500 Startupsの創業パートナーが語る「組織が100人を超えたときに起こり得る6つのこと」【寄稿】

ゲストライター by ゲストライター on 2016.2.17

Christine-TsaiChristine Tsaiさんは、@500Startupsの創業パートナーです。前職は、@Google@YouTubeに在籍。バレーダンサー。愛犬は、@nickeythepug。本稿は、Mediumに掲載された記事をご本人から許可を得て翻訳したものです。Twitterは、@christine_tsaiでフォローできます。


2016年1月 プエルト・バヤルタに集まった500 Startupsのチーム

2016年1月 プエルト・バヤルタに集まった500 Startupsのチーム

今月初旬、500 Startups(以降 500)のチームは毎年恒例の冬季社員旅行のためにプエルト・バヤルタに集まっていた。メンバーが世界中のあちこち(正確には20カ国以上)に分散していることもあり、忘れらない体験になった。

ここ数日間、私はたくさんのセレンディピティーを目の当たりにした。直接会ったことがないメンバーと初めて顔を合わせたことで会話が弾んでアイディアが生まれ、社員旅行が終わった後にコラボレーションする計画を立てた。即興で開かれたテーマ別のセッションは、一週間の中で最も濃い内容になったと思う。

参加者は全員、気持ちが高まり、活気付き、やる気に満ちた状態で帰路に着いた。彼らは、500のミッションを再認識し、そもそもなぜチームに参画したのかを思い出していた。

こうした全ての出来事が、500というチームの今について考えるきっかけになったー100人強のメンバー、世界20カ国以上にまたぎ、2億ドル以上の投資資金、ポートフォリオの数は1,300社を超えていて、GIFもたくさんある。ここまでの道のりは、まさにジェットコースターだった。高い時は頂点に立ち、低い時はどん底まで落ちた。成長に伴って避けられない過酷な痛み。数え切れないほどの傷。

ファウンダーとしての君の役割は、チームの人数が10人、20人、50人、100人と増えていくたびに劇的に変わっていく。君は時々、チームがどれだけ成長したかを忘れて、10人しかいなかった頃と同じように振る舞ってしまう。

ミスをして、また次もその次もミスをする。

極度のインポスター症候群に悩まされる。
(*何かが上手くいっても運が良かっただけだと思い込み、自己評価が異常に低い状態のこと)

自分は何をやっているんだ、と常に自分を責めてしまう。

以下に、会社の人数が100人を超えた時に起こり得ることについて、私の考えをまとめてみた。効果は人によりけりだろうが、1つや2つ、思わず頭を振って賛同するものがあるかもしれない。君の会社が100人を超えていようと超えていまいと、きっと役に立つはずだ。

バリューを維持することの難しさ

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バリューこそ、会社の基盤だ。文化は、日々の行動や姿勢など、そのバリューが具体化されたものだと言える。バリューの具体化を後押しする文化的姿勢を戦術的に導入すべきだ(待たずに初日から始めるべき)。例えば、500のコアバリューは以下の通りだ(ここでも議論されている)。

  • 大胆であれ、謙虚であれ。ミスは許しても、小心は許容すべからず
  • 迅速に動き、物事を破壊せよ。成功するまでそれをスピードを持って繰り返せ
  • 自分、そして他者に挑戦せよ。常にお互いに責任を課せ
  • 変化し、多様であれ。多様性と包含性は、私たちの利益戦略で道徳的必須要項だ。それを謳歌せよ
  • 思いっきり楽しみ、稼げ。稼ぐことは私たちの使命でGSD(Get Stuff Done)であると同時に、それを楽しむこともまた私たちの使命である


(また、私たちはハッシュタグを愛用している。私たちのバリューを要約したハッシュタグは、#500STRONG、#500LOVE、#HFGSD の3つだ)

*#HSFGDは、Have Fun Getting Stuff Doneの略

会社の成長がある一点を越えると、これらのバリューを維持することが日に日に難しくなる。会社がトラブルに陥るのはこの時だ。だからこそ、会社のバリューに真剣に向き合い、毎日それを実践することが欠かせない。

メキシコでは、各チームメンバーが会社のバリューを象徴するストーリーを共有した。同時に、うまく維持できているバリューがどれで、逆に実現できていないバリューについても話し合った。
(社員旅行前に実施された全社員に向けたアンケートが元になっている)

文化的姿勢を体系化する方法には、明示すること、正式な方針として打ち出すこと(例:対立を解決のための方針など)、表彰や賞賛といった前向きな強化と、次の段落で紹介するものなどがある。

慣習は、会社をつくることも壊すこともできる

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多くの人は、プロセスや組織といったものに拒絶反応を示す。官僚制の目的のために官僚制をこうむった、大企業で働いていた時のトラウマが思い起こされるからだ。彼らは、それが創造性の息を止め、鈍化させてしまうのではないかと恐れている。

その一方で、慣習は組織を鋭敏なものにし、またチームが成功を収めるために必要な要素でもある。組織が掲げるバリューの日々の実践に役立ち、それをより実体のあるものにしてくれる。

慣習というものは、何にでも、そして全てのものに対して適用できる。それは、チームのコミュニケーションかもしれないし、会議かもしれないし、四半期ごとのOKR(Objective and Key Result(目標と主な結果)かもしれないし、営業、カスタマーエンゲージメント、データ、チームの結束力を高めるためのイベントかもしれない。慣習を育み、組織全体の確固たるインフラストラクチャーに投資することは、説明責任やパフォーマンス向上に素晴らしい効果を発揮する。

500のチームには、マネージャーと直下のメンバーがやり取りするチャネルとして、15Fiveと毎週の1:1sがある。また、週に1回のEメールと、月に1回のサマリーで今取り組んでいることを共有し合う。

アクセラレータープログラムに新しいスタートアップを迎え入れる時は、必ずウェルカムナイトでキックオフする。そこには、500の卒業生やコミュニティが参加し、いつだって楽しい夜になる。また過去数年間、隔年の1月と6月の社員旅行も有言実行している。

プロのスポーツ選手が、練習や調整に「臨機応変」に臨むことはない。彼らは、気が違ったように規則正しい療法や慣習に習うことで、肝心な時にいつでも力を発揮できる状態にある。組織にも全く同じことが言える。

手を離す

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創業チームを超えて組織が成長していく時、ファウンダーの役割は劇的に変化する。以前のように、自らあれこれに参加して進められなくなる。この時、「手を離すこと」は、ファウンダーにとって最も難しいことの一つだ。しかし、チームに最高の成果を出してもらうためには、彼らに権限を与え、オーナーシップを持って取り組んでもらうことが必須だ。

それはもしかすると、完全にディスカッションから外れることを意味するかもしれないし、または直接意見を求められない限り一切発言しないことを意味するかもしれない。賢明な判断をチームに任せ、彼らを信じることに頑なになろう。自分の功労を犠牲にしてでもそうすべきだ。これは、ファウンダーに課せられた最も難しいタスクの一つだ。それもそのはず。プロダクトを作ることのほうが、2016年の予算予測を見直すよりずっと楽しいのだから。

マイクロマネージすることや、人に任せられないことは、十分に能力があるチームに対して無駄に首を突っ込むことでしかない。チームは、仕事を完全に任される日は永遠に来ないのだと感じ、モチベーションが下がってしまう。

こんなリーダーになってはいけない。

自分でやってみることで、チームは学ぶ。チームが選ぶ新しい視点やアプローチこそ、そもそも彼らを採用した理由だったはずだ。彼らに仕事をさせてあげよう。口を挟むのは、大災害の可能性を感じた時だけにしよう。

高校は永遠に終わらない

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ハイスクールドラマは高校卒業と共に終わるはずだって?

不正解。

組織の成長と共に、派閥は自然と生まれていく。機能ごと、オフィスごと、年齢ごと、趣味ごと、ありとあらゆる軸で持って。同じ系統の鳥がかたまるように、また君の組織がボットではなくて人間を採用し続ける限り、それは避けて通れない。不思議なのは、鳥と違って人間同士がやりとりすると仲良くできないことがあることだ。

週1ミーティングに参加し、15Five reportsに対応し、質問に回答し、人を勇気付け、対立を解決する。こんな風にチームを支えることで私の時間の大部分が過ぎていく。3番にあるように、君はバグをコードで直すことに慣れているかもしれない

今度は、君のチーム内の「バグ」を直すことに時間をかける番だ。君の役割には、常に人が関係するー採用、解雇、そして成功に向かって彼らを奮い立たせること。これを手間だと片付けてしまうのではなく、何より真剣に取り組むべきだ。君のチームが極めて重要であることは言うまでもない。

また、予防医学のほうが治療医学に比べてより効果的だ。問題になってから対処するのでは手遅れだ。ソリューション(慣習!)にたっぷり投資することが、未然の防止に繋がる。それは君の人生をよりシンプルになものにし、その結果としてチームもまたハッピーになるはずだ。

多様性と包含性に多方面からアプローチせよ

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多様性や包含性と聞くと、人種や民族性、性別や年齢、宗教などなどを思い浮かべる。しかし、同様に、さまざまな働き方や、個々人がベストを尽くしやすいやり方を模索することも大切だ。

例えば、社会には内向的な人と外交的な人がいる。社員旅行の後、複数の人から「500は社交的な文化が強い」という意見をもらった。そして、社員旅行の行事の進め方の多くは、100人の前でプレゼンをすることを居心地悪く感じる内向的な人にとってハードルだと。

この指摘は、私たちの日々のオペレーション(例えば、ミーティングの進め方、投資案件の評価の仕方など)が、「声を大にした人が勝つ」文化に基づいているという不運な気づきをもたらしてくれた。才能に満ちた、でも声を大にして発言しない人にとっては、非常にやる気の出ない環境であることを。

声を大にして発言するように人の背中を押すことはできるが、内向的な人にも合った慣習をつくる必要がある。

例えば、文字で伝えるコミュニケーション(アンケート、Eメール、Slackなど)でもいいし、1対1や少人数で行うフィードバックするためのより親密な環境、一人一人に個別の発言時間が設けられ、アイディアやトピックについて意見が言えるミーティングのあり方でもいい。そうしないことは、素晴らしい才能が離れていくリスクを意味する。

「べき論」について頭を悩ますな

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私の大のお気に入りの映画「Chocolat」のセリフにこんなものがある。組織が大きくなると、君は「もうこれ以上できない、もう小さいスタートアップじゃないんだから」と思うかもしれない。子どもが生まれて親になった人が、プレッシャーを感じて、「あるべき姿」を守ろうとすることに似ている。まるで、もう自分ではいられないかのように。

成長に伴って、チームの動かし方には変化が求められるが(例えば、透明性が組織としてのコアバリューの一つなら、10名のチームと100名のチームとではそのやり方が違うだろう)、それは同時に型を壊すためのチャンスでもある。

自分自身のバリューに忠実であり続ければ、その他のことは後からついてくる。GoogleやFacebookでそれが上手くいったからといって、真似するべきではない。君の組織にとって正しいことをやるべきだ。

この投稿にフィードバックをくれたSusan Su, Dave McClure, Bedy Yang, Tawheed Kader, Brett Northart, Ken Lin に感謝する。

(翻訳:三橋ゆか里)

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