人材大手ウィルグループがビジネスコンテストを開催、越境求人プラットフォームの「HRDatabank」が優勝

Masaru IKEDA by Masaru IKEDA on 2015.12.17

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人材大手のウィルグループ(東証:6089)は、2014年から優れたスタートアップを選抜する「BUSINESS CONTEST YOAKE(ビジネスコンテスト ヨアケ)」を定期的に開催している。直近の回では、11月20日から約2週間をかけて、TECH LAB PAAK(渋谷)、Co-Edo(東京・茅場町)、コワーキングスペース7F(埼玉・大宮)の3つ拠点で予選が開催され、最優秀スタートアップを決める決勝大会が15日、イトーキ東京イノベーションセンター SYNQA で開催された。

このプログラムには総勢60チームからのエントリがあり、決勝大会には、3箇所のコワーキングスペースからそれぞれ2社ずつ選抜され、計6チームがファイナリストとして参加。大阪発のスタートアップが開発した、越境求人プラットフォーム「HRDatabank」がグランプリを獲得した。優勝した HRDatabank には、賞金100万円に加え、ウィルグループからの出資やJV設立等の副賞が付与される。

決勝大会を審査したのは、次の方々だ。

  • ウィルグループ 代表取締役社長 池田良介氏
  • サイバーエージェントベンチャーズ ヴァイスプレジデント 竹川祐也氏
  • さくらインターネット 取締役副社長 舘野正明氏
  • 新日本有限責任監査法人 パートナー 藤原選氏
  • デフタパートナーズ アクセラレーター 山口豪志氏

ファイナリストに選ばれたチームのサービスは次の通り。

〈グランプリ〉HRDatabank

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HRDatabank は、韓国人とチュニジア人の起業家によるスタートアップだ。もともと外国人留学生向けのサポートサービス「Study in Japan」を運営していたが、メンバーだった50カ国600人以上のメンバーにヒアリングしたところ、留学生らは留学そのものよりも、そのあとの就職活動に興味があることがわかった。そこで、発展途上国の人材調達モデルを確立し、HRDatabank を開発した。

発展途上国からのエンジニア採用に特化し、履歴書を24個の条件フィルターで絞り込みできるようにすることで、通常なら100分かかる履歴書のレビューを10秒で済ませられるとのこと。テキストチャット、面接日時設定、ビデオチャットができ、必要に応じて、履歴書情報をもとに入国管理局に提出する労働ビザの申請フォームを作成したり、行政書士にビザ申請を依頼したりすることができる。

2016年に正式版をリリースし、日本語のみならず英語もサポートする予定。現在までに5,000人のユーザ登録があるが、そのうち約3割は日本語話者とのこと。

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〈審査員特別賞〉Brand Pit

will-group-yoake-2015-brandpit-1BrandPit は、ブランドが自社のファンのことをより理解するためのアナリティクス・ツールで、テキストやキーワード分析の代わりに画像認識技術を利用している。Instagram で共有された画像を使った分析で、Facebook や Twitter でも同様の分析を行っている。ソーシャル共有された画像の中からブランドのロゴを検知することで、BrandPit を利用する企業は、誰がファンで影響力のある人物かなど貴重な洞察を得られるほか、ブランドのアクティビティに関する地理的分布を見ることもできる。

現在、ユニリーバやヒルトンホテルズ&リゾーツが料金を支払ってサービスを利用、アクセラレーション・プログラムに参加したことで IBM や香港の Swire Group をストラテジック・パートナーに獲得している。主として静止画からブランドロゴを検出するためのソリューションだが、動画にも対応可能とのこと。来年3月には、テキサス州オースティンで開催される SXSW(サウスバイサウスウエスト)に参加する予定。

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〈審査員特別賞〉訪問美容と和

will-group-yoake-2015-homon-biyou-1訪問美容と和は、外出して美容院に行けない人のための訪問美容サービス。美容師でもある創業者が以前、骨巨細胞腫を患い半年間にわたり入院を余儀なくされ美容院に行けず、後輩美容院に髪を切ってもらい自信が芽生えた経験をもとに立ち上げられた。要支援、要介護の258万人を対象に、事前予約で女性美容師が訪問してくれる。女性に職業機会を創出する観点から、派遣する美容師は女性のみ。

東京都内の平均的な美容料金と同額で利用でき、出張費や交通費は不要。一般的に美容室の平均リピート率が40%(情報ソースは不明)であるのに対し、同社のリピート率は80%に上るという。同社のサービスの拠点となる第1号店の美容院を東京・巣鴨にオープンしている。今後は、全国の各都道府県に1年に1店舗のペースで美容院を開設し、全国に訪問美容のネットワークを展開したいとのこと。

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〈さくらインターネット賞〉Leadvise

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Leadvise は、Web開発におけるテスト工程一元管理ツール「Qangaroo(カンガルー)」を開発。開発のテスト工程で多発するトラブルを解消するため、リアルタイムでの進捗管理機能や、テスト作成支援機能、仕様書とテストの整合性追従機能などを提供している。一般的にシステム開発では、テスト工程が全工程の4割の工数を占めるのにもかかわらず、テスト項目が担当者の経験や勘に頼っており、テスト漏れや手戻りが発生する。

Qangaroo はシンプルなテスト工程の一元管理機能を提供し、テストの作成支援機能を開発中。さらには、仕様書に基づいて、自動的にテスト項目を作成する機能も開発中だ。アルファ版ローンチから1ヶ月で95社がサインアップし、来年2月から開始される有料版には、上場企業2社を含む3社が契約した。テスト受託企業、オフショア開発受託企業、クラウドソーシング企業などが想定顧客。今後は、スマートフォンのゲーム・デベロッパ向けに、スマートフォンのゲームに特化したテスト項目作成支援機能や、テスト実施のクラウドソーシング機能の提供を計画している。

Leadvise は、Open Network Lab 第11期から輩出されたスタートアップだ。

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ライボ

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ライボは、職後の仕事に関する相談や悩みを質問できる匿名Q&Aサービス「JobQ」を提供。JobQ は新卒者〜入社5年目位までの若手社会人を対象とした、仕事やキャリアに関するQ&Aサービスだ。予備校のチューターのように先輩に相談する感覚で、より経験豊かな社会人に仕事に関する悩みを気軽に相談することができる。相談を受ける方のユーザは、氏名は公開されないものの、所属会社名や得意とする相談分野のタグ付けがされており、相談者が容易に相談相手を見つけられる工夫がなされている。

1,500人いるユーザの構成は、質問者が2割に対して概ね回答者が8割。企業の中の個人(いわゆる「なかのひと」)に直接質問できるのが特徴で、質問が投稿された際に1件以上の回答が得られる確率は90%に達している。現在、転職エージェントに代わって、回答者である個人が企業を推薦するエージェントとするビジネスモデルを模索。求職者を企業に誘導することで、当該企業から成功報酬ベースで手数料を徴収し、その企業を推薦してくれた個人ユーザにポイント還元するスキームを想定している。

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JobQの画面(一部、画像を加工しています)

JobQの画面(一部、画像を加工しています)

SPICE

will-group-yoake-2015-spice-1SPICE は、BAKE&Co. が開発するファッションに特化した動画メディアで、ファッション EC やブランド向けの顧客誘導サービスを提供。創業者の金子晋也氏と彼のチームが、慶応大学の三田祭で女性来場者にヒアリングしたところ、彼女たちはEコマースを使うものの、8割の人たちはファッションECを使ったことがないということが判明した。その理由として挙げられたのは、着丈や質感がわからないから、というものだ。

SPICE では読者モデルを集め、彼女たちにアパレルやファッションアイテムをライブ動画で実演してもらっている。東京のブティックやセレクトショップなどに気軽に来れない地方に住む消費者を魅了し、全国的にファッションセンスを底上げすることを目標としている。ライブ動画の平均放送時間は43分で、1番組あたりの平均視聴者数は1,110人。そのうち410人がアパレルブランドの商品購入ページに遷移している。コンバージョンした売上の15%を SPICE がアパレルブランドから徴収する。

特に有力なマーケティング手段を持たず、地方にまだ販売チャンネルを持っていない、創業まもないアパレルブランドに評判が良い。SPICE が抱える読者モデル24人の合計フォロワー数は67万人を超えており、この影響力が SPICE にとっての最大の武器となっている。

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なお、今回開催された YOAKE の決勝大会では、同ビジネスコンテストがウィルグループの CVC 連動アクセラレータープログラム「HINODE」に昇格することが発表された。これまでのビジネスプラン発掘だけではなく、4ヶ月間にわたりメンタリング、経営資源の活用、出資、人材など多面的な支援が提供される予定だ。初回のエントリは、交流会を通じて2016年1月に受け付けられ、初回選抜チームはプログラムへの参加を経て、2016年7月に開催されるデモデイで成果が披露される。

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Masaru IKEDA

Masaru IKEDA

1973年大阪生まれ。インターネット黎明期から、シンクタンクの依頼を受けて、シリコンバレーやアジアでIT企業の調査を開始。各種システム構築、ニッポン放送のラジオ・ネット連動番組の技術アドバイザー、VCのデューデリジェンスに従事。SI、コンサルティング会社などを設立。Startup Digest(東京版)キュレータ。

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