批評と批判は違うーーFacebookのプロダクトデザイナーとして学んだ「デザイン批評」で大事な4つのこと【寄稿】

ゲストライター by ゲストライター on 2016.1.27

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Facebookでプロダクトデザイナーを務めるTanner Christensenさん。著書に、「The Creativity Challenge」があります。Tannerさんの活動は、ご本人のWebサイト、またTwitter(@tannerc)でフォローできます。本記事は、Mediumに投稿された記事をTannerさんから許可を得て翻訳したものです。元の英語記事もどうぞ。


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「批評」はいかなるデザインプロセスにおいても重要で、欠かせないものだ。これは、君が多様なチームで働いても個人でも変わらない。正式な批評の場で得たフィードバックは、自分の枠からはみ出し、より良い意思決定や課題を乗り越えること、また自分の技能を磨く手助けをしてくれる。

とはいえ、Facebookに入社したばかりの頃は、毎週2時間設けられた批評のためのミーティングが時間の無駄になるのではないかと内心恐れていた。成果を出すための時間が削られているだけなのではないかと。以前の職場では、批評が2つのネガティブなパターンに陥ることが多かったからだ。

  • 酷評されることが怖くて自分がやっていることを共有しづらくなる
  • なぜ批評するかの目的が明確に理解されておらず、議論やとめどなく意見をぶちまけるだけで終わる

Facebookに入社してから体験した批評は、過去のそれとはちょっと違うものだった。批評のあるべき姿を基にミーティングが設計され、アジェンダ通りに進めることや評価することは二の次だった。

メソッドの多くは、Jared M. Spoolの「Moving from Critical Review to Critique」の中から採用したものだ。Spoolが説く批評のあるべき姿には多大な影響を受けた。どうすれば批評に価値が生まれるのか、特にFacebookでそれをどう効果的に活用するのか。結果的に、毎週数時間の批評セッションを設けることが、参加者全員にとって役に立つものだと考えるようになった。

Facebookの僕らのチームでは、批評セッションをこんな具合に進めている。

1.役割を明確にする

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批評のセッションでは、そこにいる全員に役割が与えられる。僕たちが頼りにする役割には、プレゼンター、オーディエンス、そしてファシリテーターの3つがある。

プレゼンターは、自分の成果を共有する人のこと。彼らの役割は:
・解決しようとする課題(または模索しているアイディアを)を簡潔に説明すること
・導き出したデザインやコンテンツソリューションを発表すること

プレゼンターの仕事は、スライドショーにまとまったアイディアを発表することでもなければ、自分の成果をチームに知らしめることでもない。プレゼンターには、前日までに批評ファシリテーター(この役割についてはこの後で)と15分〜30分の時間が与えられる。

オーディエンスとは、その特定の時間内に何も発表をしない人のことを指す。彼らの役割は:
・課題定義と、そのコンテキストを理解すること
・たくさん質問を投げかけること

オーディエンスにとっての最大の道具は、「質問」だ。関連しそうなアイディアを提示したり、意思決定を後押ししたりするために役立つ問いを投げかけること。

すでに議題に上がっている質問への正しい答えを見い出すことより、適切な質問を引き出すことのほうが批評を圧倒的に効果的なものにしてくれる。例えば、課題に立ち返って問い直すことで、プレゼンター(とチーム)は優先順位をつけることができる。また細かい質問は、チームのビジュアルランゲージを整え、チーム全体にとってより革新的なデザインの意思決定を推進してくれるものになるはずだ。

ファシリテーターの役割は:

  • 発表する人の時間割を決めること(誰がいつ、何を発表するのか)
  • アジェンダ通りに進行するように管理すること
  • 発表する人にフィードバックするためのメモをとること
  • プレゼンターに対して、「その仕事を先に進めるための鍵を握る次のステップは?」と問いかけ、その回答をメモすること

ファシリテーターの一番大事な役割は、各プレゼンテーションの最中に、各メンバーがその与えられた役割に徹するよう気をつけることだ。オーディエンスは主に質問するために参加し、プレゼンターはソリューションを発表しながら、自分が抱える課題をわかりやすく説明することにチャレンジする。

僕らのチームでは、毎週の批評ミーティングのファシリテーターをあらかじめ決めている。もし、ファシリテーターの役割に適当な人材(プロダクトマネージャーやプログラムマネージャーのような)がいないなら、参加者の中からその役割を担うメンバーを決めればいい。もちろん、毎週のミーティングでその役割を担当するメンバーを自由に変えるのもありだ。

2.特定の課題について全員が理解し、賛同する

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批評セッションを行う際、その時取り組んでいる仕事や成果について話を始める前にやるべきことがある。解決したい課題について、繰り返し言及することだ。これは、とても役に立つ。

なぜそれが問題で、そもそもなぜその解決に取り組むべきなのか。そこにある課題とコンテキストを言葉にして表現することで、生産性の高いフィードバックが集まる基盤が出来上がる。課題定義は、例えばこのようなシンプルなものでいい:

  • 私は [初期・中期・後期]の仕事と成果について説明します
  • ◯の課題周辺について説明します
  • ◯◯が問題だと考えます
  • [この特定の部分について]フィードバックを求めています

批評セッションの最中、プレゼンターはフィードバックを求める特定の要素を説明するだけでなく、フィードバックを求めない部分についてもはっきり伝えるべきだ。例えば、「まだプロジェクトの細かいデザイン要素を詰める段階ではありませんが、アニメーションを使った包括的な体験のつくり方についてフィードバックが欲しいです」

こうして課題が定義されたら、それを参加者全員がきちんと理解していることを確かめる。プレゼンターまたはファシリテーターは、参加しているメンバーに対して直接聞いてみるといい:

「皆さんは、これがもっともな課題だと思いますか?課題定義が不明瞭だったり、何か見逃していることはありませんか?この課題を解決すべきという点について、皆さんは賛成ですか?」

全員が課題定義の内容に同意したら、初めてデザインソリューションを共有し、模索するステージに進むことができる。

3.批判ではなくフィードバックにフォーカスする

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役に立つフィードバックと役に立たない批評の違いについて把握しておくことが重要だ。

批評に価値をもたらしてくれるJared Spoolの提言に加えて、僕らのデザインチームでは、教師で著者でもあるJudy Reevesの本から多くのインサイトを得ることができた。その内容は、「Writing Alone, Writing Together; A Guide for Writers and Writing Groups」で読むことができる。チームメンバーでデザイナーのGreg Lindleyは、この本の要点をこんな風に言い換えて説明している。

「頭の中にあるフィードバックを質問の形に置き換えてみる。それだけで、デザイナーは批評に対して守りに入ることなく、なぜそうしたかの理由を説明できる。指摘された切り口をまだ検討したことがないなら、次のイテレーションの際にそれを反映すればいい

フィードバックを質問の形式にすることに加えて、参加者には発言する際にデザインやソリューションについて何かポジティブな内容を含むことを推奨している。こうすることで、多様なフィードバックを出しやすい空気が生まれる。「この部分のデザインへの落とし込みがすごく良いと思った。こっちは、どうスケールする予定なの?」といった具合に。

フィードバックが役立つもので、それが「批評」で「批判」にならないために、Reevesは2つの違いを明確にする指針を与えてくれている。

批判は絶対的な判断をくだすものー批評は質問を投げかけるもの

批判は欠点を見つけるものー批評はチャンスや機会を見つけ出すもの

批判は個人的なものー批評は客観的なもの

批判はあいまいなものー批評は具体的なもの

批判は壊すものー批評は積み上げるもの

批判は自己中心的なものー批評は利他的なもの

批判は対立するものー批評は協力的なもの

批判はデザイナーを軽視するものー批評はデザインを改良するもの

批評の目的がソリューションを進化させ、チームに勇気を与えることならば、フィードバックは主に提案または手引きする質問として行われるべきだ。改善を積み上げていくという心持ちで、決してプレゼンターを批判するのではなく、共に取り組むマインドセットで臨むことが望まれる。

批評は、エゴや参加者のたくらみをあおるものであってはいけない。

Facebookで行う批評セッションについて、あと一つだけルールがある。

4.PCやスマホは閉じて参加する

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批評の場を設ける目的は、課題を見つけ出し、アイディアを育み、チームを成長させることにある。耳を傾け、質問していくことでこれを実施していく。スマホを常にチェックしたりPCを開いて作業(またはFacebookをチェックする)したりしていてそれが達成できるはずがない。

このルールには、2つの例外がある。批評セッションの議事録をとるファシリテーターとプレゼンターは、PCを開いていてもいい(当然だろう、PCなしにどうやって成果を共有する?)。

それ以外の参加者は、スマホをしまい、PCも閉じた状態で臨むべきだ。

・・・

「批判は絶対的な判断をくだすもの、批評は質問を投げかけるもの」

この辺りでまとめてみよう。普段、君や君のチームが行っている批評セッションについて、以下の7つのことを確認してみるといい。この質問への答えが批評セッションの存在価値を高め、より効果的にするためのポイントを特定することに役立つだろう:

  1. 共有される成果についてアジェンダは用意されているか?
  2. 各セッションに明確に定義された役割があるか?
  3. ファシリテーターは、セッション中を脱線させることなくフォーカスできているか
  4. プレゼンターは抱えている課題の規模や範囲について正確に共有できているか?
  5. 参加者は、プレゼンターに対して質問ができるくらいに課題のフレームワークを理解できているか?
  6. フィードバックは質問の形式だったか、それとも批判だったか?
  7. デザインや課題の骨子、個別のプロセスを改善することに共に取り組むための批評セッションだと感じられたか?

批評というものはチーム全員の協力を要するもので、決してワンマンショーではない。批評が本当の価値を発揮するのは、僕たちが理解し合い、チャンスを見定め、探求し、お互いを高め合うときだ。

Jason CashdollarJasmine FriedlJonathon ColmanAndy Welfle,、Julius Tarngに感謝する。

(翻訳:三橋ゆか里)

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