区へとサービスを広げていきたい考え。

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クルマに関するキュレーションメディアの提案(by トイロ)

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トイロ 代表取締役 佐瀬和久氏

トイロは、保険比較サイト「INSNEXT」などインターネットメディア事業を行うスタートアップだ。代表の佐瀬和久氏によれば、同社は常にインターネット・ユーザの検索動向を追っているが、その中での近年の顕著な傾向として、 1. 初めから答えを求める消費者、2. 感情検索の増加 が挙げられるという。

2004年から2015年の検索ワードの動向を見てみると、「中古車」や「中古車情報」などのキーワードによる検索例は下降トレンドにあり、一方、「かっこいいクルマ」「クルマが欲しい」といった検索が上昇傾向にあるという。トレンドが変化した時期は、iPhone 4S が発売された時期、つまり、仕事ではなく、モバイルでの検索が圧倒的になった時期とシンクロするという。

一方、ガリバーではコンバージョンレートの伸びや CPA の改善が共に踊り場を迎えており、店頭での営業手法において未整備な部分がある点が課題。ガリバーによる潜在顧客層に対する新たなアプローチ・チャンネルの確保と、店頭での VMD(Visual Merchandising)を強化するため、キュレーション・メディア Carlor をローンチした。直近の目標は 100万 MAU の達成で、この際に想定される月間新規顧客数は570人、売上にして8.5億円に達することが見込まれる。

同社は Carlor.jp のローンチにあたり特別な CMS を開発しており、この CMS を使うことで1時間で記事を10本程度量産できるとのこと。キュレーションメディアではあるが、権利問題をクリアするため、写真はパブリック・ドメインのものを使用、テキストについてもガリバーが持つ情報資産か、トイロのスタッフがオリジナルで記述している。

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プログラム終了後も、ガリバーはこれらのチームとの協業を進めていく計画で、ガリバーの店頭やウェブサービス上で、正式にプロダクトがお目見えするケースも近い将来に出てくるだろう。来年以降の「Gulliver Accelerator」の運営について詳細は未定ということなので、ウェブサイトを定期的にチェックするとよいだろう。

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