モバイルウォレット、P2P決済… 2016年にeコマース業界で起きる5つの変化とは?

Ruth Reader by Ruth Reader on 2016.1.14

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CC BY-ND 2.0 via Flickr by gail

モバイルウォレットから新たな融資プラットフォームへ、購入ボタンからワンタッチ支払へ、2015年はデジタルコマースの世界が革新的な変化を見せ、拡大した1年だった。では、2016年はどうだろう? 新たなテクノロジーと産業トレンドに基づいて、来る年にeコマースに起きると予測される5つの変化についてご紹介したい。

ミレニアル世代にとって、オンライン融資プラットフォームが銀行以上の存在に

2014年は、P2Pレンディングの1年だった。2015年には従来の取引モデルに取って代わり、EarnestAffirm といった融資アプリケーションを備えた新たな融資プラットフォームや、ミレニアル世代をターゲットとするクレジットカードや融資ツールが繁栄を迎えた。こうした金融サービスプロバイダーに課せられた課題は、「どうやって借金に臆病な世代の若者に借り入れをしやすくするか?」だろう。今年初めの調査によると、ミレニアル世代の半分以上がクレジットカードすら持っていないのだ。

Affirm は、若い消費者に一定の期間内に返済を終えることができる少額のローンを勧めている。このアイデアは、消費者に月々の支払額と、返済にどれくらいの期間がかかるかをはっきり伝えれば、より多くのローンを利用してもらえるというものだ。

一般的には、新興の金融機関は消費者の生活全般を支援するためのより有力な銀行になりつつある。Earnest の共同創業者で CEO の Louis Beryl 氏は、今年初め次のように語ってくれた。

人々が希望や夢を実感できるように助けるのが銀行の役目です。人々が学校へ通い、家を買い、車を買い、必要な時にお金を借りられるようにするのです。私たちは、人々の人生全てを支援するプロフェッショナルとして成長していきたいのです。

2016年には、ミレニアル世代の生活により深く関わる金融商品や、車や家の購入をしやすくしてくれるサービスを統合するスタートアップが現れるだろう。

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モバイルウォレットはより使いやすく

今年(編注:本稿が執筆されたのは2015年と考えられる)は Apple や PayPal が実店舗へも独自のeコマーステクノロジーを拡大させ、小売業者がモバイルを新たな支払方法として認めることになった。そしてより小規模なスタートアップが私たちの買い物の方法を変えようとしている。

Apple が Macy’s やマクドナルドなどの大手ブランドとNFC決済の普及を進めている中でも、まだ課題はたくさんある。モバイルウォレット企業は、消費者にクレジットカードで決済する代わりに決済アプリを利用する状況を作り出す必要がある。

3月の Paydiant の買収によって、PayPalは Subway などでは支払手段の1つになりつつある。Paydiantは小売業団体の MCXのCurrentC モバイルウォレットアプリの開発社でもある。このアプリは支払手段としても、ポイントカードとしても利用できるようになっている。

MCX が PayPal を支払手段として提供するかどうかは確かではない。小売業団体は Apple や Visa、それに顧客の銀行口座からの資金の引き落としなどのサードパーティを排除していくことにさらなる関心を寄せているようだ。そのため、2016年は PayPal は CurrentC に含まれなかったとしたら、より多くの小売アプリに支払手段として採用されるだろう。

前の四半期の終わりに、PayPalは VenmoをオンラインでのPayPal取引の支払手段としたことを発表した。Venmo は非常に有望な年代(ミレニアル世代)に広く利用されており、この動きは重要と言える。もし、PayPal が Venmo とともにオンラインや店舗で「Venmo による支払」を認めることができれば、一定規模の有力なモバイル利用者層を捉えることになる可能性もある。Venmo での支払はすでに利用が開始されているが、今は比較的小さな規模にとどまっている。2016年は、より多くの場所で Venmo を目にすることになるだろう。

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最近上場した Squareについても紹介したい。同社はこれまでに、Squareを使った支払を促すいくつかの試みに失敗しているものの、広く普及している小規模小売店向けツールの開発も行ってきた。店内購入ポイントの端末から、レストラン用のデリバリープラットフォームなどだ。最近ではユーザが小売店の支払に使えるピアツーピア決済アプリケーションのSquare Cashを公開した。2016年にはSquareは消費者向け製品と小売業者向けサービスを超えて、最終的には消費者が求めるモバイルウォレット事業に集中するだろう。

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モノに対する支払方法だけでなく、スタートアップの中にはオンラインとオフラインショッピングのギャップを埋めようとしているものもある。Oak Labs は、タッチスクリーンのフィッティングルームミラーを発表した。これは現実のショッピングにオンラインの感覚をもたらしている。スタートアップや、その他の企業もこの流れに乗ることが予想される。こうした流れはデジタルと直接取引の境界線をさらに狭めてくれることだろう。

どこでも自動でショッピング

今年の初めに発表された当初、Amazon のダッシュボタンは冗談かと思われた。しかし、家庭にショッピングインターフェイスを導入しようという試みを行っているのは Amazon だけではないのが事実だ。買い替えが必要なとき、ダッシュボタンは家のどこにでも置けるクリック用のボタンだ。ボタンをタップすると家庭で頻繁に消費する製品を自動的にオーダーしてくれる。MasterCard もまた、あらゆるものに支払機能を組み込むことを考えている。キーフォブからジュエリーにというわけだ。

2016年には、オーダーボタンやその他の買い物機能を備えた実際の家庭製品(コンロ、電子レンジ、冷蔵庫)が現れるだろう。

P2P 決済業界で競争が激化

長きにわたって P2P 決済アプリケーションの王者であった Venmo が、より従来の形のeペイメントモデル(上記)へと事業を拡大しつつある中、Apple は P2P 決済における Venmo の勢力に対抗しようとしている。報道によれば、Apple は銀行と議論を重ね、Venmo に対抗する手段を生み出そうとこのマーケットへの参画を目論む Google、Square、そして Facebook などと連携を図っているという。

一般にはモバイルウォレットは、1つの金融アプリに全てのユーザのニーズを盛り込み、あらゆる場面で使える支払ツールになろうとしている。2016年には、モバイルウォレットに関わる仕事をしている誰もが全てを取り込むサービスへの拡大を目指すことになるだろう。

Facebook が WeChat(微信)の欧米版に

Facebook が、Messenger プラットフォームの開発を進めるに従って、より多くのショッピング機能も盛り込まれるだろう。最近、同社はUberと共同でアプリ内配車機能をローンチした。すでに Messenger は、顧客と特定の企業とを様々な顧客サービスプラットフォームで結んでいる。これにより、誰もが商品の購入や出荷、返品などについて小売業者とやりとりができるようになった。プログラムの開発が成功すれば、AIを利用したパーソナルアシスタント「Facebook M」としてメッセンジャーに導入され、同社のeコマースへの野望を次の段階へ引き上げることになるだろう。

PayPal との関係を通じて、Facebook は Messengerプラットフォームにより多くのオンデマンドサービスを盛り込む十分な機会を得ている。もちろん、同社は他のeコマース企業とも関係を維持している。今年の初め、Facebook は Shopify と共同で Facebook ページにショップセクションを追加し、より直接的に消費者へ働きかけることが可能になった。2016年には、Shopify はより多くの販売機会を Facebook と Messenger の両方に導入させる予定だ。

これら全ての要素は、デジタル金融製品が成熟へ向かい、より積極的に社会制度へ変わりつつあることを示している。実店舗でのオフラインのショッピングの総量は今後も存在し続けるだろうし、Apple、PayPal、Google のような企業は、顧客に彼らのデジタルウォレットの利用を促すためのポイントサービスなどをさらに提供していくだろう。

これら5つの予測は、eコマースの世界にまだ確信の可能性があることを示唆している。2016年はいかに消費者や小売事業者がこれらの新しいサービスを上手に享受するかが示されるだろう。

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【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

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Ruth Reader

Ruth Reader

ニューヨークを拠点に、プライバシー、サイバーセキュリティ、匿名アプリ、ポリシー関連の記事を執筆。デジタル決済の最新事情についても、情報を募集中。ライター時々プロデューサー、Voice of America、the Takeaway、Motherboard.vice、Refinery29 などにも寄稿。

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