翻訳デバイス「ili」のPR動画は「セクハラ」か?ーー海外から批判相次ぐ

Yuki Sato by Yuki Sato on 2016.1.14

翻訳デバイス ili のPR動画

翻訳デバイス ili のPR動画。「ili を使って初対面の女性にキスを挑みます」と意気込むレポーター
Image:動画スクリーンショット

先日、本サイトでも紹介したウエアラブルスタートアップのLogBarが開発した翻訳デバイス「ili(イリー)」のPR動画の内容に批判が相次いでいる。

問題の動画は「Kisses in Tokyo」と題されたもので、ili を持った若い白人男性が東京の街に繰り出して、iliを使って初対面の日本人女性にキスを迫るというあらすじだ。YouTubeのコメント上では、動画上のiliの翻訳性能を褒める声も一部ある一方で、その動画の内容に対する批判が多く集まっている。

さらには、社会変革活動支援のソーシャルプラットフォーム Change.org では、「Remove and apologize for your racist and sexist “ili” promotional video.(レイシストで性差別的な「ili」のPR動画を削除し、謝罪せよ)」という署名キャンペーンも立ち上がっており、14日現在で目標の署名数500に対して400以上の署名が集まっている。

改めて、その動画の内容を簡単に紹介しておきたい。最初に「翻訳デバイス iliを使って、初対面の女性にキスを挑みます」という若い白人男性のレポーターが登場し、東京の街に繰り出して、ランダムに日本人女性に声をかけていく。

「突然だけど、キスしてもいい?」「イギリスでは普通のことだよ」などといった言葉を英語でかけると、ili が翻訳して流暢な日本語で相手の日本人に伝えてくれる。

驚きとともに笑ったり、iliに興味を示したり、逃げたり、明らかに不快感を示して立ち去ったりと、相手の女性の反応は様々だが、最後の画面でレポーターは声をかけた女性とのキスを成功させる。そんな内容だ。

上:レポーターに声をかけられたあと、女性が立ち去っていく

上:レポーターに声をかけられたあと、女性が立ち去っていく
Image:動画スクリーンショット

この動画に対して、「だから日本は外国人は失礼だと思うんだ。とはいえ、これは信じがたい」「テクノロジーはスマートになっているのに、広告はかつてないほど馬鹿な内容だ」「気持ち悪い。傲慢な外国人によるセクハラだ」などというネガティブなコメントがYouTube上には寄せられている。

Change.org のキャンペーンでは「この動画は日本人女性に対する人種差別的なステレオタイプを助長するものだ。このような将来性のあるプロダクトが、こんな間違いを犯すのは残念なことだ」とコメントされている。

この動画のことを私が知ったのは、日本のスタートアップ業界で働く欧州人男性の友人が教えてくれたのがきっかけだった。「日本でこの動画の問題点がちゃんと議論されないのは不思議だ」と彼は首をかしげていた。それから初めて動画を見てみたが、個人的には不快に感じた。「一回だけのキスでいいから!」と言いながら、逃げる女性を追いかけるレポーターに対して、どうやって共感を抱くことができるだろう。

なお、PR動画の最後の画面にはこうした批判を受けて、「追記:視聴者のフィードバックを受けて、登場する女性はすべて俳優であって、行動を強制されているわけではない点をはっきりお伝えしたいと思います」という記載が追加された。では、それが「演技」であればOKなのだろうか?

グローバルにローンチしている ili だからこそ、そのPR動画も世界的な倫理基準にさらされる。ここまで海外からの批判が続出している現状に対して、対応はないのだろうか。

ili を開発した Logbar に本件についてコメントを求めたが、今のところ回答は得られていない。

“summercamp"/

Yuki Sato

Yuki Sato

ベルリンを拠点に活動中のテックライター&翻訳者。欧州のスタートアップの状況を日々探索中。Twitter: @yuki_sat , Blog: serialforeigner.com

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