新たなベンチャーキャピタルを設立して得た12の教訓

VentureBeat ゲストライター by VentureBeat ゲストライター on 2016.2.12

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Bernard Moon 氏は、世界的シードステージファンドの SparkLabs Global Ventures の共同設立者兼ゼネラルパートナーであり、同時に韓国ソウルのスタートアップアクセラレータ SparkLabsの共同設立者である。彼の Twitter をフォローしよう。

上:SparkLabs のチームの週次ビデオ会議

上:SparkLabs のチームの週次ビデオ会議

SparkLabs Global Ventures2年前にローンチした時に、新たなシードステージファンドとして多くの不確定要素やリスクに直面した。私たちチーム6人の間でどのような良い化学反応が起こったか。起業家らは当社のビジョンやチームをどう思ったか。そして、投資家はグローバルなシードステージファンドとしての意見にどのように応えてくれたのか、などについて話したい。

設立から2年が経ち、私たちは5大陸にわたる54社に投資し、創造力豊かで優秀な多くの起業家を支援した。また、投資した起業家や業界に精通した人々の両方から多くのことを学んだ。最近、チーム(HanJoo Lee 氏、Frank Meehan 氏、Net Jacobsson 氏、Jimmy Kim 氏、Jay McCarthy 氏と私)で話し合い、これまで学んだことすべてをリスト化し、その中から情報を整理して必ず気に留めておきたい12個の教訓をまとめたのでご紹介したい。

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1. チームで決断すると上手くいく

決断プロセス(投資するには6人全員の賛成が必要)の成功率を個人一人による決断の成功率と比較し、測るのは難しいが、私たちの取ったプロセスは最良の決断を導いていると確信している。これまで多くのサバイバルシミュレーションイベントを行ってきた。イベントでは、厳しく、生命が危険にさらされるような環境下(例えば、デスバレーや南極のような環境)で、グループと個人の決断の善し悪しを評価した。個人による決断がグループによるそれよりも良かったのを見たことがない。

チームには傍観者的な人がいたり、チームの連帯が薄かったりすることもあるが、チームによる決断の方が良い結果をもたらし、個人一人でいるよりもグループでいる方が生き残る可能性が高くなった。このアプローチは、スタートアップへ投資する場合にも当てはまると強く思っており、5人の仲間がいたからより私は賢明な決断ができたと自信を持って言える。

2. 突出した起業家は世界の様々な場所にいる

まずはじめに私たちは、画期的なイノベーションや革新者はシリコンバレーだけでなくあらゆる所にいるという考えからスタートした。過去2年の経験から、この考えが正しいことがわかった。世界のあらゆる場所から傑出した企業が生まれているのを目の当たりにした。

3. 真の粘り強さを持っていることが重要

粘り強さや根性といったものは、スタートアップが成功する上で不可欠だといっても過言ではないだろう。成功する起業家はただ頑固になってしまうのではなく、精力的に動く姿勢を貫くする術、また方向転換する時や事業をたたむ時がいつなのかも心得ている。

4. スピードが重要

シードステージにあるスタートアップが生き残れるかの良い指標となるものに、スピードがある。資金調達ラウンドをどれほど速く確保できるか。適切な人材を見つけ、雇うことができるか。いかに速く適切な VP にかけ合い、製品をピッチできるかといった点だ。

5. 誠実さも重要

誠実であるべきだから誠実であるといのではダメだ。誠実さは、必ずはじめから備えているべきものだ。投資家、会社の取引先、従業員、自分自身に嘘をつかないことだ。

6. 資金と時間が大事

そう、資金と時間だ。スタートアップの存続には、当然ながら、資金と猶予時間、次のラウンドで資金調達するまでの時間が必要だ。他の要素は全て代わりが効く。賢明な設立者は別にして、私たちは過去2年の間に、一般的に企業が犯す間違い、例えばある価値水準にとどまり、資金調達ラウンドが遅れたり、調達できなかったり、結果的に道を狭めてしまい、生命線が断たれそうになる企業を多く見てきた。

また別のケースでは、創業者である CEO が自社のバーンレートや資金を厳密に把握していないために、会社がコントロール不能の状態に陥るのを見てきた。このような状況は、会社が不必要なトラブルに見舞われることになる。

7. 価値を最適化してはいけない

資金調達の価値評価を最適化すると、しっぺ返しをくらい痛い目に会うことになる。私たちチームは、扱っているポートフォリオやスタートアップの間で何度もこのようなことが行われるのを目の当たりにした。企業が資金需要を低く見積もり、資金繰りに困って、既存の投資家からブリッジラウンドで資金調達ができなくなるといったことだ。

なぜこのようなことが起こるのか。それは、第一期の投資家は、例えば1,200万米ドルもの高い評価を与えたがらず、第二期の投資家は、同じ結果に対して第一期の投資家ほど良い取引を得られないだろうと考えるからだ。または、スタートアップがブリッジラウンドを求めているが、十分な説明もなしに価値を上げた場合などだ。もちろん設立者は説明できたと考えているが、投資家はそうは考えておらず、誰も投資しないようになってしまう。そのようなことがあってから価値を下げて投資家に再度取り合ってももう遅いのである。ブリッジラウンドが本当に必要なら、価値評価を変えないか、または少し上げる程度に抑えることだ。これは、株式の所有割合ではなく、スピードが重要だからである。

8. 低バーンレート vs 高バーンレート

どちらのアプローチも機能することは見てきたが、状況に応じて効果的な戦略が必要になる。モバイルアプリやゲームを作っているなら、低いバーンレートが必ず必要になる。これは、どんなアイデアがヒットするかわからないため、謎が解けるまで会社を存続させていなければならないからだ。

しかし、ハードウェアを作っているなら、常に急いで商品を作らなくていいように、事前に豊富な資金が必要になる。また、eコマースやある種のフィンテックサービスを考えており、市場で脚光を浴びたいと思っているなら、潤沢な資金が必要だ。しかも早急に必要になる。だから、従事する分野の特徴を考えてそれに応じた戦略を取る必要がある。もちろん、産業区分に関係なく、資金をプライベートジェットや休暇旅行に費やしたりすると、すぐに失敗の道を辿ることになるだろう。

9. 常に資金調達すること

自己のスタートアップまたは新しいファンドどちらのために資金調達をしているにせよ、私たちは資金調達に多くの時間を割いているように思える。起業家、または新米 VC いずれであっても避けて通れない道なのだから、それは受け入れなくてはならないことだ。私にとって資金調達は20代後半からずっと続く第二の仕事だ。

10. 中国や米国以外のeコマースは大きな可能性を秘めている

こう思うのにはいくつか理由がある。それは、ビジネスモデルが確立されていること、簡単に追跡可能な KPI、急激な収益の増加、従来の小売業界を揺るがせるような機会がまだ多くあることなどだ。

11. 2016年に注目する分野はフィンテック、サイバーセキュリティ、ディープテック、エンタープライズ

私たちチームは、ジョークで「違法じゃなければオンラインのものすべてに注目している」と言っているが、エンタープライズやディープテック投資をこれまで以上に調査しつつ、引き続きフィンテックやサイバーセキュリティにも注目したい。

例えば、アジアや西ヨーロッパなどで商業銀行分野やより広範な市場にまたがって、より多くの変革が起こるだろうと考えている。業種やプラットフォームを越えて、サイバーセキュリティの導入は今後も増え続けるだろう。

ディープテックについて言えば、発見したことを実用化したいという学術研究者は多くいる。ほとんどの場合、商品化したり会社を作ったりするのは難しいが、世界を変えるほどの企業に発展する可能性のあるダイアモンドの原石が荒野に転がっていると考えている。

12. ハードウェアは本当にハード

これまでに、私たちは6社のハードウェアメーカーとソウルの関連アクセラレータのスタートアップ7社に投資をしてきた。IoT やハードウェアは好きなので今後もこの領域には投資をしていくが、物理的に製品を作るというのは思っているより本当に難しいということをこれまでの経験から学んだ。一ヶ所でもデザインや製造の欠陥があれば、費用は2倍に膨らむ可能性があり、計画が三ヶ月遅れたり、会社が完全に終わってしまう場合さえあるからだ。

消費者向けの製品であれば、仲間の一人である Net Jacobsson 氏が「IoT の三位一体」(製品、有料登録制、データ)と呼ぶものを求めている。産業系 IoT への投資であれば、収益または収益可能性がクリアである必要がある。誰かが購入するだろうから10億個のデータ点を集めているんだと言っても、チームを動かすことはないだろう。

今後2年の間に、当社ポートフォリオ企業からもっと多くのことがわかるだろと期待している。

重要な部分のほとんどを執筆してくれた HanJoo Lee 氏、Frank Meehan 氏、Net Jacobsson 氏に感謝したい。彼らが書いたものをほとんど盗用してしまったことをここに認める。

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

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VentureBeat ゲストライター

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VentureBeat へのゲスト寄稿の翻訳です。

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