MIT発のソーシャルロボット「JIBO」がアジア展開に向け1,600万ドルを調達——セガサミーやCAC Holdingsらが参加

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シリコンバレーを拠点とし、アジアのスタートアップに積極的な投資を行っている Fenox Venture Capital は、Jibo という MIT 生まれのソーシャルロボットに対し1,600万米ドルのシリーズA拡張ラウンドをリードしたことを Tech in Asia に明らかにした。日本のビデオゲーム、スロットマシーン、リゾートコングロマリットのセガサミーホールディングス(東証:6460)とITサービスの巨人 CAC Holdings(東証:4725)の2社がこのラウンドに Fenox の LP として参加した。両社はともに Jibo と協力して、販売・マーケティングチャネルを通じ、アジアにおけるロボット事業の促進を図る。

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いわゆる「ファミリーロボット」と呼ばれる技術に投資をするアジアの企業はセガとCACが初めてではない。さかのぼること8月、Acer(台湾)、電通ベンチャーズ(日本)、KDDI(日本)、LG UPlus(韓国)、NetPosa(中国)が、このガジェットの2,500万米ドルのシリーズAラウンドのうち、当初の1,100万米ドルを投資し、Samsung(韓国)も参加していた。Jibo のPR会社によると、今回の2回目の拡張ラウンドにより調達金額の総額は6,000万米ドルとなった。

Jibo は Cynthia Breazeal 氏(写真上、MIT教授でありソーシャルロボットのパイオニア)考案によるもので、Indiegogo のクラウドファンディングキャンペーンで2014年にロボティクス業界に突如現れた。10万米ドルの資金調達目標に対し、370万米ドル以上の金額を集めた。

ロボットは、秘書、デジタルコンパニオン、カメラマンとして使用できる。人工知能を活用して個人の日常習慣や嗜好を学習する。Jibo は音声を使ったアラートやリマインダーでコミュニケーションしてくるので、あなたは1日中スマホを眺めることはなくなるだろう。このロボットには全方位を対象とするマイクが付いていて部屋全体からの音声命令を拾えるほか、高感度カメラにより写真や動画を撮ることもできる。このロボットはカメラを使って対象者の顔を追跡できるので、よりパーソナルで、細部にわたる感情を作り出すように動き回りながら特定の個人をフォローすることもできる。

Pepperより感情豊か

ところが、Jibo で最もクールな機能は最小限度の要素ではありながらも感情を把握し、それを伝えるのが上手であることだ。日本はヒューマノロイド・ロボットを好むことで知られている。その例として、ソフトバンクの感情の入ったロボット「Pepper」がある。Jiboはテーブルの上に座って、丸いディスプレイには1つの「目」しかないものの、私がデモビデオを見て感じたのは、Pepper とのやりとりと比較してより温かくてファジーだったというものだ。この点についての詳細は以下の動画をみてほしい。

Fenox のゼネラル・パートナー兼CEOの Anis Uzzaman 氏は Tech in Asia に対して次のように語った。

(Jiboは)アジアの中で大きくなりたいと思っています。それは現在構築しつつある現地での提携関係に現れています。日本では、この国のロボットになりたいです。セガはユニークなキャラクターやストーリーを作る方法を熟知していますので、Jibo が日本にいるアメリカのロボットではなく、本当に日本のロボットになるための手助けをしてくれるでしょう。

Jibo の役員にもなる Uzzaman 氏は、ロボットが単に(アメリカから)移動されたものではなくアジア市場にローカライズされたものになることを強調している。文化的なニュアンス、行動、姿勢やマナーなどがプログラム化される予定だ。「日本のJiboは名前の後に『さん』を付けます」と彼は続けて述べた。さらに、あいさつする時にはお辞儀をするという。

Jiboの米国での商用リリースは2016年に予定されているが、アジアでのロボット展開がいつになるかは未定である。このスタートアップの本社はマサチューセッツ州ボストンにある。

【via Tech in Asia】 @TechinAsia

【原文】

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