消えつつあるCFO、これから求められるCOO

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Todd Ford 氏はCoupa SoftwareのCFOである。

 via Flickr by “A Health Blog“. Licensed under CC BY-SA 2.0.
via Flickr by “GotCredit“. Licensed under CC BY-SA 2.0.

昨秋、2つのCFOイベントに参加した。シリコンバレーで急成長を見せる企業のパネルディスカッションとFortune500にランクインしている企業のCFOがダラスに集まる朝食会だ。両イベントには各々異なるテーマがあったが、交わされた会話は結局のところ同じものだ。つまり、テクノロジーとビッグデータが急激に進歩していることによるCFOの役割の変化だ。

実際、あまりにも会話内容が重複しているので2つ目のイベントの途中で頭が混乱してしまった。その時ピンときたのは、CFOを必要としている企業はもうほとんどいない、ということだ。突飛な考えかもしれないが、聞いてほしい。

私が学校を卒業したばかりの頃、CFOの主な役割は企業に不正会計がないことや財務に誤りがないなど、内部管理を徹底させることだった。そのうち唯一将来につながるような仕事が、予算を組み、それを超過させないようにすることだった。

これは今CFOが最低限すべきこととみなされている。現在のCFOに求められているのは、テクノロジーやデータを使ってビジネスを成長させること、経営陣がより賢明な判断を下すために必要な良い情報を提供すること、どこにより資本を投資して、どこの出費を抑えるべきかを判断する手助けをすることだ。今の自分の仕事を見てみると、最も時間を割いているのが上記の事柄を主要3分野で行うことである。

3つのオペレーションーー答えるべき多数の問い

まず1つ目は「見積もりから入金まで」で、これは企業が潜在顧客を生み、売上をあげるために行うすべてを網羅している。自動化されたシステムは、プロセスにおいて潜在顧客を生むための費用や売上につながる潜在顧客生成プログラムなどあらゆるメトリックを示してくれる。

私はデータを研究し以下のような質問に答えるよう求められている。営業担当者の数は足りているか? メキシコにオフィスは必要か? Salesforce.comのパイプラインはどうなっている? 将来の売上に転換するにはどのようにしたらよいか?

次にあるのが新商品導入プロセスだ。その分野の営業担当者が製品や改良への要望を携えて生産管理の場に戻ってくる。生産管理部門はそれを制作部門に引き継ぎ、作業が行われる。

そしてそこでプロダクトマーケティングと連携して商品を作り、それを営業担当者が市場に持ち込むのだ。このプロセスもデータによって動いている。当該商品を必要とする顧客はどのくらいいるのか? 将来的に最大の売上につながるのはどれか?

3つ目は、ポストセールス・サポートと呼べるもので、基本的にはカスタマーサポートや専門的サービスを意味する。そこであがってくる質問は以下のものだ。

私たちは必要とされるサポートを行うレベルに達しているのか? 人員は十分か? グループ運用の効率性は? 顧客満足度は? 平均的なチケットの数は? どの時点で失敗してしまったのか? これはメトリックに基づくもので、このプロセスでの情報がまた次の商品導入過程の糧となる。

COOの仮の姿

それらすべてを行うには、財務会計について話す必要があるのは明白だが、経営にも深く関わる必要がある。実際今日のCFOはむしろCOOが変装した姿だ。Norwest Venture PartnersのパートナーSergio Monsalve氏は、昨年VentureBeatに以下のように書いている。「この10年でCFOが企業において負う責任は増大しており、その影響力は従来の複雑な計算を行うという役目を大きく超えている。」

それはまさに私が経験してきていることだ。決算を行い、記録や報告をするより、私はこういった日々起きるリアルタイムの情報に関わり、それがすべて金銭や投資に結びついている。

CFOが今日行える最重要事項は、つながったビジネスプロセスを観察してそのメトリックを理解し、すべてのビジネスオーナーに正しいデータを届け、パートナーとして株主の利益を長きにわたって生み続けるために最善の判断を下すことである。

CFOにとって最も難しいのはこの将来的な部分だ。前述した3つのオペレーションやそれによって作られたデータを理解し、未来を予見して形作るために利用しなければならない。これが増えつつある役割であり、またCOOが行っていることとかなり重複しているので、どちらか片方いればよいようにも思える。

新たな組織図

ではCFOがいない組織図はどのようなものになるのか? 記録管理や報告は未だ不可欠で経理担当管理者や財務統括役員(CAO)が行えるだろう。オペレーション、アプリケーションのVPやチーフデータオフィサーがいるかもしれない。

この人たちの仕事は全てのシステムをまとめ、データフローを管理することである。こういったことは従来COOがしてきたことだが、その役割を埋めるには同様の財務担当を置くべきだ。

私は多くのCFOがCOOの肩書きを兼任しているのをたくさん目にしており、それには納得している。しかしCOOの肩書きは進化している役割を最も正確に反映するもので、この人こそがすべてをまとめているのだと皆に示すものである。CFOの肩書きは「財務の人」であるし、長い間そういう存在だった。しかし、今は違う。

私たちの役割はより複雑で戦略的になっており、かつての姿から急速に離れている。肩書きや組織図にそれが反映されるのは時間の問題だ。将来COOやCAOのみが残り、CFOというのは過去の言葉になってしまっているかもしれない。

【via VentureBeat】 @VentureBeat
【原文】

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