モバイルSDKの投入で、決済UXを進化させるPayPal〜新アプリを公開した「akippa(あきっぱ)」の場合

by Masaru IKEDA Masaru IKEDA on 2015.12.14

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2015年を象徴づけたスタートアップ・トレンドに、シェアリングエコノミー、オンデマンドといった言葉を欠かすことはできないだろう。モバイルが可能にしたこれらのサービスにおいて、競合との優劣を決定づける最大の要素が UI/UX であることは明らかだ。商業サービスである以上、ユーザから料金を徴収する決済行為は必ず必要になるので、決済フローをどれだけスムーズかつスマートに済ませられるかは、サービスをデザインする上で重要な課題となる。

一方、C2C やクラウドソーシングの隆盛に伴って、スタートアップは料金を徴収するだけではなく、報酬を支払うという機能を求められるようになった。価格の安い商品の売買や、すきま時間を利用したマイクロタスクという概念をワークさせるには、小口金額を効率的に授受できる方法が必要になるが、このような局面で頻繁に使われるのは PayPal だ。親会社だった eBay からの分社が完了し、今年7月に晴れて NASDAQ に上場した PayPal はここからどこへ向かうのだろう?

PayPal のスタートアップでの利用動向や今後の行方について、日本市場を担当する PayPal Pte. Ltd. 東京支店のディレクターである曽根崇氏(マーチャントサービス担当)に話を聞くことができた。

PayPal の進化

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PayPal Pte. Ltd. 東京支店ディレクター曽根崇氏(マーチャントサービス担当)

曽根氏によれば、PayPal から見た決済周辺の最近のトレンドは、1. モバイル利用の増加、2. シェアリングエコノミー、3. 越境EC の3つに集約できるという。

モバイルのネイティブアプリからの決済ニーズが増加しており、ネイティブアプリから直接 PayPal 決済が行える PayPal モバイル SDK(アプリ内決済SDK)を、アメリカを中心に2014年から提供している。シェアリングエコノミーや越境EC においても、スマートな決済がもたらす効用は大きい。シェアリングエコノミーの代表格である Uber や Airbnb のアプリには、PayPal が提供する Braintree(日本では未提供)の SDK が組み込まれており、Uber 利用の際に都度認証が不要で、降車時に自動的に決済が完了する UX は、日本でタクシーに乗り慣れている筆者にとっては感動すら覚える。

もともと、P2P用に開発された PayPal でしたが、eBay という C2C マーケットプレイスに買収されたことで C2C に親和性の高い決済ソリューションになり、そして、PayPal が独立したことで、また新たに進化していきます。(曽根氏)

PayPal の目から見ても、例えば、オーストラリアの Freelancer に代表されるようなクラウドソーシング・プラットフォームでは、欧米の企業がマイクロタスクを発注し、それを東南アジアなど新興市場のユーザが受注して仕事をこなす、というフローが顕著になってきているそうだ。

PayPal は、自社プラットフォームを使った203カ国への国際送金に加え、アメリカ国内ではP2Pの送金や支払にVenmo(昨年 PayPal により買収)が利用可能となっており、さらに今年7月には、国境を越えて30カ国以上へ公共料金の請求書支払などができる Xoom の買収を発表している。

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モバイル SDK の導入第1号は、空き駐車場サービスの「akippa」

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右から:akippa 代表取締役の金谷元気氏、執行役員CMO兼事業企画室長 広田康博氏

空き駐車場サービスの「akippa(あきっぱ)」は、同社のアプリ上でのクレジットカード決済に PayPal モバイル SDK を導入したAndroid は本日より対応、iOS は近日対応予定)。キャリア決済を実現にしたり、Google アカウントによるログインを可能にしたり、アプリの UI/UX 改善に日夜勤しんでいるようだ。

駐車場の件数で、大手の時間貸し駐車場を1~2年で追い越す勢いです。akippa では営業マンが自転車で地域を巡り、貸してもらえる駐車場を開拓。最短で3時間でオープンが可能です。

面白いケースでは、例えば、東京ドームの近くのオフィスビルの駐車場が週末には空いているので、akippa のユーザに開放してもらって、東京ドームに来たお客さんに安価で利用してもらっています。(akippa 金谷元気代表)

akippa-credit-card-paymentC 向けのみならず、最近では B 向けのサービスにも着手したとのこと。その一つが大手コンビニエンスストア・チェーンとの取り組みだ。コンビニの各店舗には、商品を届けるトラックが1日平均7回やってくるが、このトラックの駐車スペースの確保が課題になっている。短時間とはいえ路上駐車すると渋滞を引き起こし、付近の住民の迷惑にもなりかねない。akippa ではコンビニ本部と提携し、トラックに akippa の駐車場を使ってもらう実験を始めている。入出庫の都度に料金精算をする必要がなく、決まった料金を支払えば出入りが自由な akippa ならではのソリューションだ。

akippa のモバイルアプリに PayPal モバイル SDK が導入することで、今後、akippa の UX はどのように変わっていくのだろう?

今後のバージョンでは、停めたい駐車場が予約の段階で満車になっている場合、キャンセル待ちができる機能を追加します。空車になったタイミングでプッシュ通知を飛ばし、ここからワンタップ、ツータップとかで決済できるようになれば、ユーザの利便性は高まります。

我々にとって、これまで満車になっている akippa の駐車場では、すでに予約で埋まっている以上にどの程度の潜在需要があるのかを見込めませんでした。キャンセル待ちを受け付けられるようにすることで、潜在需要の見通しが立てられるようになり、どの地域にどの程度の新規駐車場を開拓すべきか、営業戦略にも生かせるわけです。(akippa 執行役員CMO兼事業企画室長 広田康博氏)

人気の高いエリアの駐車場では、空車が出てもすぐに予約が埋まる可能性が高いので、ユーザにとってプッシュ通知を受け取ってからスムーズに予約と決済が済ませられることは重要だ。この新機能を実装した次期バージョンのリリースも楽しみにしたい。

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