チャレンジしたいと思って辞めたからーーiSGインベストメントワークスに元CAVの佐藤真希子氏が参加へ

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写真中央が新たに参加することになった佐藤真希子氏

2015年末、日本に新たな起業家支援が生まれたことをお伝えしたが、ここにまた新たな力が加わる。

五嶋一人氏と菅原敬氏が牽引する投資事業会社「iSGインベストメントワークス」は1月19日、元サイバーエージェント・ベンチャーズの佐藤真希子氏を迎え入れたことを発表する。佐藤氏は2月1日付で取締役に選任予定で、同社のマネージング・ディレクターとして資事業の舵取りの一角を担うことになる。また、同社はこれに合わせ、称号を「iSG」インベストメントワークスから「iSGS」インベストメントワークス(以下、iSGS)に変更することも公表する。

佐藤氏はサイバーエージェント新卒第1期生として営業部門に入社、同営業部門初の女性マネージャーとして採用、営業、組織作りに携わった人物。その後、サイバーエージェントグループの投資部門「サイバーエージェント・インベストメント(現サイバーエージェント・ベンチャーズ、以下CAV)」に移籍。2013年にマザーズ上場を果たしたフォトクリエイトを始め、トークノートやビザスク、Libなど、10年に渡り数多くのスタートアップを支援してきた。

同社では佐藤氏を取締役マネージング・ディレクターとして招聘し、新たなディールソースの発掘や佐藤氏の培った経験を元にした経営支援策を投資先企業に対して提供することになる。

佐藤真希子、親しみを込めて投資業界のみんなから「さとまき」と呼ばれる彼女の話を聞いたのは昨年の末頃のことだった。古巣であり、立ち上げに尽力したCAVを卒業し、新しくファンドを立ち上げる、つまり独立するという。

今、日本にはスタートアップの支援者が多く増えている。今回彼女が参加した(というよりほぼ創業メンバーだ)iSGインベストメントワークスもその一つで、チームを牽引する五嶋氏の際立った個性と、アイスタイル・グループという「実業」の組み合わせが日本のスタートアップ・シーンにまた一つ新しい選択肢を提供してくれている。詳しい内容についてはこちらの記事を参照してほしい。

<参考記事>

事業戦略家の五嶋一人氏がアイスタイルグループ入り、「スタートアップ再生人」として投資事業を牽引へ

記事にも書いている通り、五嶋氏は大変理路整然とした思考を持っていて、彼がアドバイスとして口にする「可視化と言語化」のプロセスは、起業家ならずとも常に心得たい考え方だと思う。

そんなある意味ストイックな投資グループにあの「さとまき」が参加する。

CAV時代の佐藤氏が支援したトークノートの初期成長

私が彼女を記憶しているのはやはり同じく創業期から追いかけさせてもらっているトークノートの支援だ。2010年に最初の試作品を同社代表取締役の小池温男氏に見せてもらった時、全くその良さが分からず、しばらく放置してしまっていた。

そんな彼らに最初の支援に入ったのがサイバーエージェント・ベンチャーズ、佐藤氏だった。その後もトークノートがぐいぐいと成長していく傍らで佐藤氏は経営や営業、組織作りのアドバイスを重ねていったと聞いている。

三橋ゆか里の取材に答えるさとまき

そんな彼女のことを慕う人も多い。私たちTHE BRIDGEのエディタ、三橋ゆかりも同じく働く女性としてこんな風に書いている。女性・男性を区別するのは嫌だが、女性らしい二人の視点は読んでいて勉強になることが多い。(とにかくこの現場は男臭すぎるのだ)

<参考記事>

キャピタリストはあくまで応援団。CAVのおかん的?ベンチャーキャピタリスト 佐藤真希子さんにインタビュー

今後、佐藤氏はiSGSでこれまでやってきた起業支援を続けるそうだ。

「独立するっていってファンドも資金が集まりそうになってたんです。でもふと思って。あれ?私、ファンドやりたかったんだったっけ?って。CAVでの時間、私は起業家のパートナーでありたかった。でもファンドは管理業務が必要になる。そんな当たり前のことなんですが、自分で実際にやってみてわかったことは多いんです」(佐藤氏)。

独立して理解できたことがあったとして、CAVに戻ろうとは思わなかったの?という質問に対して彼女が言った言葉が印象的だった。

「チャレンジしたいと思って辞めたから」(佐藤氏)。

私たち書く側もそうだが、スタートアップの現場というのはとにかくチャレンジだらけだ。試練といってもいい。彼女は自らそれを選択して飛び出た結果、新しい船と船頭に出会うことになった。この経験はこれまで彼女がやってきた支援事業に更なる深みを与えることになるかもしれない。

iSGはアイスタイル、菅原、五嶋の頭文字をとって立ち上がった。ここにさとまきのSが加わってiSGSになる。

投資、スタートアップの世界は全てが結果で語られる世界だ。

このチームが日本の起業シーンにどのようなインパクトを与えてくれるのか、引き続き追いかけたいと思う。

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