Makuakeの支援額は開始わずかで目標の2倍ーー絵画を眺めながら仕事ができる美術館「ART HOUSE」

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「オフィス」と聞いて、皆さんはどんな空間を想像しますか?残念ながら、大多数の人にとって、それは無機質で窮屈な空間ではないでしょうか。企画を考えようとデスクに向かっても次々に話しかけられてしまって集中できなかったり、そもそも理路整然とデスクが並ぶ空間ではインスピレーションが湧きにくかったり。

そんな働く人が抱える課題に対して、「リラックスしながら集中できる空間」を提供するプロジェクトがMakuakeに登場しました。働く空間の常識をひっくり返すことに挑戦する、働ける美術館「ART HOUSE」です。1月15日(金)に開始したプロジェクトには、すでに100人を超えるサポーターが募り、当初の目標金額である50万円の2倍に当たる100万円近くを集めています。

ART HOUSEは、都内の遊休スペースの内装を美術館にリフォームし、そこに絵画を掲げ、ビジネスパーソンがアートに囲まれながら創造的な仕事に取り組めるための空間です。西新宿にオープンするART HOUSE 第1号のコンセプトは「和の美術館」。掲げる絵画は事前にWebで予約することができ、チームでの会議などに貸し切ることも可能です。

幼少期、働く母親の姿を見ながら感じた違和感

働ける美術館「ART HOUSE 」の実行者である岩本美咲さん
働ける美術館「ART HOUSE」の実行者である岩本美咲さん

プロジェクトを実行するのは、若者の起業支援を行うインキュベーションファーム「GOB Incubation Partners」に所属する東京大学4年生の岩本美咲さん。現在は、大学を休学してプロジェクトの立ち上げに取り組んでいます。GOB-IPは、就職でも起業でもない「半起業」という第3の選択肢を提供しています。社内起業として事業を育てた後、一定の持続性が確認できた上で独立できる仕組みです。

オフィスにこもって研究開発をする母親が、毎日疲れ切って遅くに帰宅する姿を見て育った岩本さんは、早くから日本の職場環境に対して違和感を感じるように。大学生になってインターンシップに参加し、自らも「オフィスという空間がそこで働く人のことを考えて創られた空間ではない」こと実感しました。その後、起業家や営業職など幅広い職種のビジネスパーソン300人以上をインタビューし、多くの人が同様の課題を抱えていることを再確認しました。

2015年夏には、ヨーロッパや日本国内の100箇所以上の美術館やワークスペースを視察。そこには、こうした職場とは懸け離れた、アートが日常に溶け込んだ光景がありました。

特に美術館は、日本のような大勢が混雑の中で駆け抜けるように鑑賞しなければならないものではなく、美術館の中でパソコンを開いてワークする人、読書をする人など、人々が思い思いに知的ワークを行っていました。その姿がインスピレーションとなり、「知的ワークをする場としての美術館」の発想に至りました。

例えば、デスクを不規則に並べてみる

創造することに静かに浸れるART HOUSEが誰の身近にもあるようになることが理想的ですが、それはまだ少し先のこと。すぐにでも実践できる、オフィスを「創造しやすい」空間に変えるためのアドバイスを岩本さんに伺いました。彼女によると、知的ワーカーにとって大切な要素が3つあると言います。

  1. 心を落ち着かせること(リラックス)
  2. 思考に刺激を得ること(知的刺激)
  3. 休憩をとって力を回復させること

「マイスペース」を心が落ち着く場所にするために、自分で好きにアレンジしてみること。例えば、好きなモノをデスクに並べたり、自分にとって居心地のいい椅子に変えてみたり。知的刺激に関しては、整然と並べられたデスク配置をやめ、不規則に並べるだけで効果があると言います。整然と配置したデスクでは、移動ルートが固定化され、結果として話す相手も固定化されてしまう。デスクを不規則に並べるだけで、新しい発見や発想が生まれるはず。

「仕事場と休憩所とオンオフを切り替える形ではなく、両方をワークスペースでできるようにすることで「回復しながら仕事をする」ことが理想的です。ほんの些細なことでいいんです。例えば、静まり返った空間をやめて音楽をかけてみる、鋭利なものを想起させる角のある物体を排除するなど、人に緊張感を与えて疲労を招くものを排除していってみてください」

5年以内に都内に100箇所の「ART HOUSE」を

2016年4月にオープンを予定する西新宿の1号店。Makuakeで集まった資金は、この美術館を作りあげるための改装や設備購入などの初期費用の一部に使われます。約70日間を残すART HOUSEのプロジェクトは、2時間利用チケット1枚がついてくる税込3,000円のコースから支援することができます。

今後は、一人でも多くの人に知的ワークにじっくり取り組める空間を提供していきたいと話す岩本さん。当面の目標は、ART HOUSEの数を増やすこと。5年以内に都内100箇所、全国200箇所のアートハウスの展開を目指していきます。

Makuakeのプロジェクトページは、岩本さんのお母さんへの想いで始まっています。

突然ですが、私の母親はあと1年で働く人生を終えます。私は、そんな母親にあと1年以内に絶対にプレゼントしたいものがあります。

彼女のあたたかい気持ちと同じくらいに、ART HOUSEもまたあたたかい空間になっていくのではないでしょうか。働ける美術館の紹介動画も併せてご覧ください。

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