2016年は「会話型コマース」の年になる

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<ピックアップ>2016 will be the year of conversational commerce

配車アプリのUberでユーザーエクスペリエンスの設計を担当するChris Messina氏は「2016年は会話型コマース(Conversational Commerce)の年になるだろう」と予言している。

実際、Uberの機能がFacebookメッセンジャーアプリに昨年12月に統合され、メッセンジャー上で直接配車を申請することができるようになった。メッセンジャー上でUberの車をリクエストすると「こんにちはサラ、ドライバーがそちらに向かい始めたらお知らせしますね」「あなたのUberがそちらに向かっています。ドライバーはあと2分で到着します」といったようなメッセージが届き、ユーザーは自然な会話上で配車状況を確認することができる。

Messina氏はMediumの投稿上で、会話型コマースを「チャット、メッセージング、自然言語インターフェイス(ボイスなど)を活用して、人々、ブランド、サービスが双方向にリアルタイムでやりとりをすること」と説明する。また、会話の提供者が人間かボットかどうかについては、大きな関心はないという。なぜなら「時間が経てば、コンピューターによって動いているボットが、ユーザーがボットであると気づかないくらいに人間味のあるものになる」からだ。

さて、そんな会話型コマースへのシフトによって生まれる新たなチャレンジや変化について、Messina氏は次のようなポイントを挙げている。

  • 会話型サービスの検索・流通はいかにすすむか? Slack App Directoryなどのディレクトリー型プラットフォームから見つけるのか、それともFacebook メッセンジャーのように既存サービスのオプションから見つけるのか、それとも友人からのメンションのような形でオーガニックに広がるべきか? どれがベストなのかは答えがでておらず、模索の期間が必要だろう。
  • 「会話型コマンドライン」が普及する? メッセージングアプリ上である文章を打ち込めば返信が得られるような「会話型コマンド」が普及するだろう、と氏は予言する。完結で効率的に相手に依頼内容、質問を伝えられるような「コマンド」だ。そして、その標準化が進むであろうと。
  • アプリ上で使う言語はより一般的なものになる。会話型のやりとりが増すにつれて、「ダウンロード」「インストール」といったテック用語は減り、「追加する」「招待する」などより一般的な会話で使われる用語が増えるだろう。
  • ボットはユーザーのデータを元により賢くなる。ユーザーに関する大量の情報が会話に活用されるようになると、開発者はより面白くパーソナルな「エージェント」や「ボット」を開発することができるようになる。会話の量が増えれば増えるほど、ボットもユーザーについて学習し、機転の効いた返事ができるようになる。
  • 会話型ボットを開発するコストは下がり、競争も増す。また、ボットの開発サイクルも速くなる。「ボットテンプレート」が普及して、それを少しいじるだけでボットがローンチできるようになる。だからこそ、サービスをつくる側は、ボットとユーザーのやりとりに最新の注意を払って、会話に人間味を与えたり、ローカライゼーションをするなどして、差別化を図る必要が出てくる。
  • プラットフォームの勝者は誰になるか? 会話型サービスを使う上でのプラットフォームとして、SlackのAPI や Facebookのメッセンジャープラットフォームは人気だ。WeChatやLINEのようなアジアで人気を博すアプリ、TelegramのボットAPIなども軽視できない。Googleも独自のメッセージングプラットフォームを立ち上げるかもしれない。この領域での勝者はまだ決まっておらず、これからの各プラットフォームの展開次第と言える。

今回紹介したポイントはごく一部なので、興味のある方はぜひMessina氏のMediumの投稿を参照していただきたい。

「会話型コマース」へのシフトが今年どのように進んでいくか。とても興味深いテーマだと思う。

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