2016年、eスポーツ市場は43%増加し4億6300万米ドルに、2019年には11億米ドルに達する見込み【レポート】

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上:eスポーツ市場の成長 Image Credit: Newzoo
上:eスポーツ市場の成長
Image Credit: Newzoo

市場調査会社Newzooによる最新レポートによると、世界のeスポーツの市場規模は2015年の3億2500万米ドルから43%増加して2016年には4億6300万米ドルに達するとみられる。2019年までには11億米ドル規模に成長すると予想されている。

プロのゲーマーがビデオゲームの腕を競うeスポーツは壮大なイベントに成長した。最近ではESPN、Activision Blizzard、Electronic Artsといった大企業が参入しeスポーツのセグメントを構成している。

Newzooによると、eスポーツのオーディエンスは1億3100万人にまで増え(27.7%増)、さらにメジャーな国際イベントを視聴する一時的なユーザは1億2500万人もいるという。

Newzooによる80ページにわたるレポートでは、同社が2013年10月に発行したPCゲーミングeスポーツレポートを追跡調査している。Newzooは27ヶ国を対象にeスポーツとの関わりを調査した。2016年における43%という成長率は2015年時の67%と比べると緩やかであるのは事実だが、ともかく市場規模は拡大している。

「2016年は商品売上、イベントチケット、スポンサー、オンライン広告、メディア権利で1億7500万米ドルの収益を見込める北米が主導的な地域となるのは確実でしょう」と、eスポーツのアナリストであるPieter van den Heuvel氏はコメントしている。

「この収益の大半はゲームパブリッシャーに還元されますが、パブリッシャー全体でみた場合、eスポーツの活動で直接差し引かれる金額よりも多くの資金がeスポーツ・エコノミーに投資されています」。

彼はさらに、「中国と韓国が世界のeスポーツ収益の23%を占めていて、2016年にはこれが1億600万米ドルになるでしょう。オーディエンスの数で見ると状況は変わり、アジアは世界の44%を占めます。この地域における成長は概ね、東南アジアでの爆発的な人気によるものです」と述べている。

上:中国と韓国のeスポーツ市場は成長著しい Image Credit: Newzoo
上:中国と韓国のeスポーツ市場は成長著しい
Image Credit: Newzoo

NewzooのCEOであるPeter Warman氏はコメントの中で、2016年はスポーツにとって重要な年になると述べた。

「当初のお祭り騒ぎは落ち着きをみせ、今後は規制、コンテンツ制作権、既存メディアとの関わりが焦点になってくるのは明らかです。Major League Gamingの崩壊(Activisionが買収)は、この市場が成熟するまでにはまだ長い道のりがあり、私たちにもたらされる機会についてもっと現実的に考えなくてはならないことを実感させてくれます」。

彼は続けてこのようにも話している。

「その点では、現在のさまざまな市場予測に大きな差があるという点は誰の関心の的にもなっていません。7億米ドル強というもっとも高い市場予測の詳細を見てみると、その違いを深い視点から説明することができます。予測が異なるのは、アジア(とりわけ韓国)でもたらされる収益と賭博収入を考慮に入れるかどうかがポイントなのです。Newzooではeスポーツ賭博の金額はeスポーツ・エコノミーに入ってきませんのでこれを関連する収益にカウントすべきではないと考えています。同じ理由で、スポーツ賭博の金額はスポーツ市場レポートでは報告されていません」。

Newzooによると、昨年はeスポーツに関わった多くの投資家によって市場が支配されていたという。これによりeスポーツ業界の価値は高まった。あらゆる主要パブリッシャーもこの業界に資金を投じた。その背景にはオンラインビデオ、ライブイベント、ゲームそのものがある。

「ここでは携帯画面の果たす役割が特に重要です。私たちはeスポーツとしての携帯ゲームの展開が2016年に特にアジアで加速するとみています。ここでは多くのスタートアップが集中的な取り組みをみせており、世界のモバイルプレーヤーも関わってきています。Supercellによる最新作Clash Royaleなどはその好例です」とNewzooではコメントしている。

2015年には112のメジャーなeスポーツイベントが開催され、2060万米ドルのチケット売上を記録した。同年におけるeスポーツの賞金総額は前年比70%増の6100万米ドルであった。

スポーツの中で最も成長が著しいのはオンライン広告で、2014年との比較で99.6%増。eスポーツの熱狂的なファン一人あたりの年間平均収益は2015年に2.83米ドルだったところ、今年は3.53米ドルに増加するとみられている。

これとは対照的にバスケットボールの収益はファン1人あたり15米ドルである。eスポーツのオーディエンスは人口地理学的にみて上の層にいる人たちで、フルタイムの仕事を持ち、高収入の消費者である。

上:eスポーツの熱狂的なファン一人当たりの収益は年間2.83ドル。バスケットボールのファン一人当たり収益は15ドルだ。 Image Credit: Newzoo
上:eスポーツの熱狂的なファン一人当たりの収益は年間2.83ドル。バスケットボールのファン一人当たり収益は15ドルだ。
Image Credit: Newzoo

【via VentureBeat】 @VentureBeat
【原文】

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